八つ墓村3
もちょっとだけ八つ墓村。
金田一耕助といえばクライマックスは「まとめて謎解き」になるはずなんですが。今回はそれを鍾乳洞の入り口というなかなかのロケーションでやるのはいいとして、殺人方法について質問されてもそれをなぜか「そんなことより」っつって、美也子と尼子の因縁話、すなわち美也子(と辰弥)が知らず知らずのうちに尼子一族の復讐を果たした、っていう話にもってっちゃってましてね。
……うんまあそれはどうよ、ということではあるんだけど、犯人が違っちゃってる映画もあったことだしなあ……。ある意味潔いと言えば潔いというか。「野性の証明」の、脳に菌が入って的な説明も、そう言われてもなあ、という感じだったし、いっそひと思いにそれはそれでいいのかと思わなくもない(←年を取って寛容になったともいう)。
今回見直して意外でしたが、例の津山事件にインスパイアされた「32人殺し」よりも、落ち武者殺し(8人)の方が力入ってる感じでしたねえ。32人殺しの方は、案外銃でバンバン殺しちゃってて、結構するっといっちゃったというか。落ち武者殺しの方は、武器が何しろ竹槍だの鎌だのだし、大勢でよってたかってだし、余程凄惨つか。昔からこう、見ていて「痛い」感じのするものってダメなんですけど、銃でバンバン撃たれて「きゃー」とか言うよりも、竹槍で刺される方が痛い感が増すじゃないですか。目に刺さったりとか。8人のうち3人は火だるまだし。
でもやっぱりいちばんコワイのは、最後の多治見家炎上場面の小竹さんだよな。火だるまになっても身じろぎひとつしないで読経を続ける。いちばんちゃんと覚えてたのもあのシーンであった。あれを見ると、美也子もまだまだ小者、というか。コウモリが蝋燭にぶつかったりするのかとかまあそんなことはおいといてだな、あの場面は秀逸だよねえ。
落ち武者のリーダーが夏木勲。自分が若い頃はそんなに興味のある人じゃなかったけど、最近ちょっといいなー、と思っているのはなぜだろう( ̄▽ ̄)。それに田中邦衛。田中邦衛もいいよねえ。ある意味大滝秀治的に(作風が、ではなく)、何か出ているだけでいいような気がする。井川比佐志も出番はそんなに多くないけどやっぱりよい味だし、辰弥の母の中野良子もいいんだよなあ。義姉の山本陽子とか。さすがにいい人選で楽しかったな−。
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