« じわじわと | トップページ | カルメンつれづれ。6 »

2013/12/01

聖なる怪物たち

 12月は忠臣蔵。って、大概桜のイラストにしてしまうんだけど、今回は討ち入りっぽく雪で。そもそも忠臣蔵を12月にやるのって、討ち入りが12月だからだもんな……。

 さて、ギエム&カーンの「聖なる怪物たち」楽日に行って参りましたよ。前回のレポはこちら。やっぱりこの作品は大好きで、また見られてとても嬉しい。でも続けて何度も見てしまうと面白くなくなっちゃうかも、とも。ギエムとカーンのパーソナリティに負うところの多いこの作品は、2人以外ではあり得ないし、そうするといつか2人のうちのどちらかが踊れない/踊らない選択をしたときには、そこで終わってしまうんだろうなあ。そういう作品は少なくないとはいえ、ちょっと淋しい心持ちも感じたり。

 つことで。カーンはおっさんぽくなったかなあ、前からおっさんぽかったかな、と思ったら74年生まれ。ギエムより10近く若いんやん(笑)。舞台は小さい頃の回想からだんだん現実に近くなっていくはずなのに、ギエムとカーンはどんどん子どもに返っていくようなのが面白い。

 歌手の女性(ジュリエット)は、プログラムの白黒写真を見る限りだと赤毛ではないみたいだけど、あれはギエムに合わせて染めてるのかな。初見の時にはあまり気づいてなかったけど、あの赤毛で、今回はギエムの「インナー・チャイルド」的な役割を強く感じた。もっとも最初の「古典の枠」の場面では、ギエムとジュリエットと、どちらがインナー・チャイルドなのかというある種の転換が時々自分の中では起こっていたのだけど。

 古典舞踊(ギエムの場合はクラシック・バレエ、カーンの場合はカタック、と東西は違え)の「様式」と自分との葛藤、というのは、このかん日本の伝統芸能の記事をいくつか読んだけれど、ほとんどどの世界にも共通なのかもしれないなあ。今回は全編にわたって、そのテーマをずっと感じながら観た。で、今だ葛藤するカーンと、自由になったギエムの間にあるのは「相克」というよりもむしろ「融合」なのかもしれないけど、自由になったはずのギエムの方にこそインナー・チャイルドが必要とされるような気がして、それもまた面白かったな。

 いぢめっこのギエムといぢめられっこのカーン、追い詰められたカーンの頭突きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! という図式は変わらなかったりして(笑)。ギエムの動きが、この作品に限らず時に「格闘技的」といわれるのは、脚の可動域(特に後方に回したときの)とスピードのせいかもしれないなあ。

 軽妙さもこの作品の魅力のひとつだけど、重みをたくさん抱えてそれを脱ぎ捨てた後の軽みなんだな、というのも、今回はしみじみと。
 ギエムは古典を脱ぎ捨ててフリーダムになったけど、それはジェンダーを脱ぎ捨ててフリーダムになることでもあったような気がするんですよね。ジェンダーを乗り越えたり越境したりするのでなく、ギエムにかかるとジェンダーそのものが無意味になる、無化される、少なくともぢぶんにとってはギエムはそういう存在なわけで。それは「カルメン」においても重要なファクターだと思うんだけど(古典てのはジェンダーそのものだからね)、それはおいておいて、ギエムが「かわいい」「子ども(というかティーンエイジャー的)みたい」というのは、そのジェンダーからの「フリーダム」さが持ち得た/半ば必然的に持つ「無垢」さからくるような気がするんですよ。

 ギエム自身は、肉体的なことも含めて様々なことを抱えているのだろうけど、なにか根源的な(それこそ「プリミティブな」)「フリーダム」を体現しているように、ぢぶんには思えるんだよな。そしてこの作品にはそれが身のうちから発現されるように思える。

 って、カーンも大好きなんですけどね(笑)。カーンやクラウドゲートはもっと観たいんだけど、なかなかその機会がない。
 音楽もよかった! ヴォーカルは男女ともとてもすてきだった。歌詞の対訳とまではいわないけど、どんな歌なのかがわかるともっとよかったな。普通にコンテに使われるシャンソンや歌曲はあとで調べられるけど、今回はもっと場面に密接した歌なんだろうと思うし。あとあの和紙っぽい装置も好き。

 ……ぢぶんはいつオフィサーにたどりつけるんだよぅ。

|

« じわじわと | トップページ | カルメンつれづれ。6 »

コメント

綾瀬川様

 お久しぶりです。虚弱体質のMIYUです。ここのところとても忙しく、バレエを観に行く機会がかなり減りました。木村さんのアルブレヒトも見ませんでしたよ。ロミオをやってくれるならば絶対行こうと思っていたんですが…。

 私が若い頃は、ジェンダーという言葉がよく使われていましたが、何だか最近はあまり問題にもされないような。若い女性たちはそれどころではないんでしょうか。
 一方、私はジェンダーなど乗り越えてしまったような気がします。若いころから性別より人間である事が大切だ、と思っていましたが、おばさんを極めている今日この頃、やはりジェンダーの先にある大事なものを手に入れつつあるような気がします。年をとるって、悪い事ばかりじゃありませんね。

 とはいえ、やはり年をとれば身体はガタがくるもの。私は今日、犬の散歩で山を登っていてコケました。あちこち痛いです~。

 綾瀬川さんも、頭痛がひどくなる前に、「蒸気の温熱シート めぐりズム」を首や肩にはるといいですよ~。私はこれを始めてから、痛み止めいらずとなりました。

 継続は力。頭痛や吐き気を克服して心に良い舞台をたくさん見続けてくださいね~。私も早く落ち着いて、またたくさんの舞台を見に行き、自分のHPも更新できるようにがんばりま~す!

     MYU

投稿: MIYU | 2013/12/02 11:06

MIYUさん、ごぶさたですー。
木村さんのアルブレヒト、いろいろ面白かったですのに……。
まだまだクラシック全幕、全然オッケーでしたよ。
ロミオにはさすがにアレでしたが、きっと何をやっても面白いと思うので、
こんどはぜひ〜。

ぢぶんもいろんなことをふっきったのは40の声をきいてからですねえ。
ただそれは年を取って、ということもないわけじゃないけど
むしろいろんな概念が世間に流通するようになったからかな、
という気もします。
あとやっぱり自分が無精になって、あまり詰めなくなったせいかな
(←これは年齢ですね)。

めぐりずむは、蒸気アイマスクは会社で昼休みに必須です〜。
肩のはあまり効かなかったです……。
昨日、てもみんで顔ほぐしをやってもらったら、
痛い場所とか、マッサージすべき場所がピンポイントでわかるようになって、
成る程〜という感じです。
犬の散歩は健康にも大切ですが、足元は気をつけてくださいね。
犬、触りたいなあ……。

投稿: 綾瀬川 | 2013/12/03 02:08

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« じわじわと | トップページ | カルメンつれづれ。6 »