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2013/08/19

広島爆心地中島

 前の本を読み終わってないんだけど、図書館に返す都合で先に読了。

 レビューあげてませんが、先だって、

 を読み終わりまして、これがまあすごい力作で、ぐいぐいあっという間に読んじゃったんですけど、核弾頭の中でウランの分裂が始まってから(つまり爆弾炸裂前)10秒間に何が起きたか、という検証もので。本の元になったNHKスペシャルも見たんですが、もう目からウロコがおちるような、すごいインパクトだったんですよね。
 で、本を読んだところで、たまたま別件で図書館をうろついていたらこれが目に入って、改めて爆心地の状況を読んだら、今まで気づかなかったことが見えるかもしれない、と思って借りてみました。

 中島、というのは、現在は平和公園になっている、大きな中州です。表紙写真を拡大すると手っ取り早いですが、表紙左のやや上、T字型のコンクリートの橋が、投下目標になった相生橋。2本下の左右にまっすぐ島と川とを貫く道路より上(北)が平和公園。ちょうど「中」の字の下っかわが引っかかってるのが史料館ですね。原爆ドームは相生橋の近く、川を挟んだ対岸にあります。実際の爆心地(島病院)は、ドームからさらに右(東)になります。

 で、「10秒」の本で読んだ、衝撃波の流れや火事の発生具合などを念頭に置いて読むと、やはり「なるほど」と思うところもいろいろあったんですが、それはそれとして。

 むしろ両者の本に共通するのは、「そこに人が住んでいた」ことへの喚起なんですね。「10秒」で、原爆ドーム近辺の街の再現を担った映像作家の田邊雅章氏は、ご自身が産業奨励館(のちの原爆ドーム)の隣に住んでらしたのですが、平和公園を案内していて「(原爆が落ちたのが)人の住んでいないところでよかった」と言われたことにショックを受けて、CGによる被爆前の町並みの復元を始めたとのこと。で、本(というか番組というか)は、その再現された町並みを元に、爆心から何メートル先は何によってどう破壊されたか、を検証していく。この「中島」の方は、中島を舞台に時間を追って出入りした人の証言で、その状況を裏付けていく。両者とも、被爆前の詳細な地図(住宅地図的な)を重ねていくことで、被爆前後の光景(平和公園ではない状態の)をリアルに想起させる。特に、「中島」についている地図は、中の字の多くが手書きで小さくて読みづらいのは難点ですが、現在の建物(資料館や原爆の子の像など)を重ね合わせることで、位置関係がわかりやすいですし、証言者の動きもイメージしやすくできています。

 そこで行き着くのはやはり、「土地の記憶」という問題なわけです。

 田邊氏であれ、この本の編者である「原爆遺跡保存運動懇談会」であれ、そこにあるのは、かつて自分(や親)の住んでいた場所に対する、深い愛情であったり、亡くなった人に対する想いなんですね。「平和公園でなかった街」に対する想い。それは長崎での、例えば浦上天主堂の保存運動とも重なってくるんです。残すにしろ、残さないにしろ、その土地に深く関わった者ほど、その想いは複雑で、一概に「どちらがよかった」とは言い切らない。

 ちょこっと続きます。

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