ジャック・カロ
話の途中ですが、今日はコイツ。
西洋美術館のジャック・カロ展(こちら)。先だって、法隆寺展の時に看板を見まして、エッチングとかの類、好きなもんですから。
ええと。日曜の午後(2時過ぎくらいかな)にしてはかなり空いていましたが、そこは西洋美術館なんで、人の頭越しに見るくらいですか。もう少し辛抱強い人だったら、ちゃんと順番に最前列で見るのもそれほど大変ではないくらいの混み具合。
ですが何しろモノが小さい。小さい上に緻密(銅版画にありがちな)。なので「人の頭越しに見る」にはあまり向いてないかも。そして、入り口でルーペ(というか虫眼鏡)を貸し出していて(箱に入っていて自由に取って、最後に回収される)、これで見る人がいると、その後ろから見るのにはたいそううっとおしいです。
絵とその技術は素晴らしいです。看板になっている「二人のザンニ」は、喜劇の場面を描いたもので、えらい極端な遠近法で手前の役者二人がでかくなってますが、たとえばサントリーでやってた「のぞいてびっくり江戸絵画」(←これも見に行ったけど今ひとつ面白くなかったんだな……)に出てくる、日本画(というか浮世絵というか)の遠近法と参照すると面白いかなー、と。
ただ、時代が200年かそこら違うので仕方ないですが、たとえばゴヤのような批評性とかはない気がします。流行作家的、というかな。まあキャプションに引きずられた見方かもしませんが。特に誰と言うこともなく本の挿図としてなんとなく見たことがあるような。実際、長崎の23聖人殉教の図(26人のうち宗派の違う3人が抜いてある)なんかは「あ、これカロなのかあ」だったし。
面白いと言えば、パレードの山車から車輪を抜いちゃったりしてるあたりですか。イルカの山車なんかは背景も水にしちゃってるので、もはやパレードなのかなんなのかもわからないような。でもそういう「奇抜さ」は、むしろパレードの主催である王侯貴族なんかからは、好ましいものだったろうなあと思うわけで。
何だったか忘れちゃったけど、市かなにかの大きな絵のど真ん中で、ちっちゃくだけど、犬が交尾してて笑っちゃったな。犬と馬はもうどこにでも出てくる。牛とかろばとか、動物たちがいいですよー。牛のケツの質感ですとかね。いや、絵はもう本当にすごい。
小さいながらも物量はあるので、結構お腹いっぱいなのに、別の意味でちょっと物足りない感もあったり。ただ、併設展込みで600円なのはお得感があるかも。
併設の「非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」は、多ジャンルの中からのピックアップなので、展示としてはごちゃごちゃした感じ。こちらにもゴヤやデューラーなどの版画はあるので、興味のあるところだけつまみ食い、という感じで。ロダンの小さな彫刻が面白かったな。
しかし、「聖アントニウスの誘惑」は、両方に展示されていたけども(みんな好きだな−)、「誘惑」というよりは「脅迫」されてる感じがするよ。
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