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2014/05/27

拝啓天皇……

 映画の方の続き。

 入隊して早々に、中隊長(加藤嘉がいいんだ、これがー)の訓示途中から、「天皇」の前置詞的に置かれる「畏れ多くも(ビシッ!)」は半ばギャグとして連発されるわけですが……どうでもいいことなんだけど、「ナルニア」シリーズの「馬と少年」に出てくる、いちいち(御代とこしえに!)ってヤツを思い出すよね……。
 
 その「畏れ多くも(ビシッ!)」が最高潮に達するのが「秋期天覧大演習」。天皇役は浜口庫之助です。なぜここで浜口か、というのはよくわからんですが、顔なんか映らないからまあ誰でもといいますか。概ね後ろ姿と遠目だけで、「白馬に乗ってるから天皇」ってだけでね。しかし、浜口自身は後年、「勲章のため曲を作っているのではない」って勲四等を辞退しちゃった人で(あんな人やこんな人まで文化勲章もらっちゃったのにね!)、それを思うとちょっとした巡り合わせのような気も。
 ま、それはともかく、その白馬に乗った天皇がひょこひょこと演習を見るわけですが、これが観閲式のようなものではなく、演習している2軍の間をぞろぞろと馬に乗って行列していくわけですな。そのあいだ、もちろん中隊長をはじめ、構えの格好のまま動いちゃいけない。「だるまさんがころんだ」状態です。それでもヤマショーなんか、写真ですら見たことなかった天皇がすぐそこを歩いてる(馬で)わけですから、ぼけら〜っと眺めてたりするんですけどもね。

 で、それですっかりファンになっちゃう。ちょっと見たことのある有名人が、まるで自分の知ってる人みたいに思えてくる現象は今でもありますが(選挙の「握手」はまさにそれなんだけど、まあぢぶんも人のことはいえまいて)、そんなようなもんですね。それに多分、自分を気にかけていてくれる中隊長に重ねて見てる部分もあるんじゃないかと思うんですよ(というのは、後の場面で)。

 それで例の「拝啓天皇陛下様」の手紙を書くことにするんですな。戦争は終わるそうですが、自分を軍隊に置いておいてください、と。「優しそうな人だから、きっとわかってくれるに違いない」と。しかしムネさんの方は常識人だから、天皇に直接手紙を出すなんてとんでもない、それは直訴だ、不敬罪で監獄行きだ、と書きかけの手紙を捨ててしまう。あまりの剣幕にヤマショーも、「わかったよぅ、ムネさんが怒るんならやめるよぅ……」となって、この話はそれきりになるわけです。ヤマショーにとってムネさんは、いつも怒ってばっかりだけど、いちばん頼りになる、大切な友達だから。

 つづく。
 

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