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2013/10/05

日舞「ペトルーシュカ」続き

 こちらのブログで、前回の日舞×オケについての記事が読めます。月刊「日本舞踊」の記事がそのまま出ていますが、そもそもの企画は例の、ギエムや花柳寿輔さんの出た「HOPE JAPAN」の成功を受けて、東京文化会館からオファーがあったということのようです。あのときの花柳さんたちの舞台、よかったものなあ。こちらはおけぴの記事ですが、この中で、カブキの初演の時にベジャールに「ボレロを日本舞踊でやりたい」と言った話などが出てきて、なかなか面白い。カブキからここまでが続いてるようなもんなんだな。

 さて、昨日は筋を書いたら終わっちゃったんで、続きです。

 元になっているフォーキン版(にも原作はあるのだろうか)では、人形遣いは老人で、ムーア人の部屋にバレリーナを送り込んだり、2人がいちゃついてるところにさらにペトルーシュカを放り込んだりはするんですが、いってみれば「その程度」でもあるんですよ。

 今回の日舞版では、おそらく花柳輔蔵さんのキャラクターと怪演によるところが大きいのだろうとは思いますが、もっと悪辣な(笑)感じがします。スキンヘッドに黒の着物、青のアイメイクで、女形の仕草はサディスティックで、人形たちはただのなぐさみもの。

 フォーキン版でも、ペトルーシュカのソロは、彼の部屋に掲げられた人形遣いの肖像画が彼をにらみつけ、ペトルーシュカは恨み言をいいながらも威圧され、ひれ伏す、いわば絶対的な支配=隷属関係があるんですが、日舞版の人形遣いは人形小屋の中からペトルーシュカに長い黒髪のかつら、あるいはモヒカンのかつらをつけた姿を見せて彼を脅し、その怯えるさまを楽しむという。階級というよりは性癖だなあ、ペトルーシュカたちが翻弄されるのは。
 それだけに、ラストに人形遣いが受けるショックも大きく、フォーキン版ではペトルーシュカの幽霊に腰を抜かす程度のことですが、今回は絶命しちゃいますからねえ。そんだけ恨まれてたんだなあ。屋根の上の幽霊に驚くんじゃなくて、本人が上に昇ろうとするのが面白いな。

 ペトルーシュカの南蛮襟を見た時は、やられたなあと思いましたよ。天草四郎的なアレ。その手があったか−。バレリーナはおてもやん風というか。いや、多分何か呼び名がきちんとあるんですよ。その装束についての。そういうのがわかればさらに面白いんだろうなあ。

 ムーア人は、あれはなんていうんですか、南京玉すだれ的で豪華な衣装。テレビで見たのは多分、寿太一郎さんだと思うんですが、恰幅のいいお大尽風で(でも顔は「ムーア人」の黒塗り)、金も力もありそうな感じ。今回は前述したとおり、昌克さんが代役でしたが、前回と比べると特に顔立ちがほっそりしていて(若い頃のさだまさし的な)、貫禄には欠けるんですが、その分コミカルさがアップ。ペトルーシュカとの掛け合いも互角よりちょっと上、くらいで、ケンカの場面の前半はむしろ笑えたくらい。
 しかし、暴力的になって以降は怖さも増して。恰幅のいいお大尽の暴力よりも逆にコワイ。まあ、テレビで見たのとナマで見るのとではやっぱり違うので、そういう要因もあるんだろうと思うけれど。
 フォーキン版のムーア人が、見てくれは豪華だけど頭はからっぽという(ヤシの実を礼拝しちゃうような)、まあ当時の差別意識もあるんだろうなあという造形を考えると、その暴力性というのもある意味では納得感があるというか。
 しかし、キレたムーア人にいきなり殴られ、その後にペトルーシュカをフクロにする光景に怯えていたバレリーナが、最終的にムーア人についていくというのは、(観念して)DV男の元に戻るツマのようで、後味はあまりよろしくない。

 人形自体は「糸操り」になっていて、人形遣いの(実際にはない)糸を遣う指の動きの繊細さに見惚れてしまいますが、その糸に合わせて動く人形振りも面白く、特にムーア人の(サンダーバード風の)歩き方とか笑っちゃったなあ。ツーステップがかわいいんだよ( ̄▽ ̄)。

 久しぶりにごとやんのムーア人が見たくなっちゃったなあ、というところで、次の演目へと参ります。

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コメント

録画分をやっと見ました。バレエを知らんのでえ?どういう話?って思いました。面白かったし、外人にすごくうけそうって思った。
その流れでみたボレロはやっぱりいいな。特に群舞。
客席の件、ご愁傷様ですだ。

投稿: ura | 2013/10/09 10:52

元になったバレエだと、

お祭りで広場大賑わい!→人形遣いが出てきて見世物→人形が生きてるみたいに踊ってみんな大喜び!→舞台が終わって裏では人形が三角関係→その頃お祭りは絶好調!→小屋から人形達が出てきて、ペトルーシュカ惨殺、2名逃亡→警官がきて解散→ペトルーシュカの幽霊が屋根の上から人形遣いに恨み言、

みたいな流れなので、日舞版の幕が閉まってる最初の方も
いろんな大道芸人とか物売りとかがたくさん出て面白いんですよ。
後半もやたら金をまくおっさんとか熊連れた人とかが出て、
動体視力が限界に(笑)。

ボレロ、今回群舞だけだったけど面白かったよー。

投稿: 綾瀬川 | 2013/10/10 00:21

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