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2009/06/27

ゴルスキー版の変遷

 毎度お世話になってます、マールイ友のMさんが「M's daily life」で、「マールイがゴルスキー版の白鳥を?」という記事をご紹介くださいまして。ちょっと気になったのでいろいろと眺めていましたら、この3月の「白鳥」のプログラムに赤尾雄人さんの「演劇性豊かなゴルスキー版『白鳥の湖』—その上演の系譜」という文章が収録されていました。これがなかなかに面白かったので、ちょっと年表風にまとめてみました。「バレリーナへの道・46 白鳥の湖」の、溝下さんのインタビュー記事を補足に使ってあります。

<ゴルスキー版の変遷>
1895年 プティパ=イワノフ版(マリインスキー)
1901 ゴルスキー、プティパ=イワノフ版を一部手直し(ボリショイ)
1906 ゴルスキー、部分的改訂演出で再演
1912 ゴルスキー改訂版
     花嫁候補を踵のついた靴をはいた群舞→ポワントのソリストに。1幕のワルツ、3幕の民族舞踊ほかの変更。
1920 ダンチェンコ=ゴルスキー共同新版
     道化登場。白鳥と黒鳥を別人が踊る。ハッピーエンド。不評。
1922 12年版再演
     道化残る。白鳥と黒鳥が1人に戻る。ラストは悲劇。
1937 アサフ・メッセレルによる改訂ゴルスキー版
     終幕の白鳥の踊りを新振付。4幕の嵐を王子と悪魔の闘いに変更。ハッピーエンド。好評。

(1945 ロプホーフ演出版 マリインスキー)
(1946 小牧正英版 東京バレエ団)
(1950 セルゲーエフ版 マリインスキー/70年再演出)
(1953 ブルメイステル版 モスクワ音楽劇場)

1956 アサフ・メッセレルとアレクサンドル・ラドゥンスキー、37年版を補訂 
     「小さな白鳥」が6羽。75年までボリショイで上演
1964 イーゴリ・スミルノフ、56年版を改訂(東京バレエ団)
     「小さな白鳥」を4羽(イワノフ版)に変更(3羽はゴルスキー版)。4幕を短縮。東バ現行版(現在はルースカヤを割愛して上演)。

(1964 ヌレエフ版 ウィーン国立)
(1969 グリゴローヴィチ版 ボリショイ)
(1981 ピーター・ライト版 サドラーズ・ウェルズ)


 ひとくちに「ゴルスキー版」と言っても、悲劇あり、ハッピーエンドありで面白いですねー♪ ぢぶん、こういうちまちました作業が好きなんだよな。
 20年版は「不評」とひとことですませてありますが、上演史上初のハッピーエンド版で、ダンサーからの支持を得られなかった結果、技術的に未熟な若手が主演、その技術に合わせて振付を変更したというような事情もあったようです。37年版はブルメイステル版にも大きな影響を与えたということですが、よくわかんないな……。昨年のボリショイのグリゴロ版も「原振付 : マリウス・プティパ,レフ・イワノフ,アレクサンドル・ゴールスキー 台本・改訂振付・制作 : ユーリー・グリゴローヴィチ」という表記になってますね。

 本当にマールイがゴルスキー版を導入するとして、なぜ今さらモスクワ系? というのがいちばんわからないんですが。
 で、まとめたものをざっと眺めてみた感じでは、12年版(悲劇)か、12年版に道化をつけた22年版を再改訂するのかなー、と。あるいは(メッセレル一族ということで)37年版。37年版の「終幕の白鳥の踊り」というのは、4幕の始めの「オデットを待つ白鳥たち」のことでしょうか。あれは結構好きなんだけどな。……逃げ遅れるチビ白鳥はスミルノフのオリジナルなのかな(←毎回「逃げ遅れ、キタ━━(゚∀゚)━━!!! 」になっちゃうぢぶん)。

 綾瀬川のネタ本。美佳さん、スーシャ&ジーマ、都さんたちのインタビューも収載。マトヴィエンコの肩書きが「キエフ」だ(笑)。福田一雄さんの「音楽で観る『白鳥の湖』」がとても面白いです。
【追】参考資料として、ほかの有名な版で初演の近いものをいくつか付け加えました。(6/28)


 マイケル・ジャクソンの訃報はびっくりでしたが、「親しい著名人の談話」でユリ・ゲラーのインタビューが映ったのもびっくりでした。個人的にはファラの死がショック……orz。

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コメント

どうもです~。
ゴルスキー版の変遷一覧をどうもありがとうございます。
とっても見やすいし分かりやすいし、何より仰るように同じ一つのバージョンでも反響を見たり時代や社会の変化に合わせて
少しずつ手を入れられているというのが興味深いですよね。(小さな白鳥が6羽ってのがあったんですね)
世界中にいろいろなバージョンと改訂版があるというのも「白鳥の湖」という作品の絶対的な魅力ゆえなのかもしれないですね。
マールイはどう改訂するのでしょうね(って、私の情報が大間違いだったらごめんなさいね!)。 道化はそれ向きのダンサーが増えたので入れてくるような気がしますが、1幕の湖畔はいじらないで欲しいですね。 ラストはできればオデットが人間に戻るハッピーエンドではない方がいいな・・・。 

投稿: M | 2009/06/27 23:09

年表とか対照表とかを作るのは好きなので(笑)、楽しかったですー♪
(実はあとでもう少し手を入れようと考えてたり)

赤尾さんの文章は、セルゲーエフ版(ペテルブルグ系)の古典バレエの様式美に対する、ゴルスキー版(モスクワ系)の演劇性に着目していて(舞踏会の演出とか)、なるほどなーと思いました。「自然主義演劇美学」っていわれてもよくわかんないんですけどね(^^)。

Mさんの新しい情報ではアサフ・メッセレルの名前が振付に入っているので、どうやら37年版が元になるようですね。Evgenia Dolinskayaって誰……。
ボヤルチコフの版はペテルブルグ系の静かないい版ですが、ゴルスキー版は対称的な版ですからねぇ……。どちらの版も好きだけれど、「なんか違う」感はあるんですよねぇ……。なんでわざわざゴルスキー版なんだろ。
9月のプレミアの様子がいろいろ出るとよいですね。

投稿: 綾瀬川 | 2009/06/28 02:07

どもです。
昨晩自分の記事もアップし、こちらにコメントも書いた直後に何気なく覘いたマールイのHPであれをみつけてありゃ~~でした。 DVD見る時間だったので(笑)、大急ぎで記事を差し替え、ほぼ差し替え逃げ状態。
やはりマールイの白鳥はペテルブルグ派の美しい舞を静かに見せる版であってほしいです。
対称的なバージョンを作ることで2本持ち続けるというのならまだいいのですけどね。

投稿: M | 2009/06/28 11:42

東バも「くるみ」「眠り」「ペトルーシュカ」は2版ずつ持っていますし、
マリインカも「眠り」の現行版と復元版の2版を持ってますが、
「白鳥」のボヤルチコフ版とゴルスキー版となるとどうなんでしょう…。
エク版やボーン版くらい違うものならアリだと思いますが……。

ボヤルチコフ版はパートナーシップが本当に問われる版ですし、一昨年あたりから、ようやく劇場のソリスト達がボヤルチコフに追いついてきたなー、という感触を持っていただけに、残して欲しいですよね。
なにより、マールイはペテルブルグの伝統の上に立っている劇場だと思うので。

投稿: 綾瀬川 | 2009/06/29 01:27

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