« 紅葉…… | トップページ | 2幕に入りまして。 »

2013/11/09

天台声明を見る。

 一度生で聞きたいと思っていた声明の舞台というか公演というか、先だっての「日舞×オケ」の余勢を駆ってチケットを取りまして、ようよう行って参りました。国立劇場の小劇場、13時と16時の二回公演だったんですが、チケ取り段階でほとんど席がなく、16時の回、後方上手端から2番目。まあ動き回るってものでもないから、端が見えない分には問題ないですが、字幕は下手側のを見るしかないという。

天台宗総本山 比叡山延暦寺の声明 慈覚大師御影供
 お話:天台声明と慈覚大師  齊藤圓眞(天台宗参務)

慈覚大師御影供(じかくだいしみえく) 
<出演>天台宗総本山比叡山延暦寺法儀音律研究部/天台雅楽会/一般社団法人 宗徧流四方庵

 一応、法会の形式で。「御影供」てのは、供養する祖師の肖像(御影)を掲げてやる法要ですな。最初に10分(とタイムテーブルに書いてあった)ほど、講話がありまして。主に声明の歴史とか効用とかのお話。「講話ばっかりだと眠くなるので声明でアクセントを」とかいった辺りで微妙に笑いが(笑)。
 効用のひとつに「要点を歌にするので覚えやすい」と上げられてましたが、それは無理(笑)。歌う方はそうだろうけど聞く方は無理( ̄▽ ̄)。祭文や徳行讃くらいの速度でやってくれればいいけど、普通の声明のテンポだと、今うなってる「羅」の前が「だ」だったか「さ」だったかも覚え切らんという。

 今回はプログラム(400円)に全文がルビ付きで載っておりまして、客電もプログラムが読める程度に調光してあるので、読みつつ聞くこともできるし、両脇の電光板の字幕もルビ付きなので、それを見つつでもよし。で、途中で気づいたんですけど、ルビの通りに発音してるんですね。つまり「さう」は「そう」ではなくて「さう」のままだし、「かう」も「こう」じゃなくて「かう」なんだな。以前、「てふてふ」は実際に「てふてふ」と発音されたので「てふてふ」と書くのだ、という説を読んだことがあるんですが、そんなようなものなのか。

 真ん中に慈覚大師の御影(投影?)とお供物を置く段、下手側の段に雅楽会(笙+ひちりき+横笛)、上手側の段に献茶のためのしつらえ、手前が上下両側に3×5人ずつの僧侶、中央に導師(と世話係)。導師に向かって前列というべきなのかな、中寄りの5人×2のうち両端の2人×2がお供物を運ぶ係(運ぶ時はマスクをする)で、中の3人×2がいわゆるソリスト。2列目の舞台側の上手が銅鑼っぽい物をたたく人で、下手がシンバルっぽいのを鳴らす人。こんな感じ。

○ 祭文    供物係      供物係  ○   ○○
○  ○    教化       徳行下  ○   ○○  
○  ○    徳行上      六種   ○   ○○
○  ○    僧讃   導師  伽陀   ○   ○○
○ シンバル的 供物係      供物係  銅鑼的 ○○

 上が舞台奥。上手側は多分こんな順だったような。うろ覚えだし、そもそも口元が見えないからさ……。口元で誰が唄ってるかを見るって、大阪市教委のようなアタクシ。

 シンバル的な物(銅〔フツ〕)は、シンバルのようにぱあん!と打ち鳴らすのではなく、一度合わせた後、その2枚のお皿の振動する縁を巧妙に合わせることでさらに音を出すような感じ。銅鑼っぽい方も(銅〔ニョウ〕)、音は「ぺん!」みたいなこもったものですが、薄い上に衣で押さえていたような(←よく見えなかった)。祭文は、日時を入れるところを今日の日付と国立劇場に直して入れてました。お供物は餅(団子?)から始まって、野菜(多分)、リンゴ、餅(団子?)のあとにバナナが来てびっくりした(・_・)!。そういえば本家の仏壇(日連系。幅が1間あった)も、よくリンゴとバナナがあがってたな。「水菓子」のくくりかな。で、献茶+餅だか落雁だかみたいなもの、最後によくわかんない箱(個包装)が積んであるもの。お茶か何か? で、途中でもう一回献茶。袖から在家の人(多分。法衣でない)が運んできて、供物係の人がリレー。

 まあそれはともかくとして。教化を唄った人(多分テノールくらい)が素晴らしくてですね、うっかり涙腺ゆるんだくらい。見た目おっさんの坊さんなのになあ。あと六種と徳行の上段の人かな。低い声ではないんですが、うっとりしちゃった。
 人の声って不思議だなあと、つくづく思いますよ。曖昧な音程を正確に出す、とでもいうのか。声の中の「揺らぎ」もさることながら、倍音が出てるんじゃないかと思ったり。そんで、耳がつくづく近代西洋音階に慣れてるんだなあ、とも。微妙な音程を耳でコピーするのが基本だろうし。グレゴリオなどの古い聖歌の「揺らぎ」にも共通するものがあるとは思いますが、「似て非」の「非」にアクセントがある感じ。

 母方の菩提寺は真宗なんですが、そこの若さん(といっても還暦過ぎだ)の読経の、文末の引き方なんかは大体同じじゃないかな。まあ真宗は天台系の声明なんだそうですが(そして若さんは国音大の声楽科卒だそうな)。

 儀式とか決めごとは基本的に好きなので、いろいろ面白く見聞しました。まあそう何度も見なくてもいいような気がするけども、今回は法会だったし。般若心経は客席から唱和してる人が結構いたなあ。
 プログラムによると、天台声明は「女性的で優雅」、真言声明は「男性的でダイナミック」だそうなので、真言声明も一度聞いてみたいところ。黛敏郎の「涅槃」CDに入ってる薬師寺の声明って、最後まで聞けた例しがないんだけど、やっぱこういうのは生でないとなあ、と思いましたです。

|

« 紅葉…… | トップページ | 2幕に入りまして。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 紅葉…… | トップページ | 2幕に入りまして。 »