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2010/09/13

アルブレヒト、横須賀の1幕

 このところ、木村さんの舞台はいい意味で裏切られることが多くて、それはファン冥利につきるのだけど。思いも寄らない人物像を提示されながら、でも提示されればそれしかないだろう、と思わせてくれる。

 最初は「ご領主さまのお忍び」かと(笑)。恋に浮かれた若者でもなく、プレイボーイのお貴族さまでもなく、初めから自分のしていることがわかっているアルブレヒトだったように思います。自分の立場も、この恋がほんのつかの間であることも、長引けば自分が彼女を不幸にしてしまうこともすべて知っていて、それでも自分の手の中にある小さな花を手放すことができずにいる、そんな苦しい恋。「その時」が来たら、城に帰って婚約者と結婚して貴族社会で暮らさなくてはいけない。でもかわいくてたまらない、離したくない。もう少しだけ。でも……、と思いながら過ごすうちに、「その時」は最悪の状態でやってきてしまった。ある意味では、もっとも「罪深い」アルブレヒト。

 美しい立ち居振る舞いの端々に高圧さが現れて、支配階級の人なんだなーと(しかもちょっと短気)。ジゼルに対しても時々上から目線です。ヒラリオンがからんでくる場面で、自分の顔を見せまいとする仕草があり、ぶどう娘たちにもちょっと躊躇しているようでした。収穫祭でも最後の最後まで姿を現さずに(間に合わないかと思ったよ ^^)、ジゼルがソロを踊りながら何度もアルブレヒトを探していました。なるべくなら村人たちに姿を見せたくない、でもジゼルに会いたい気持ちも抑えられない。戻ってこないでそのまま城に帰っちゃえばよかったのにね(それじゃ話が続かないけどー)。

 なので、ヒラリオンが自分の剣を持って現れた時、もう覚悟はついていたのだと思います。「潮時だ」という(でも腹が立つから剣持って追いかけちゃうんだ ^^)。角笛が吹かれた時も逃げ惑うこともなく、公爵とバチルドを迎えます。すべてが終わったはずだった。

 でも、世の中そんなにおきれいにはいかないんだよ、と。

 えーと。踊りは終始、いうことなしに美しかったです。踊りだけではなくて、どんな仕草の時も指の先の先まで美しかった。ジゼルのお母さんに挨拶する時など、どーみても農民じゃねぇだろ、それという( ̄▽ ̄)バレバレ。アレじゃお母さん、不審に思うよなぁ。アルブレヒトが戻ってきた時、すごくイヤそうだったですよ。1幕の短いヴァリエーションはよく身体が歌っていて、ぶどう娘たちとの場面では、二人の踊りが恋の喜びで溢れてました。収穫祭の最後、ギャロップで前に出る直前ギリギリに戻ってきたアルブレヒトとジゼルが抱きあった時に、あきらめきれないアルブレヒトの想いとジゼルの安堵感が重なり合って、その本当に直後に起きる破局を思って胸が苦しかったです。

 後藤さんのヒラリオンは今シーズン初めてですが、以前よりも動きが整理されて、かつ笑顔はちょっと怖い(笑)。帽子をかぶらないので、アルブレヒトの正体を暴く場面では、大仰にレベランスをしてみせます。剣泥棒は窓から。木村さん、なんで家の中まで入っちゃったんだろうな(笑)。
 ペザントは松組。平野さんがちょっと体調が悪そう。ナガセさんは相変わらずマイペース。お茶くみは小笠原くん、槍持に梅沢くん、井上くんなどなど、あそこいらはペザントで交替勤務なんだな。

 

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