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2013/03/26

チェロの絵本

 久しぶりに絵本の紹介。

 いせひでこ「チェロの木」

 祖父が育てた森(のそば)に住む少年の父はチェロ職人。父の作るチェロを弾くチェロ奏者の演奏を聴いた少年は、その音色に心を奪われる。父は少年のために、森の木で子供用のチェロを作る……。

 いせさんは大好きな絵本作家のひとりですが、これもまた、とても美しい絵本です。ほかにあまりことばはいらないくらい。森のひんやりとした空気を感じ、「木の奏でる音」が聞こえてくればそれで十分、という。いせさん、チェロを弾く人だったんだな。

 ……いやしかし、チェロ奏者はまずもって「パブロ」なんだな、という。

 「1000の風 1000のチェロ」

 こちらはいせさんでも、もう少しラフな方の画風で。少年と少女、そしてベテランの3人のチェロ弾きが出会い、音を重ね合わせていく。阪神大震災のチャリティーコンサートをテーマにした絵本。
 少女のぶっきらぼうさというか、3人の、べたつかない距離感がいいんだよな。

 自分は、いわゆる「一斉追悼」的なものには非常に懐疑的だし、「時間がきたので黙祷」なんてただ欺瞞にしか感じませんが、チェリストが亡くなった同僚を思い、少女が震災の後、飼えなくなって放した小鳥を思い、少年が(震災とは関係なく)亡くした犬を思うように、ひとりひとりのパーソナルな「思い」をそのまま尊重しながらひとつのうねりを作る、というのは、音楽や舞台といった領域の「特性」なのであろうし、だからこそその思いの回収される「先」に(特にそういった領域に関わる人々は)敏感であらねばならない、と、あらためて思ったのでありました。

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