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2013/02/02

「最後」の「火の鳥」

 忙しさにかまけてぐずぐずしてましたが、2週間(早いなあ)も経ってしまったベジャールガラから、火の鳥について。

 いうまでもなく、K村さんの「最後の火の鳥」と打たれてたわけなんだけど、「火の鳥」ってなかなか日本では上演してくれなくて、この8年で自分が見たのはこれが2公演目(計3回)になるんですよ。しくしく(ノ_-。)。ひどいわー。恨みは七里ヶ浜くらい深いのよー(←わかりづらいネタ)。前回見たのは2008年だよー(コンセプトが異なる「ミラー」での引用は除く)。

 そんなわけでそれなりに感傷的に見たことは否めませんが。

 踊りそのものはアレですね、以前だったらよくやらかしてた「気持ちに脚がついてってない」っていう。「M…」までがずっと「絶好調」な感じだったんでうっかり忘れてましたが、久しぶりの初日やらかし、と。周期が年単位になってくるともう見てる方もしばらくしてから「あ!」と思ったりして。それを最後にやっちゃうあたりがらしいなあ、とか……。

 ま、それはそれとして。

 すごく、あたたかかったんですね。前回も、「王女たちのロンド」を使った中間部はあたたかくて、アタックの方は熱かったと思うけど、今回は全体を通してすごくあたたかくて。アタックの場面でも、先頭で戦うとか、パルチザンを率いるとかいうよりもむしろ、見守るような視線の方を強く感じまして。で、それは、3.11以降に触れて「再生」を踊りたい(不正確ですが)、といった木村さんの事前インタビューでの想いにそうはずれてはいないだろう、と。

 なんというか、ぢぶんがその場で感じたことはふたつあって、ひとつは「火の鳥」がアタックで向き合っていたのは「眼前の敵」ではなかったのではないか、ということ。二度繰り返される、上手奥からの対角線上のステップの始めの前傾姿勢では、いつも通りに「獲物を狙う」目ではあったので、そういうわけでもなかったんだろうなと思いつつ、しかし「眼前の敵」よりもむしろ仲間のーーというか後輩の、彼を継ぐべきーーパルチザンたちの方へ想いが注がれていたような気がしたんですね。

 もうひとつは「火の鳥」となる「革命のリーダー」が、同時にパーソナルな存在だったということ。女性パルチザンのリーダー(今回は奈良さん)が彼の恋人だというのは(ポジショニングとしても)見りゃわかる話なんですが、結構ストレートだったなあ、と。前回は確か小出さんだったのでそう見えないというのもあり、今回は奈良さんがあらゆる場面で情熱的であったというのもあり、前回よりも木村さんの包容力が(これもあらゆる意味で)増していた、とかまあいろんな要素はあると思いつつも、思想的な支柱とか同志的なナントカとかを超えた、パーソナルな感情がその一瞬にぱあっとふりまかれて、実際は木村さんはずっと舞台の上にいたにもかかわらず、奈良さんが飛びついたその瞬間に、「あ、帰ってきたんだ」と思ってしまったんですよ。

 ということを、帰る道々つらつらと頭の中で転がしてまして。

 これは木村さん自身が、そういう風には踊ってないという確信を持ちつつも書いてしまうのですが。

 ぢぶんはなにか、「革命のリーダー」という男が、「火の鳥」になった時にはもう死んでいたんじゃないかと、そんな気がしたんですね。冒頭の戦闘で死んだリーダーの魂が(肉体がではなく)「火の鳥」となって、援軍が来るまでパルチザンたちを守り続けたのではないか。そしてフェニックスに後を託して飛んで行く、と。「鳥」って「死者の魂」でもあるわけで。
 
 ……中間部がお盆だな。

 フェニックスの弾くんと向き合って、木村さんが弾くんに笑いかけたときに、ああもう木村さんの中で「火の鳥」は終わったんだな、と思ってたいそう切なくなったりもしましたが。「次はお前らだからな」という。……ええまあ、身体の厚みが弾くんの2/3だよ! どこに内臓入ってるんだよ!ヾ( ̄0 ̄;ノ! と思ったりもしましたけども。

 印象に残るのは、やはり中間部にある、パルチザンたちが火の鳥を囲んで立ち、火の鳥が中央で膝立ちになって手をあげ、つかみ取る場面で、木村さんの掌から本当になにかあたたかいものが出て、パルチザンがそれをつかんだように思えたこと。遠くをみつめるときの切ないような表情。やっぱり「ロンド」の場面、いちばん好きだな−。

 初役がいくつあるんだ、の弾くんのフェニックスは、まだ詰め切れてはいなかったけど、次代のリーダーとしてここに登場するのは、やはり後藤さんではなくて弾くんでないと、と思わせる力強さ。
 パルチザンのヴァリ1は宮本さん、ヴァリ2は梅さん。梅さんも初役ラッシュだな。宮本さんはもうバリバリですが(←シャレてるわけではなく)、対角線上に木村さんと梅さんが両手を挙げて立ったときの相似形が、なんとも味わい深いというか。「見守る存在」と「継ぐ者」を、そんなところでも感じたりして。梅さん、あの衣装似合うなあ。すごくいい顔で踊っていたし。

 ……ええ、「卒業」したのは「火の鳥」と「役人」だけで、別にそれ以上のことじゃないんですけどね。やっぱり感傷的にはなるじゃないですか、そこは。

 で、終了後にちゃんと、奈良さんと乾さんと二人抱えて「両手に花」を満喫してる辺りも木村さんらしいな、と思ったり思わなかったり(思ってるだろー( ̄▽ ̄))。
 

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コメント

綾瀬川さんこんばんは。

なんだかとっても素敵な感想(?)です。
私も「火の鳥」観ていろいろ思ったけど
言葉に表せなくて・・・
でも↑すごくわかる気がします!

「最後の最後の」言われると感傷的になりますよね~。
継承していく役があっても
まだまだ木村さんの踊りの世界は続きます!
引き続き楽しみましょうね。
今日の横須賀も行かれたのですか?

投稿: Nc | 2013/02/03 22:58

Ncさん、どうもですー。
感傷におつきあいくださってありがとうございます。
「(上演頻度から考えると)この役はもう最後かなー」と
思いながら見ることは結構あるんですが、
ぢぶんの中で「終わったんだな」って納得しちゃったのは
今回が初めてなので、なんか過剰に感傷的になっちゃいましたよ。
「役人」の方はむしろ普通だったように思うんですが……。

横須賀は行ってきましたよー(^▽^)。
なんのかんの言いつつも、やっぱり美しかったです。
残り、仙台から帯広と、日程キツそうですが
ケガだけはしないでがんばって欲しいですー。

投稿: 綾瀬川 | 2013/02/04 02:32

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