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2014/05/21

拝啓天皇陛下様

 前々から話は聞いていて、一度見たいと思いつつ、シネマヴェーラの野村監督特集でようやく見ました(←レンタルという習慣がない。前はよく借りてたんだけど、ここ10年以上ないな)。

 しかし、ネットでキャストが拾えるのは便利だよなあ。以前だったら、さっぱりわからないところだったよ。字幕も役者名は出ても役名は出ないし。1963年公開。知ってる名前はあっても知ってる顔は少なかったりする(笑)。

 映画の「語り手」は棟本(長門裕之)。昭和6年(ここはあえて「昭和」で)、徴兵されて岡山の連隊に入隊した棟本は、同じく新兵のヤマショーこと山田庄助(渥美清)と知り合う。ヤマショーはカタカナも全部は読めず、自分の名前を書くことすらおぼつかなく、何をやっても一歩ずれてるけれど、まっすぐでくよくよしない竹を割ったようなヤツ。同じ新兵で女房持ちの鶴西(桂小金治)と3人、二年兵(西村晃)たちのシゴキを交わしつつの軍隊生活。父親はおらず、母親を3歳のときに亡くし、親戚の間をたらい回しにあって13歳で村を飛び出したヤマショーは、どんなに理不尽にいびられようとも「雨が降っても食べるものがある」だけで軍隊は天国だという。

 二年兵になった3人は、今度は新兵シゴキの側に回る。ヤマショーは中隊長(加藤嘉)の計らいで、教員をしていたという初年兵(藤山寛美)から読み方を習う。秋期天覧演習で、ヤマショーは初めて見る天皇に「優しそうな顔」だとファン的な親しみを持つようになる。除隊しても行くところもないヤマショーを心配した中隊長は、元部下の経営する果樹園で働けるように手配し、除隊用の着物も一式揃えてくれる。

 満期除隊でヤマショーと別れた棟本は見合結婚。小説を書くもまったく売れず、妻(左幸子)の提灯張りの内職で喰っているが、戦線が拡大して提灯張りが忙しくなった頃、再召集される。再び揃った3人だが、南京陥落のニュースが入り、これで戦争は終わるとの噂が流れる。娑婆に戻りたくない一心のヤマショーは、たどたどしいカタカナで「ハイケイ天ノーヘイカサマ」と天皇に手紙を書き始めるが、それを見つけた棟本は「不敬罪で監獄に入れられるぞ!」とそれを取り上げ、破り捨てる。

 結局中国戦線にかり出される3人。最初は同じ部隊だったがやがて別れ、棟本は台児荘で重傷を負う。が、体験談を書いた『分隊長日記』が大当たり。講演先の九州の炭鉱で、炭鉱夫になったヤマショーと再会する。その後、棟本は従軍作家、ヤマショーは再召集されて再び中国戦線へ。

 敗戦後、棟本は、ヤミ屋の手伝いをする妻の稼ぎでなんとか喰っていたが、そこに復員したヤマショーがやってきた。最初はいやがっていた妻もすっかりヤマショーが気に入るが、しばらくしてケンカ別れ。その後、なんとか作家として復活した棟本は、取材先の奥日光の入植地で、農夫となったヤマショーとまたしても再会するのであった。でまあ、ヤマショーの失恋話とか何とかいろいろありまして、昭和25年(ここもあえて「昭和」)。立川に転居した棟本を、ヤマショーが婚約者(中村メイコ)を連れて訪ねてくる。事の次第を喜んだ棟本夫妻だが、ヤマショーの結婚式が目前のある日、ヤマショーがトラックに轢かれて死んだとの記事を目にする。
 「拝啓天皇陛下様 陛下よ あなたの最後のひとりの赤子が この夜戦死をいたしました」

 つづく。

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