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2008/06/11

モーリスのいる舞台

 ようやくちょっと落ち着いてきました(笑)。なんか放心状態でしたよ、今日は。何もかもが素晴らしかったです。

 第1部は横浜よりパワーアップかな(席が近かったせいか?)。シャルキナは横浜の方が調子がよかったかも。ファヴローは今日の方がいいような気がする。「これが死か」での、ズアナバールとのPDDの間奏でのソロがすごくよかったです。きれいだったなー。ラストのシーンも胸により迫ってくる。
 「イーゴリ」と「祈り」は横浜と同じ印象でパワーアップという感じか。オールバックでルヴレより大きい人(「ディオニソス」でヴェデルと組んだ人)が、「ルーミー」ではすごく好みだったんだけど、「ディオニソス」ではそうでもなかった(というかルヴレに目が行っちゃってというか)。

 第2部の冒頭に、「追悼のために特別に1演目上演する」旨のアナウンスがあったので、幕の中はもう「ボレロ」仕様になっていて、幕前(オケピの埋め立て地)でできるような小品をやるのかなと思ったんですよ。そうしたらダンサーたちが後ろ向きに並んだ後、幕が開き、青の照明に椅子がひとつ。まさか、と思ったのもつかの間、ジルによって「アダージェット」が踊られました。多分、事前に貼り紙とかもなくて(終演後にはあったけど)、本当のサプライズだったと思います。
 ダンサーたちがゆっくりと奥に向かって歩いていき、左右にゆっくりさばけてジル一人が残される。「アダージェット」という作品の枠を超えて、ジルとモーリス——「ベジャール」ではなくて「モーリス」——の、二人の対話を垣間見るような、そんな舞台でした。本当に、たとえばジルの美しく伸ばされたつま先のその先に、ベジャールがいるように思えたんです。そしていつか手の届かないところに去って行く。
 マーラーが鳴り始めた時からかなりヤバかったんですが、もう中ほどから涙が止まらなかったです。ええ、拍手もしないで顔をごしごし拭いてましたよ、あたしゃ。

 で、この段階ですっかりほうけちゃったんで、どうしようかと思ったんですよ。だって次「ボレロ」だし。段取りがよかったのか、思いのほか間を開かずに始まったし。

 ロスのボレロはなんというか、「不思議」な感じでした。もう印象でしか覚えていないのだけど、初めて見たミルクのボレロがこんな感じだったような気もします。乳白色の透明な光、とでもいうのか(←なんだそれは)。なんだろうなぁ。巫女というよりも憑坐とでもいうような。煽るでもなく、誘うでもなく、非常に抽象的な存在で、それでいてリズムを動かしているのはメロディなんです。それも、支配するのでも統制するのでもなく、リズム即メロディのように。「一体」じゃなくて「即」なんですよ。うーん、わかりづらいよなぁ。

 ベジャールが水香ちゃんのボレロの指導をしたときに、「初めのスタイルに戻したい」ということを言ったというのは有名な話ですが、その「初めのスタイル」がまさにこれなのではないか、と思いました。首藤さんは「首藤さんのボレロ」で、ギエムのは「ギエムのボレロ」で、それはとっても好きなんだけど、ロスのボレロは「ベジャールのボレロ」だという気がしたんですよ。ロスという器の中にベジャールが入っているような。実を言うと、今日はほとんどリズムをみていなかったのですが(←珍しいっ)、存在感でもテクニックでも美貌でもカリスマ性でもない、もっとつかみどころのない「何か」で吸い寄せられる感じ。「引き込まれる」ではなく、もっと曖昧で、主体的でなく、浮遊感のある。

 うまく言葉にならないですねぃ……。アダージェットでほうけてしまったので、かえっていろんなものがダイレクトに来ちゃったかな。

 明日(今日か)のキャストはどうなんだろう。ファヴローの体力はたいしたものだけど、明日も出ずっぱりなんだろうか。ボレロはズアナバールだといいなぁ。

 あ、会場で舞台写真(大きめ)を1枚1000円で、ジルの写真集を3000円(確か)で売ってました。BBL20周年記念の本は、2度目に通ったときは積んでなかったから売切れかな? 写真はいろんな種類がありましたよー(←とたんに現実的)。

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