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2010/10/10

ぐったりな日々(固い話)

 いろんなことにうんざりしすぎて、もう何も言いたくない、もう何もやらねぇぞオレは、と思い続けてはや……どれくらいかもうわからねぇよ、春先によそのメディアに引退宣言書いたし、とかなんとか言いつくろいながらごろごろと日々を過ごしているわけだが。
 いやもう本当にぐったりなんだ、特にツイッターなんてのはもう書くだけにして読むのは止めようと、どんだけ思ったか知れないけれど、それでもとりあえず頑張ってる人を見ればそれでも頑張ろうと思ったり思わなかったり。いささか堪忍袋の緒が切れたように思ったり、そもそも自分に堪忍袋があったのかも疑わしかったり。

 前置き長すぎ。

 今回はことが劉暁波だけに、ほんの少しでも書いておく。

 現在彼が投獄されているのは08憲章の件のはずだが、僕にとっては劉暁波は天安門事件のリーダーのひとりだ。

 (……といいながら、もはや「天安門事件」から説明しなくちゃならないんだろうか、とこの辺りですでにぐったりな気分になるんだが)

 こっちのエントリを参照して欲しい。天安門事件20年に際してのエントリだが、基本的にはドキュメンタリ映画「天安門」の紹介である。この時はDVDが中古で出ていたようだが、現在は注文受付不可になっている。確かにそうそう売れるものではないし、興業成績もそう振るわなかったように(この種のドキュメンタリで「振るう」方が稀だけど)記憶しているが、これは本当に「見るべき映画」だ。プログラムの方も良くできていて、「事件」と呼ばれる6.4に天安門広場にいたカメラマンの今枝弘一氏を初めとするいくつかの論考、海外メデイアの映画評(例えば「ニューズ・ウイーク」と「開放雑誌」(香港/台湾)では切実度がまるで異なる)、アップリンク自身の手によるのであろう解説など、読みごたえもあり、また字幕の採録もされている。
 おそらくは日本ではいちばん有名であろうウアル・カイシら学生リーダーのほかに、広場には彼らを支援するために集まった教師/知識人らがいた。劉暁波はそのひとりで、当時北京師範大の教員で33歳だった(映画のプログラムによる)。

 この映画で僕がいちばん共感したのは、学生リーダーのひとりの王丹と、劉暁波だった。それは「結末」を知っているからであることは否めない。あの「結末」へ至らないもうひとつの道を二人の中に見いだすことで、自分の逃げ道を確保したいという気持ちはあるだろう。「事件」当時も映画の公開後も柴玲に対する批判はあった。だがそれは「事後に安全な場所から他人事として」以上であるものは少ない。柴は当時23歳だ。自分が23だった時のことを考えてみればいい。あの広い広場を埋め尽くす人の前で国家(それも並の国家じゃない)と対峙する立場に立って、冷静な判断ができるものかどうか。劉暁波ですら、何度も自己分裂を起こし、群衆の前で自分を見失ったと吐露しているものを。

 話が逸れがちに思える。言いたいのはつまり、例えばこの映画を「ああやっぱり柴玲ってヒステリー女だったのね、こういう人がリーダーだからあんなことになったのね、中国や共産主義ってこわいわね、日本は民主国家だわ♪」という、自分にとってもっとも「楽な」思考で済ませてしまうのか(映画意図がそんなところにはないは明らかなのだが)、それとも事件を俯瞰しながら、自らを含めた「いま・ここ」を照射する「鏡」として見るだけの「想像力」を持ち得るかどうか、ということだ。

 「軍事管理地域に入り写真を撮った」といわれた人は19日ぶりに解放された。その一方で、「自衛隊官舎のポストに反戦ビラを投函した」人たちが令状逮捕されて75日間も拘束されていたことを想起する人はどれだけいただろう。どっちがいい、どっちが悪いではない。どちらかがどちらかを相殺するわけでもない。「想起できるか」を問うている。そしてその「想像力」を。

 この1ヶ月ほど、僕はそんなことを考えていた。そしてうんざりし、ぐったりとしている。ノーベル平和賞にしても、同じようにただの「楽な」「はけ口」に使われるだけだ。僕にはそうとしか思えない。もっとも、ノーベル平和賞について話し始めれば、最後には「……だけど、佐藤栄作が取ったわけだからね……orz」「……そうだよね……orz」で、さらにぐったりするのが常なんだが。

 全然、ほんの少しじゃないな。このかんに考えたことの中の「ほんの少し」でしかないけれど。

 まあだから、この機にDVD再発売しようよ>アップリンクさん。多分、来週にはだれも劉暁波のことなんか覚えてないかも知れないけどさ。

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