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2011/06/07

生きてるうちが花なのよ

 というわけで、2日続けて新文芸座です。今日はラスト1本(800円)で、「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」。タイトルと大雑把な内容だけは知りつつも、みることができなかった幻の一品。DVDにもなってないんだよなぁ。映画情報はgooのこちら

 ドサ回りのストリッパー・バーバラ(倍賞美津子)と原発ジプシーのヤクザ宮里(原田芳雄)。二人(とバーバラの弟の正)はコザ暴動後の(つまり米軍政下の)沖縄からパスポートなしで「密入国」し、名古屋の沖縄料理屋の2階に住み着いている。正たちのせいで学校をクビになった元担任の野呂(平田満)を付き人に、バーバラは次の舞台の敦賀に向かい、また宮里も正らを連れて敦賀原発へ。娼婦のアイコ(上原由恵)、その恋人で原発の事故で被曝した労働者の安次(泉谷しげる)、事故の生き証人である二人を殺そうとするヤクザと刑事(梅宮辰夫)。フィリピン人の娼婦マリアに恋し、彼女を逃がそうとする正。

 gooのあらすじでは「美浜」になっていますが、主な舞台は敦賀じゃないのかな。冒頭で、「アイコは敦賀に帰った」旨のセリフがあるし、途中の道路標識(敦賀と美浜の出ている)でもそういう方向のような気がする。映画中の事故(廃液もれ)は、81年の敦賀の事故のことのように思うし。見た感じは美浜っぽいけども。でもまあ、それはある意味どうでもよくて。

 ストリップ・やくざ・原発・フィリピンからのじゃぱゆきさん・中学生妊娠・沖縄・水俣とてんこ盛りです。中でも重要な要素のひとつは沖縄。沖縄出身労働者の本土での扱い、コミュニティについてが多少でも頭にあると、描かれていることの深刻さが増してくるかと。

 そしてもちろん原発労働。中学中退(?)でジプシーとなった正につきつけられて、自分も労働者として中に入った野呂の見た原発内部。バーでビール瓶を吹いて被曝度合いを確かめる労働者たち(ロビー掲示の解説文によると実話だそうです)。
 膝に灸を据えながら、宮里が野呂に語る場面は、映画公開当時(85年)とは違って聞こえるだろう。膝の中に「ウラミウム」が入っているんだよ。(事故の時は)特攻隊だ英雄だとおだてられて中に入って作業したけど、身体の中に入った放射能は消えない、「ウラミウム」もね。

 安次から、「原発の中で労働者が死ぬと、どこからかヘリが来て、死体を放射性廃棄物のドラム缶に詰めて持っていく」と聞かされた野呂が見る、青空に吊り下げられた黄色いドラム缶から自分の死体が見え隠れする場面のシュールな美しさは秀逸。

 さまざまに重い要素を入れ込みつつ、全体としてはエネルギッシュな娯楽作として仕上がっているあたりが、80年代ATGの面目躍如だなー、とも思います。
 とにかく倍賞美津子がイイ! 始めの方で、居酒屋でカチャーシーを踊るのも美しいし、要所要所で背筋を伸ばして立つ姿はとにかくカッチョイイ。カッチョイイってのは、義侠心あってなんだよなあ。
 原田芳雄のかっこいいダメ男っぷりもいいけど、平田満の情けなさもいい。この3人の三角関係がとにかくいいんです。お互いに惚れ合いながらも信じ合ってはいない二人と、そんなバーバラから一歩下がりながら見つめ続ける野呂。重くもなく、軽くもなく。「バーバラを頼むよ」と言いながら、延々とのろけ話を聞かせる宮里とかね。 

 ほんとにね。生きてるうちが花なのよ。死んで花実が咲くものかよ。つくづく思うよ。

 というわけで、すごく面白かったです。久しぶりにワクワクしたなあ。見る機会はあまりないかもしれないけど、それだけに、機会があればぜひ。

 「溢れる情熱、みなぎる若さ。協同一致、団結ファイト!」

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