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2012/11/08

2幕最後まで。

 さあ、やけくそでいきますよ。2幕1場と2場をつなぐのは、1幕同様の幕前芝居。EOの紗幕を使ってオケピ側/舞台側と二つに分けられた二つの道。手前には必ずオネーギンが来ます。ああなんでこんなことになっちまったんだろうなあ(←自分が悪い)。拳銃を眺めながら後悔に嘆息するオネーギン。その紗幕ひとつ向こうの道をレンスキーが歩いていきます。オネーギンは止めようと手を伸ばしますが、届かない。あるいはそれは、オネーギンの見た幻影だったのか。彼はレンスキーの後を、決意を込めて歩き出します。

 先に決闘の場所についたレンスキーの踊り。初演のナガセくんはナルシスティックな、陶酔感さえ感じるようなソロでしたが、今回の方が踊りも安定し(初日のザイツェフよりよかったような……)、嘆きと悲しみのちょうど間くらいの(だからといって「悲嘆」でもないような、もう少し柔らかいような)心情がよく出た、いいソロでした。上衣がちょっと短かったのかな。

 さてそんなところへオリガとタチアーナがやってきて、かわりばんこにレンスキーを説得するも効果無し、のところへオネーギンの登場です。これもまっすぐにレンスキーのところに説得にいきますが、その二人の間をオリガとタチアーナがちょろちょろと。初演のときは、目の前をうろうろするタチアーナにいらだち、軽くリフトしておろすのも、ほとんど投げ捨ててないか? というような扱いでしたが、今回はほとんどスルー。オネーギンの目はまっすぐレンスキーに向かっていて、二人はどうでもよかったような。
 レンスキーの方はそうはいきません。周りが止めれば止めるほど、後には退けない。オネーギンが怒ったようなピルエットと腿を激しく叩く振りを繰り返し、決闘の場へ向かいます。

 ……なんですが。初演の時の木村さんは2回とも、この状況そのものにいらだち(←ホントにイラチだなー)、怒りのままにレンスキーを撃ち、帰って来てもまだ怒っていたぐらいで、大腿も盛大に鳴らしていました。が。今回は、腿を打つのを止めたんですね。振りとしてはやってるんだけど、手を払うように後ろに流す時に腿を打たず(音を立てず)に。最初は失敗したのかと思ったんですよ。それでも両手それぞれを2回とも空振りするかな? と、ちょっと引っかかってまして。で、横浜でもそこは同じように打たなかったんです。で、ああ止めたんだな、と。
 どうしても初演の時のイメージがありますから、東京公演の時にはちょっとつかめなくて、ずっと引っかかったまんまだったんですが、横浜で見て、なんとなくわかったような。あの場面全体において、オネーギンのトーンが怒りやいらだちではなくて、もう少しまっすぐで、冷静で、なにかもっと違うもの、だったように思ったんですよ。つまりピルエットに入る直前ですが、オネーギンは彼自身の怒りやいらだちによってキれたというよりも、なにか「レンスキーのために」決闘を決意したようなニュアンスの。レンスキーを撃ち殺して帰って来た後、タチアーナに見つめられ、見つめあった後、はっと自分の罪に気づく。大概はそこでおののきだったり、苦悶だったり、絶望だったり、要は「なんてことをしてしまったんだ」という台詞でくくられるものの中からそれぞれのニュアンスでどれかが前に出てくるんですが、横浜での木村さんからまっすぐに来たのは深い「悲しみ」で、木村さんを含めて何人か見たオネーギンのうちで、これほどまでに悲しいオネーギンは見たことがなかったように思いました。

 で、3幕にもう一カ所ひっかかった場所があって、それを含めてその後もしばらくおりにふれてころころと頭の中をころがしていて、あれはレンスキーの名誉のために、ということだったのかなあと。元々決闘という儀式自体が「名誉を守るため」に行われるものですが、命と名誉のバランスが今とはまったく違う文化の話であるので、もうここまで来てしまったら、やるのが自分のつとめだろうと。ええ、自分が原因だなんてことはきれいさっぱり忘れてますが。

 初めはちょっと「なんだよ」というふうにタチアーナと向き合っていたオネーギンが、タチアーナの背けるでもなく、非難するでもない、ただまっすぐな目に見つめられて、はっと気づいたのは、少なくとも横浜においては、まずもってレンスキーを失った悲しみであって、そしてその原因は自分であった、というそういうことではなかったかと。

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