掃海母艦出動の根拠
表紙の写真をキャンプ・シュワブ沖をいく抗議のボートに変えました。ちょっと古い写真ですが、実際、「阻止行動」とはこのような船(ボートだよ)で行われています。
情報はあまりありません。ニュースサイトをいくつかリンクしておきます。現地メディアでは一面トップだったりするようですが、あいかわらず全国メディアでの報道はないようです。
沖縄テレビ ニューストピック 記事直リンになりません。タイトルリストから「自衛隊掃海母艦が沖縄近海へ 07/05/11 」を選んでください。ニュース動画も見られます。
琉球新報 該当記事
沖縄タイムス 該当記事
これらを単純に整理すると、こんなところです。
1)塩崎官房長官は、「海自は警備に加わるわけではない」「(海自隊員を)施設庁の身分として、事前調査に当たらせる可能性はある」
2)佐藤那覇防衛施設局長が警備を要請したのは、海保と県警である。
3)久間防衛相は「警護は考えていない」「調査は民間で十分」「先のことはわからない」「誰かがおぼれそうになったら助けてあげることだってあるかもしれない」(←救護出動?)。
4)ともあれ、掃海母艦「ぶんご」は、ダイバーや機材を載せて、11日の8時30分に横須賀から沖縄へ向けて出港。
多少うがった見方をすれば、久間防衛相は「溺れる人が出るくらいの状況(反対派に対する鎮圧)を考えている」と言えなくもないかもしれない。
掃海母艦というのは機雷掃海(と敷設)が主任務ですから、水中処分は本職ですな。公式サイトはhttp://www.dii.jda.go.jp/msdf/mf/bungo/jdsbungohp.html(←直リンにしないので、見たい方はアドのコピペでよろしく)。「ぶんご」は呉配備艦なのになんだって横須賀から出港しているのかがわかりません(横須賀配備艦は「うらが」)。
で、結局出動根拠法は何よ? 軍隊ですから、出動するには法によるコントロールが必要です。自衛隊法条文はhttp://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO165.html(総務省)で読めます。官房長官らの発言だと「警護出動」だの「海上警備行動」だのにはしないようですから、あるとすると「機雷等の除去」(84条の2)? 「海上における機雷その他の爆発性の危険物」があるのか?
あとは、これ。「土木工事等の受託」(100条)。「防衛大臣は、自衛隊の訓練の目的に適合する場合には、国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工事その他政令で定める事業の施行の委託を受け、及びこれを実施することができる」。「教育訓練の受託」(100条の2)じゃねぇだろう。100条(雑則)はほかに「運動競技会に対する協力」「南極地域観測に対する協力」「国賓等の輸送」「合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供」とあるわけだが。今回は事業者が防衛施設局なので、米軍への役務提供の範囲外だ。100条の「政令で定める事業」だが、「自衛隊法施行令」で定められているのは「防疫事業、医療事業(へき地について行なうものに限る。)又は輸送事業」(121条の2)、「土木工事、通信工事又は前条第二項に規定する事業」(122条)のみ。「前条第二項」ってのは、121条の2のことね。つまり「海中調査」は100条では適用できない。
結局、根拠法なしの出動としかいいようがないんじゃないすかね。「演習」だとでも言い張るのかしらん。
軍隊が法的根拠なしに出動することの意味の大きさ。
万が一であれ、「自衛隊」がついに「日本国民」の「治安」に乗り出す可能性と、その意味の大きさ。
それは戦後60年経った日本が、決定的な転換を遂げるということでもあるのだが。このことに想像が及ばないほど、ヘタレになっているとは思いたくはないのだが。
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