夢の王国
今日もいろいろあった1日でしたが、とにかくジャパン・バレエを終らしちまいませう。
そんなわけで、どれがどれだがもはやわからなくなっちゃった第1部の最後は「ムーサ」。聞きなれた言葉でいえば「ミューズ」ですが、そういえば松山のお稽古場は「ムーセイオン」でしたな。個人的には「ミューズ」といえば石鹸じゃなくて「ガラスの城」だったりしますが、ま、それはどうでも。
幕前にイスがひとつ。「牧神の午後」を思わせる扮装(カツラ込み)のニンフが、けれどにこやかに「牧神」を思わせる振りで動き、その間、ナレーターの女性が「ムーサ」についてのギリシャ神話的解説をします。イスに座って踊るニンフは、9人のムーサの母親というわけですね。暗転のあと幕があいて、中央に円盤、背景と周囲(床も)は星空のように照明(LED?)を散らした黒い幕。9人のムーサが台の上に乗り、群舞とヴァリエーションを踊ります。途中でちょっと気が遠かったけど、多分、9人全員ヴァリエーションがあったんだと思う。衣装は全員おそろいの、白のボンに黒に金をあしらったデコルテでしたが、ホワイエの「抱負」によると、ちゃんと9名の役は決まっているのね(見分けつかないけどー)。音楽はマーラーのよく聴く曲(威風堂々系)だけど、腰のところに鈴の束がついていて、それが音楽に合わせて鳴るのがとても気持ち良くてですね、……気持ち良かったんです(で、落ちる)。
で、てっきりぢぶんは、若手の団員さんだろうと思ってたんですが、これが高校生〜20歳くらいの生徒さんなんですねー。びっくし。裾が広いなあ。その前の演目に出てた男の子たちも、「夏休みスペシャル」で見た人がいたので若手の団員さんだと思ってたんですが、こちらもほぼ生徒さん(刑部さんは出てた?)。むしろ、夏休みSPに生徒さんが出てたわけで……。いやー、双方向にあなどれない感じです。
第2部は「夢の王国」。これが今回の目当てでしてん。
幕開けは確か、1部に登場した人たちから何人かが集まっていて、中の一人が巻物のような手紙のような物を持って、周囲に説明するような踊り。その手紙がいくつか、カゴに入れられ、風船をつけて空に飛ばされます。
場面かわって、お城の広間みたいなセットで、白とゴールドを基調にしたチュチュのお嬢さんがた(中〜高校生くらい?)12人の踊りがあって、奥から森下さんと清水さん登場! 短いPDDを踊ります。
その後、音楽が弾けるように鳴って、どわーっと袖中から弾け出てきたダンサーさんたちで舞台が(文字通り)いっぱいに。これが団員さんたちだったみたい。バレエの登場人物たちの洪水。キトリやジュリエットやキホーテやサンチョや、よくわからないけどカラボスぽい人やどこかの侯爵夫人っぽいのや、くるみの招待客みたいなおじさんや……。垰田さんのはジプシーなのかな? バンダナまいてたけど。いつもの2階後列にしておいてよかったなあ。
12人の女の子たちは、バレエから飛び出してきた人たちに囲まれて踊り、やって来た金の豪華な船に乗せてもらって、船出をします。これがよくチラシで見るあの船なのねー(←見られて満足)。
その船がどんぶらこっこと海を行く間奏場面があって、イルカに先導されて、……多分、最初の場所に戻ってきたんじゃないかな。新しい場所じゃなくて。船が下手奥から現れると、みんなが床にびっしりと座って波のように揺らぎ、……一瞬「人民の海」なってことばを思い出したりして……その間を船がゆっくり蛇行しながら進みます。どうして人を轢かないのか、まったく不思議。人は文字通りびっしり座っていて、ちゃんと船の進む場所だけは空いて、船が通った後はいつの間にかそこが埋まってるんですよ、人で。立ってるならともかく、座ってるんだもんなあ。
船が前方中央に止まると、初めに放たれた風船つきのカゴが降りてきて、女の子たちは手紙を受け取り、それぞれに見せ合いながらそれを読みます。そして行く手の希望をみるかのように、全員がやや上方を見上げて幕。
子どもの日の時に「夢の王国から」としてあったクラシックヴァリエーションがなかったので、どこか端折ってあったのかもしれませんが、意外と短くあっさりしてました(人は多いけど)。12人のお嬢さんがたが、踊りも上手だけど、船上での「きゃいきゃい♪」が、バレエの枠をはずさずにしかも女子高生らしくて、なかなか楽しかったです。
この日もカテコでは「いま・ここ」(ホワイエにも貼り出してあった)。4回目になるとさすがに「またか」という気もしますが、胸に手をあててじっと(ちょっと涙ぐんだりしながら)聞いている生徒さんたちをみると、今日は、この生徒さんたちが舞台の上で聞くことにも意味があるんだなー、と思ったりもしました。
ちなみに、今回は生徒さんたちが主役とて、前方に。森下さんは、後ろの団員さんたちの前列真ん中にいらっしゃいました。清水さんはいなかったな。団員さんは全員ではなかったような(乗り切らなかったか?)。
思うにー。清水さんというのは、振付家というよりも、演出家なんでないかな? とややもすれば失礼なような気もするけど、そんな風に思ったのでありますよ。
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コメント
突然のコメント、しかも何年も前の記事へのコメントをお許し下さい。偶然この記事を見つけ、コメントせずにはいられなくなりました。
実は私、この記事にあるジャパンバレエの夢の王国に出演していた者です。松山で踊っていた頃が懐かしく、今でも鮮明に思い出せます。余談ですがジャパンバレエに出演するのもオーディションで、なおかつ夢の王国の12人に選ばれるのはとても名誉なことでした。夢の王国は11または12歳でしか踊れないのですが、この役に入れたら洋子先生に選ばれたという意味があり、12人の中でも番号分けによる厳しい序列がありました。
今では松山独特のあの笑顔や真上を見ながら、そして半ば宗教チックだったのが面白いです。
投稿: はるぽん | 2018/06/22 21:20
コメントありがとうございます!
あの時に船に乗ってらした方なのですね。
松山はお教室も多くて,その中から選抜されるのは
大変なことだろうなあと思っておりました。
「女子高生らしく」どころか、11〜12歳では小学生ですか。
今はもう踊ってらっしゃらないのかもしれませんが
きっと大切な経験になったことでしょうね。
最近はあまり松山を見ていないのですが、
清水さんの演出は、独特なスタイルですが、
それだけによそにない面白さもあるので、
また時間が合えば見たいな〜と思っています。
貴重なお話、ありがとうございました。
投稿: 綾瀬川 | 2018/06/23 00:19