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2013/11/13

最終回。

 で、つらつらと振り返りつつ、友佳理さんとのジゼルの時は同じ場面で、ジゼルを求めるアルブレヒトの声がいっぱいに響いていたなあなんてことも思い出しつつ、今回はそういう風でもなく、なにかもっと削がれたような感もあったかな、と。水香ちゃんも木村さんも違う方向に過剰になることが多いから、歩み寄るとそんな風になるのかも知らん。

 ミルタに引き出された後のPDDもそう。お互いに抑制するところもありつつ、むしろ木村さんの方に合ってたのかな。ゆっくり音をとって伸びていくイメージの。サポートされて前方に腕を伸ばしていくところが水の中をたゆたうような感じ。

 対角線に向き合って、後ろからウィリ2人ずつに引き離される場面、前回ほどに「引き離される」感じはなかったんだけど、その後に抱き合ったときにですね、アルブレヒトは初めて「愛する」ことを知ったんだなあ、と。木村さんの舞台はわりとそういう「瞬間」があるんですよね。自覚的にかどうかはわからないというか、どちらかというと行き当たりばったり……じゃなくて、舞台の上で「そうなる」部分なのかなーと思ったりするんですが。初演の時のバヤデールの影の王国なんかでも、ヴェールのPDDでそういう「瞬間」があったりしてね(だからもう一回ソロル見たいんだけどなー)。あの引き離されるような振りは、確か「エチュード」のシルフの場面の中にもあったはずで、アルブレヒトを踊る前からあそこはアルブレヒトだったような気が、というか、順番で行くとあれがアルブレヒトに移植されたのか、というか、ええまあそんなこともあって「エチュード」ももう一回見たかったんだよ……(ノ_-。)。いやまあそれだけじゃないけどもさ。

 ま、それはともかくとして。本当に美しかったですよ。美佳さんや友佳理さんとだと、逆に何か過多になるような気がして、それはそれとして「心を打つ」ものになったと思うんですが、余分なもののないプレーンな「悲しみ」のもつ美しさみたいなものも、それはそれでいいなあ、と。
 で。片膝をついた木村さんの背中に水香ちゃんが身体を預けるようにポーズを決めてフィニッシュになるんですが、曲が終わって立ち上がる時に、そもそも2人の上体と前方に上げた右腕の角度はきっちり合っているわけですが、ポーズをほどくときに手首から指先までを一瞬ふわっと……なんていうんですかねぃ、そよがせるようにして腕を抜く、あのタイミングと抜き方がぴったりとひとつになっていて、なんかそんなところでカンドーしてしまうという……。こんな風な寄り添い方もあるんだなあ。

 その後の水香ちゃんの魚跳びのところはよかったけど、しかし木村さんが引っ込んじゃった後の水香ちゃんの連続ホップは、なんでそこで自動人形に戻っちゃうかなーーっヽ(`Д´)ノウワァァァンっていう……。今回そこだけは不満だったよ……。あそこはもう友佳理さん以外では満足度低めなのは自分でもわかってるからその分差し引いても「おいおいおい」だったよう。

 で、アルブレヒトのヴァリ。一度引っ込む前の短い踊りも含めて、たっぷり歌わせる、というほどではなかったけど、そんでも久しぶりのノーブルっぷりを堪能しましたよ……(ノ_-。)。短いしな、ヴァリ。最後はザンレールの着地で倒れるパターン。

 これで2人引っ込んで、ウィリたちが動き始めるともう大詰めですな。アルブレヒトはブリゼではなくアントルシャ。前半はアンバで、後半は腕を開いて。上下にはしてましたが、「腕で跳ぶ」ではなくて別個ぱたぱたしていたような。高さもあるし、つま先まで正確にかつ美しかったですー(ノ_-。)。前回の横須賀では開いて固定した両腕が十字磔みたくなって「ああっ、その手があったか!」みたいなことになり、春日井ではなぜか絶好調すぎて跳んでるうちにハイになってないかおい、てな感じでしたが、3回目になってやっと通常運転といいますか。まあ後半全体がそうで、横須賀で前半飛ばしすぎたのか最後本気で死にそうになり、春日井では逆にあと2時間くらい踊らせとけよ、てな感じになってましたが、今回はほどよいくたばり加減というか、いい案配に着地したような。

 水香ちゃんの方はといえば、今回ホールバーグとの舞台を見ていないので6月比になるわけですが、ミルタとタイマン張るようなジゼルでもなく、なにかこう決意めいたようにアルブレヒトを守る、というわけでもなくて。最後に鐘がなってウィリ達が捌けて行くときに、いつもだと割と「勝った!」みたいな印象があるわけですが(笑)、今回はそこでジゼルがウィリから「ジゼル」に戻った、といいますか、あるいは人に戻ったとか少女に戻ったとか、そんなような気がしました。ああ、ちゃんと成仏できるんだなー、というか。いつもよりも自己主張が薄く、本人的には物足りないのかも? と思わなくもなかったんですが、でもこれくらいでいいんだよ、とも。

 最後の「本当のお別れ」はあまりべたつかずに、「大人」と「少女」で。最後は花をこぼしつつ、立て膝で墓の方へ手を伸ばす東バデフォで。何か最後まで、プレーンで純粋なイメージだったな。大吟醸のようなジゼル。

 カテコでは、水香ちゃんはいつも割とすぐに素に戻るけど、木村さんがしばらくほうけてました( ̄▽ ̄)。こういうほうけかたをするようになったのは「オネーギン」の初役のときからですかねぃ。あのときに、木村さんは「オネーギン以前/以後」に分けられるようになるだろうな、と思いましたが、そんなことを思い出してみたり。しかしまだまだ純クラ主演いける! ですよ。まだまだ見たいよ……。

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