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2009/02/05

シヴァのアルベルトのための覚書

 いやー、ようやく仕事が一段落。それも明日までなんだが。というわけで、1時間早く帰ってきたら、1時間余分に寝てるぢぶん。どんだけ寝る気だ。

 まとまったレポは書くつもりでいるけど、いくつかシヴァと民代さんのジゼルについて覚書的に。

 前にも書いたような気もするが、シヴァのよさは、そのシンプルさとナチュラルさにあると、ぢぶんは思います。あれでも彼は彼なりに「作って」るのかもしれないけど、そして事前にいろいろやってみてはいるんだろうけど、それでも舞台の上に、ぽん、と生身の彼がいる。その感覚がぢぶんはとても好きです。そしてそれが今回、民代さんの描くジゼルととても合っていたと思う。というよりも、二人で作り上げた結果がそうだったのかもしれません。

 1幕は恋に浮かれた、楽観的で愚かな若者。物事を深く考えたりせずに、「ジゼルは心臓が悪い」と言われても「なぁに、大丈夫だよ」と思ってしまえる(ヤンキーだなぁ)。思わず「オロカブ」が出そうなくらい。狂乱の場でも、ジゼルも心配だけど、公爵に捨てられてしまったことへのショックも大きい(あそこをね、去り際の手の返しひとつですべて見せてしまう父っつあんはスゲェと思ったよ。アルベルトは絶対、城に入れてもらえないな、あれは)。ジゼルが壊れて行く傍らで、アルベルトの方も「何もかもなくした」ショックで崩壊。従者に抱えられるようにして「ロイスの家」に入ろうとした瞬間、ジゼルが駆け寄ろうとするのを抱き留めて、彼女がこときれて初めて、何が起きていたのかを理解するような。

 そうそう、思いつきですが、ペトゥホフのハンスはスタダンの新村さんのヒラリオンにちょっと造形(系統?)が似てる気がする。体型が逆三角形だからだろうか(いや、タイツが緑だから?)。

 2幕は演出変更というか、火の玉替わりの豆電球がなくなってですね(^^)、雷鳴とどろくイメージの照明に。考えてみれば後藤ヒラリオンも「踊り」の分量というか、部分というか、だいたいペトゥホフと同じくらいで、あんなにぐるぐるぐるぐる踊り回るヒラリオンはいねーよ(Kさんのシェネの分量、倍くらいあるんじゃ?)、と思ったりして結構ぢぶんの頭の中もぐるぐると。ハンスが「沼に突き落とされる」場面が、ウィリが腕もって無理やり引きずり込んでる(後ろから突き落とすのではなく、前から引っ張る)というのがコワイです。

 2幕のアルベルト。正直、シヴァがここまでやるとは思ってたような、思ってなかったような(どっちだ)。1幕もそうですが、民代さんとのユニゾンが素晴らしかった。たとえば、脚も自分だけが上げ過ぎるというようなところがなく、自分を誇示して出過ぎることがない。その意味で非常につつましく、紳士的な態度は終始変わらなかったです。

 秀逸だったのは、始めのPDD。ジゼルの方はアルベルトが見えるけれど、アルベルトには彼女が見えず、彼女の気配だけを感じて踊る。最初のリフトの民代さんの軽さといったら! 思わず口あんぐり(^^)。1幕で幾度か繰り返された「アルベルトが捕まえようし、ジゼルがすり抜ける戯れ」が切実な悲しさをもって反復される。そしてジゼルが腕の中からこぼしていく何本もの百合の花が、ジゼルの手を離れることでアルベルトにも見えるようになる場面。その百合の束を抱いて頬を埋めた瞬間に「ジゼルから赦されていること」を悟る場面。こうしたひとつひとつが明確で、しかも美しい。二人の培ってきたパートナーシップなしでは、こうはいかなかったかもと思わせて、いくつもの意味で胸がいっぱいでした。

 多分、つづく。

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コメント

ブレグバーゼさんバンザイ!ですね。
まさに名人芸、です。
私はいつも、ジゼルとアルブレヒト、ヒラリオンに見惚れてしまっていて、結局公爵御一行が去る場面を見逃しちゃうんですよ。彼らが顔をそむけるところまでは記憶があるのですがーーー。残念無念。
レポはどうそごゆっくり。
楽しみにお待ちしています。
草刈さんちの、監督や草刈さんのお話も、はやくアップしてほしいような、でも、じっくり待つのもいいいような、そんな気持ちなのです。

投稿: おロシア人 | 2009/02/05 17:50

どうもです~。
シヴァコフ自身のパフォーマンスにも驚かされましたが、ともかく兵庫で一番驚いたのは草刈さんとのパートナーシップの妙でした。(草刈さんのあのリフトの軽さはびっくりでしょ!) 逆にマールイの他のバレリーナでここまで素晴らしいアルベルトが演じられるのかと思ったほど。
とっつぁんの手の返しは凄まじかったですね。 シヴァは小僧だった(笑) あそこは兵庫で見逃していたので
ぞくっとしました。

投稿: M | 2009/02/05 21:57

おロシア人さん、Mさん、ブレグバーゼとっつあんの真価を最終日に見られてよかったですよー♪ 
ちょっと「は、話を聞いて……」というシヴァへのあの一振り(?)。それまでのアルベルトへの評価も信頼も愛情も、何もかもが失われた一瞬でした。こういう役は年齢と経験がものをいうんだなー、と改めて感じ入りました。

ちなみに一行のお帰りも、ぢぶんの思っていたのよりも早めでしたよ>おロシア人さん。
ジゼルが後ろ向きにバチルドにぶつかって、割とすぐじゃなかったでしょうか。おかげで空いた舞台の上手側まで農民……コリッパーとかがわさわさ広がってました。モロゾフはジゼルの家のドア前(^^)。

投稿: 綾瀬川 | 2009/02/06 02:28

Mさん、話には聞いてましたけど、あのリフトはびっくりしましたよー。
去年の白鳥も、すごくいいパートナーシップだったけれど、今回のジゼルはさらに進化してました。最後の全幕舞台ということで、たいせつにたいせつにリハを重ねたのでしょうね。

(だからー、夏のガラはー、……………(ノ_-。))

以前から何度か引用してますが、「PDDは二人で踊るもの」という言葉は深いですよね。心がぴったりと寄り添う、っていうのはこういうことなんだなぁと思いました。若い男の子はとかく「ソロはいいけどPDDはね」になりがちなので、シヴァの成長の方向性が嬉しいっす。

投稿: 綾瀬川 | 2009/02/06 02:39

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