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2011/02/21

田中泯inPlan-B

 田中泯の「連続独舞 場踊り」の4日目に行ってきました。

 会場のPlan-Bは、コンクリート打ちっ放しの小さなライブスペースで、映画「山谷−やられたらやりかえせ」の上映会で2度ほど行ったことがあります。もう何年も前だな。相変わらず尻が痛かったよ……(階段上の木のベンチに座布団)。そして相変わらず運営が「お身内」で学生っぽいよ……orz。ここに限らず、「小さなライブスペース」ってそれがなぁ……。

 ま、おいといて。会場のサイトには19時開演、田中氏の公式HPには19時半開演となっているのに、途中の電車の中で気が付きまして、大汗かきながら行ったところ、「告知間違いがあったので19時半開演」となっておりました。残る公演も19時半開演となるらしい。ので、40分程ロビーで読書。
 ここはトイレが楽屋用と客用と兼用で、ロビーの奥の厨房のさらに先にあるんですが、入ろうと思ってノックしたら中から野太い「はいー」とでもいうような声が。厨房の辺りでぶらぶら待っていたら、頭にラップを巻いたオヤジが出て行くのが見えまして。「あ、田中泯」。本人の入ってるトイレをノックしちゃったよ。

 さて。舞台といいますか、床、です。傾斜のついた大きい木製の台が二つ。その片方に椅子が(当然斜めになって)置かれています。後方の横の壁近くに、巨大な振り子時計の振り子部分を思わせるような木の装置が吊り下がっています。
 客が入って暗転の後、フットライト2本だけの照明が付くと、その台の下に田中泯。ラップを巻いていたのでその上にヅラなのかと思ったら、ラップのまま。顔の前面を紅く塗り(猿面のイメージだ)、黒い短めの外套に3本ベルトを回した衣装で、台の下をゆっくりとうごめく。無音の状態が長く続き、やがて台の下のCDラジカセのスイッチを自分で入れると、ギターのソロ曲。振り子が振り子の音を立て、時折部品が落下して床に散らばるような音と、琴か何かの弦の音が散発的に響く。

 なんといいますか。ご本人の日ごろの活動のこともあって、昔のでかい農家のイメージです。横溝正史的な。時計の音と琴らしき弦の音がそういう感じ。人のいない大きな家の中に響く音。で、縁の下で高血圧の人がのっぴきならない事態になっちゃってるっていうか。
 台の上に出てくるまでが、ちょっと気が遠くなったりしましたけれども。これを「踊り」と呼ぶのかどうかわからない、むしろ「身体」を見てるんだなぁ、と思ったり。でもその「のっぴきならなさ」というのが、とてつもなく「のっぴきならない」んですよ。「存在感」というよりも「逼迫感」というか。ただごとならなくなっちゃってる感じ。

 後半、外套を脱いで黒Tシャツになってからは、動きも大きく、激しくなる部分。その腕の動きの美しさは、前半からは想像できなくもあり、ちょっとした動作が、やっぱり「ダンサー」だなあと思ったり。腕が、たとえば「白鳥」なら関節を感じさせない滑らかさだったりしますが、そうではなくて、手首、肘、肩でくっきりと3分割された中での滑らかさとでもいいますか。「一本の腕」は「三つの部分」からできている、ということがくっきりと見せられて、かつ美しいんだな。主に手首の柔らかさなのかなぁ。それはバレエを見慣れているとちょっと不思議な感覚。

 そして最後はやはり真っ赤なフットライトの中で、台の下に戻っていくのですが、頭から二つの台の間に長い時間をかけて戻っていく、その残された両脚に、「あ、犬神家」って思っちゃったりするわけで(大汗)。いやもう、世代的限界というか、脊髄反射というか。
 ……全体、横溝正史でくくってどうするよ>ぢぶん。

 ご本人のサイトによると「舞踏家」という肩書きは使わないそうなのですが、例えば山海塾などに比べると、いろんな意味で土方巽や大野一雄の系譜なんだな、というのが素直な印象です。ちうか、天児さんの方が海外で独自の進化を遂げたというべきなのかもだけど。80年代半ば、学生だった自分らが「パフォーマンス」と呼んでいたものにも近いんだろうか。

 高校生のための情報サイト、「MAMMO.TV」で田中氏のインタビューを見つけました(これ)。「ただ「いる」だけの踊りをめざして」というタイトルですが、とても面白いです。踊りと身体、踊りと言語。「身体を使っているつもりが、実は身体のほうが私より表現してしまっていることはたくさんある」、そこが「踊り」だというのは、観る専門の自分にも、思い当たるように思います。

 どうでもいいけど「MAMMO.TV」の古藤さんって、師匠の元同僚だよ。「しこたま」をやってた頃(90年代前半?)は、共催でシンポジウムやったりしたなぁ。こんなことやってたんだ。
 さらについでですが、首藤さんのインタビューもありましたよ(これ)。「トーリ」の頃だからずいぶん前だな。

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