ロシアの徴兵制その3
そんなわけで、相変わらずテレ玉の張り込み中。「白鳥」2場の方は今日も2回も見たのにー。黒鳥はいつ流れるんだー。まあ、シヴァコフが見られるわけだから、それはそれで嬉しいけどさ(どっちも不機嫌顔だし)。
♪ころり転げる木の根っこぉ〜 ♪
イギリス在住4年(だったっけ? もうちょっといた?)の後に帰国した友人からメールをいただきました。
「そういえば、英国田舎町にいた時、無料英会話教室にロシア人の女性がいた。息子が兵隊になるのが嫌で英国に来た、って言ってた。ロシアで兵役だとマジで戦地行きで、死ぬかもしれないから、って」
マジに、それはアリだからねぇ。以前紹介した母親のグループは、アフガン侵攻の時に「母親委員会」として立ち上がったのだけど、チェチェン問題はやはり、徴兵忌避の大きな理由になっている。徐々に「帰還兵問題」(実際に戦闘に参加した帰還兵が平時の社会に適応できなくて、暴力や犯罪、精神障害などの問題を抱えてしまう。ベトナム戦争以後クローズアップ)も、オープンになってきたみたいではあるし。それでイワノフ国防相も徴兵をチェチェンに投入しない、と言わざるを得なかったんだろうね。
もうひとつの徴兵拒否の大きな理由が「新兵いじめ」(ジェドフシチーナという)。これはペレストロイカ期のグラスノスチで(まだソ連だったころだ)オープンになったらしい。昨年の大みそかに起きた上官による新兵への集団暴行(数時間にわたり殴打されたうえに司令官や軍医から放置され、4日後に病院に搬送、両足・性器・手の指を切断)の記事は、「朝日新聞」でも報道された記憶がある。これは極端な例だと思う(思いたい)けど、「プーチンの変貌?」によると、「将校に暴力をふるわれたとして、兵士たちが以前のように個人ではなく、集団で脱走するケースも報告されている」そうで、かなり深刻ではあるようだ。
たとえば、「ロシアンぴろしき」のこちらのページにいじめの仕組みの説明がある。「プーチンの館」というところにもイワノフ国防相の弁明などが。
チェチェン問題に関しては、何度か紹介したチェチェン総合情報が手軽に読めるサイト。94年のロシア軍によるチェチェン侵攻以来、地道に活動を続けているグループです。実は全く知らない人たちではないので(湾岸戦争の頃にちょっとつき合いがあった)、集会などには時々お邪魔してます。
本で読んでみようという方には「チェチェンで何が起こっているのか」が手軽でわかりやすいかと。文章も読みやすく、年表もついています。「チェチェン やめられない戦争」は、モスクワの劇場占拠事件の際に、占拠グループから交渉人として指名された女性ジャーナリストによるもので、あとがきに突っ込んだそのいきさつなども興味深いし、ロシア人の手によるものだということもあって、生々しいレポになってます。ただ、時系列的に整理してあるわけではないし、ある程度事実関係を頭に入れてからでないとわかりづらい。
「チェチェンのパレスチナ化」とはよく言われるフレーズだけど、もうすでに「戦争しかしらない子どもたち」は育っていて、先の見えない絶望感や、そもそも「将来への希望」を想像することすらできない世代のこれからを考えると、かなりつらい気持ちになります。このままの状況が続けば、彼らの「抵抗」は「テロ」としてより先鋭化=悲惨化していくだけなのは明らかで、しかもそれはもうとっくに始まっているのだから。
その場にいたものがジャーナリストになる——ロシア軍の封鎖措置でジャーナリストがチェチェンに入れない現状で、住民たちがカメラを手に、自らジャーナリストになっていく(ならざるを得ない)姿もまた、力強いけれども哀しい。
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