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2012/06/01

母がしんどい

 「母がしんどい」 田房永子著

 信田氏の一連のAC(アダルト・チルドレン)ものが出始めたときに何冊か読んで以降、この手のものはあまり手を出さずにきたのですが、見本が来たところで「これは読もう」と思ったのは、裏表紙(カバー)にある

 「突然通わされるピアノやバレエ」「ブラジャーを買ってくれない」

の2文。まあピアノやバレエを(本人の意志とは無関係に)やらされるのは(うちも含めて)ありがちといえなくはないけど、「ブラジャーを買ってくれない」のはなぜか。レビューにも「うちも買ってもらえなかった」というのが載っていたけれど、実はぢぶんも買ってもらえなかった。あれは本当になぜなんだろう、と思うけれど(いや、別に分析を求めちゃいませんよ)。うちなんか、4つ上の姉がいたんですから、買わなくてもお下がりでいいはずなんですが、「アンタはしなくていい」の一点張りでしたねえ。中学から電車通学でしたから、もう外から透け透けになって痴漢狙われ放題で(半年で股間蹴り上げぐらいするような女学生に育ったけどー)、「したい」っていっても「しなくていい」。見かねた司書教諭の先生が「お母さんにお手紙書いてあげるから」って言ってくれたのにも「殴られるからやめて」って言って、それで「殴られないような手紙」を書いてくれてようやくでしたよ。あれは本当に何だったんだろう。結局、自分で買ってたけどな。

 というようなことを思い出したりしつつ。

 うちの母とはベクトルがちがうなと思いつつも、それは著者が一人っ子だったのもあるなあ、と。作者は母親の「愛情っぽくみえるもの」と「怒り」の振り幅の大きさに振り回されていたようにみえるけど、それがうちでは前者を姉、後者を自分に振り分けられてたんだなー、という気もしなくもない。
 まあそれも「しんどい」ではあるけれど、だから自分はものすごく早い時期に、「100%自分の味方をする「自分」」を持てたし、家を出る時に男に頼らずにすんだ、ともいえるわけで。とはいえ、作者同様のキレっぷりは30代のうちはあったからなあ(ダンナよく耐えたよな……)。

 作者はいい精神科医に出会ったようにも思います。「あなたはひとつも間違ってないから、治療はいらない」って言ってくれる医者なんて、そんなにいないんじゃないかな。

 そして「父親からの(サイテーな)手紙」は実は自分ももらったりしたし( ̄▽ ̄)。父親が仲裁してくれなかったことも、「してくれないことで私は勝手に「お父さんは私の味方」って思えてた」というのも同じ(「シンデレラ」のお話で、父親の態度をあれこれいう人は多いけど、「不介入」以上の父親なんているのかねえ。なので、マイヨー版の「シンデレラ」の最後の最後、父親がシンデレラをかばって妻と別れるのは、ぢぶんにとってはすごく「救い」でしたよ。ふつー、あり得ないからねえ)。

 例えばカミュの「異邦人」は、現国の先生は「人を殺してなぜ悪いか」の文脈で扱ったけど、自分は「母親が死んでも悲しくないのは、そこまで罪になるのか」ということの方がショックだったわけで、「異邦人」というのは「親が死んでも悲しくないという異端者」のことなんだなあと。

 まあいろいろ脱線しましたが。

 「でもお母さんだからやっぱり好き」的なまとめがちなところを、きちんと親と絶縁して、その後はその後のこと、と貫いたところに(編集さんも含めて)立派だなーと思ったのでありました。
 自分らが「異邦人」であり続ける(社会的にそう規定され続ける)か、は、不透明なままではありますが。

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コメント

綾瀬川様

 お久しぶりです。「異邦人」のMIYUです。

 私もあまり(かなり?)親に恵まれなかった人間である、と思います。でも、親子間で何かあっても、世間的には「親の言う事をきかない子供は悪い」とか、「母親を嫌いだなんて、恩知らずな」とか言いますよね。それでずい分傷つけられ、悩んで参りました。人からかばってもらう事もありませんでした。

 でもいつしか私は気がついたのです。人が他人を非難する時には、それによって自分を守ろうとしているのだと言う事を。世間が親に抑圧される子供を悪者にするのは、それによって親子関係という世間の大前提、根底となる制度を守ろうとしているのですね。

 どんなに優れた制度でも必ず欠点はあるものです。ほころびは出てきます。だからどんな親だって正しくない時もあるし、子供にとってよくない実の親だっている。有名な判例「尊属殺重罰規程事件」なんかは読んでるだけで心が痛いです。
 
 だけど、親子関係という制度が崩れてしまえば、どうやって世間、国家は次代を担う子供たちを育てていけるのか。国家は、世間は責任を持てませんものね。

 何だかそう思うと、私はかなり気が楽になりました。みんな自分を守るために私を責めているんだ、せこいなぁ…相手にするのはやめよう、っと。…みたいな感じです。

 昔、性暴力の研修会に行った時、「被害者を決して責めてはならない。」というようなお話を聞きました。そして、自らのつらい体験を話した被害者に対して、必ず、「話してくれてありがとう。私はあなたを信じるよ。あなたは悪くないよ。」と言うのだそうです。

 確かに社会あっての自分です。そして、自分を守りたいという気持は私にもあります。でも、社会制度のいけにえとも言える人は必ずいます。そういう人たちに対して、せめて最低限の想像力といたわりの心は忘れたくないです。

 それにしてもブラジャーねぇ…。これにはびっくりです。先日ネットで通販サイトを見ていたら、素敵で心地よさそうなブラジャーやステテコがいっぱいのってましたよ。綾瀬川さんもそういった商品で生活を潤し、鉄剤やその他の治療薬にも負けない楽しい日々を送ってくださいね。

 ああ、それにしても私も飲み薬、貼り薬と薬に囲まれた生活だ…。


     「地球を救うより前に自分を救おう会・会長」MIYU

投稿: MIYU | 2012/06/01 20:35

MIYUさん、お久しぶりですー。

「子どもを好きになれない親」も「親を好きになれない子」も
想像以上にいるんだと思うんですよねー。
親子といえども人間関係なんだから、それで当たり前で
往々にして相思相愛にはならないもんだということが
子どものうちにわかっていれば、もう少し楽だったろうなあ、と。
親→子と子→親では、力関係が(いくつになっても)まったく違いますし。

それを(うちの母もそうですが)
「母親なんだから(自分は)子どもを愛している」と
思い込んでたりするのでさらにやっかいというか。

その辺りの思い込みがなくなるだけで、
楽になる子はずいぶんいると思うんですよ。

作者やレビューの人は、母親のブラジャーをこっそり使っていたそうですよ。
自分は中2くらいからは、着るものはほとんど小遣いで買ってましたね。
コートなんかはお下がりで足りてましたし。
おかげで今でも安物買いです。
ステテコもなの? ( ̄▽ ̄)
といいつつ、家では夏限定トランクス派です。楽ですよー。

投稿: 綾瀬川 | 2012/06/02 11:40

綾瀬川様

 私もこれからユニクロで自分用のステテコパンツを買ってきま~す!トランクスやステテコパンツで原発をなくそう!

   MIYU

投稿: MIIYU | 2012/06/03 14:59

よい買い物を〜 (*゚▽゚)ノ 

いいつつ下着はコルモピア(サミットの衣料部)愛好だったりして(笑)。
涼しい格好で乗り切りましょー。

投稿: 綾瀬川 | 2012/06/04 00:47

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