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2013/10/08

日舞「プレリュード」

 日舞×オケ、3演目めは「プレリュード」。ドビュッシーの前奏曲集より、「亜麻色の髪の乙女」「雪の上の足跡」「沈める寺」の3曲を使い、花柳壽輔さんが振り付けたもの。メインになる「沈める寺」以外は1曲まるまるではなかったような気がします。「亜麻色」の前に前奏的に短くついたのは「沈める寺」からだったのかな。「雪の上の足跡」といえば、ぢぶんとしてはもうまずもって「時節の色」のアレですが、今回はブレイナーのオーケストラ版ですので、まあ別物っぽく。

 美術は千住博氏。大きさの違う5枚のスクリーンに、千住氏の描いた森の風景と水の中のイメージがゆらめきながら投影されるのは美しいんですが、何分にも後ろのご年配の方々が、画面が動くたびに「あらー揺れたわ揺れたわ!」とおおはしゃぎなさるので、個人的には逆効果といいますか、凡庸な美術で後ろの人が黙っててくれた方がなんぼか(何度か後ろを振り返って「しー!」ってしたんですけど、そんなことにも気づきゃしないレベルだったんですよ……orz)。

 まあそんなことも、ぢぶんがノれなかった要因としてはあるというのは否定しませんけども。

 金茶(かな)の着物に袴、笠をつけた壽輔さんの「旅人」が森深く迷い込み、玉三郎さん演ずる水の精に惑わされ、湖深く沈んでいくというもの。筋としてはわかりやすく、まあむしろイメージ的な作品。ただもう少し練れてればなー、という印象も。

 ひとつには、曲のひとつひとつのつなぎが今ひとつうまくないんですね。「展覧会の絵」がよどみなく、6曲が1曲かのように流れていった後だったので、たとえとして適当かはアレですが、フィギュアのフリーで「曲のつなぎが悪いなー」と思うような、ああいうふうにぶつっと感じる。

 もうひとつは、黒子さん4人が壽輔さんをリフトする場面が何度も出てくるんですが、これがどうもうまくない。波に浮いたり、翻弄されたり、水の精に手を伸ばそうとして届かなかったり、という演出なのはわかるんだけど、どうもスムーズでないというか、こう、もっさりした感じが。リフトする方もされる方も慣れてないのかもしれないし、袴を穿いた状態で上げ下げするのは、レオタードやタイツでやるのとは違うだろうからなあ、と。イメージ的には、「ザ・カブキ」の雪の別れの場で、由良之助が黒子に担がれて退場し、顔世が波に飲まれていくことで、運命に翻弄される2人を描く、ああいう感じなんですけども。日舞ではああいう振りというのはあまりないのかな。ここいらが「革新的だ!」というのがわかると、さらに面白いだろうと思うんですけど、そういう素養がないからなあ……。

 えーと。玉三郎さんは、水色の着物。玉三郎さんの背が高いのか、壽輔さんが小柄なのか(両方だけど)、身長差がすごいな。
 お二人とも、舞はもうさすがなんですが。玉三郎さんの「異界感」とでもいいますか。「物の怪感」かな。すっと出てくるだけで、この世のものではない何か、なんですね。振りは、腕の動きに白鳥っぽいのが入ったりして。壽輔さんの、「旅人」といっても分別のありそうな、ええとまあ、武士の中でも比較的身分の高そうな辺りのおっさん……じゃなくてなんだ、ええええっっっっとお、とにかく「旅人」ですね、それが分別を失って翻弄されるさまというのもなかなかによろしくて。それだけにもう少し集中して見られるとよかったのかもなあ。

 そうそう、お二人のカテコはさすがに長かったのですが。確か「ペト」では、幕前のカテコはなかったような気がしまして。「清姫」の方は、6人が幕前に順番に出ては、それぞれがそれぞれにキメポーズなどを作ってくださいまして(ちょっと戦隊っぽい……というか戦隊がそれっぽいのか)、それもすごく楽しうございましたです。

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