初代ゴジラ(モブモブ)
さて、あうあうしながらも続きます。
モブシーンのリアルさといえば、ゴジラ再上陸後の焼け野原の東京、そして野戦病院(外観は目黒の伝染病研究所だそうな……ってどこ)でありましょう。
「リアル」というよりも、「かつて見た光景」のように見える。それはつまり、先だっても紹介した……とはいえないけれども、「白黒映像であることによって、当時の記録映像のように見える」効果も一役買っている、とは思います。これは「なるほどー」だよね。
で、ゴジラの上陸コースは東京大空襲の米軍機進入コースを踏襲してるとかそれは違うとかまあいろいろ論争もあったりするようなんですが(モスラはこちらの本が緻密に検証していたような)、焼け野原の東京の既視感は、まさにその「空襲後」であって、それは壊された建物やらなにやらの「時代の近さ」によるものもありつつも、体験者による製作である部分も大きいんだろうな、とも。
例えばですね、よくあるディストピアものの「廃墟になった未来都市」にどういうリアリティを感じるか、ということでもあるんですね。それは「見たことのない光景」でもあるわけだから。そういう効果。
しかしまあ、物見高いのも東京っ子といいますか。ゴジラ来襲の報に、山根博士も尾形くんも飛び出して行っちゃうわけですが、まあ山根博士は対策委員のはずなんで、むしろ現場じゃなくて本部に行かないといけないんじゃないのか、と思いつつ。で、阻止線のとこで「私は山根博士です」と名乗るんですが「危ないので通せません」って断られちゃうんだな。そりゃそうだ。そんで尾形くんが「あっちの高台で見ましょう」って。これが最初の来襲。二度目の上陸の際もやっぱり、博士も尾形くんも新吉少年も飛び出していって、モブの人々に混ざって土手かなんかから眺めてるんですが。
有名な、TV塔からの最後の中継の場面ですけども。あれ、最初の襲来の時に、阻止線で止められた山根博士が警備兵に向かって「ゴジラに光を当ててはいけない、ゴジラが怒って暴れるから」ちう旨、訴えているんですね。で、「そんなことここで言われても」みたいに返されちゃう。だから本部行けよ、と思わなくもないんだけど。TV塔襲撃は二度目の上陸の時ですが、TV中継クルーのほかに新聞かなにかとおぼしきカメラマンが相当数TV塔に乗っていて(しかもあれ、東京タワーの展望台みたいな「塔の中」じゃなくて、鉄骨に板引いてみたいな感じ。ちなみに東京タワーは58年完成なのでまだない)、それがばしばしフラッシュを焚いているのが遠景で(ゴジラの視点で)映され、それに反応したゴジラが叩く、という具合になっている。次の上陸まで間があったんだから、なんとかしろよ山根ーーーヾ(*`Д´*)ノ" と思わんでもない。
ゴジラと戦争の記憶ということでよく引かれるのが、電車の中での会話ですね。「せっかく長崎の原爆から逃げてきたのに」という女性と「また疎開かあ」という男性。キャスト表では、女性は「ダンサー」で、男性は「連れの男」となってますが、見ただけでは「ダンサー」とはわからない(というか初めて知った)。その後ゴジラに遭遇する東京湾の「遊覧船の客」ともなっているので、その場面では「ダンサー」なのかな。
そして松坂屋前で子どもたち4人(だったかな)を抱えて行き詰まり、「もうじきみんな、お父ちゃまのところへ行くのよ」と言い聞かせる母親。劇中でそうとは明示されなくても、みんなそれを「戦争未亡人」だと思って見るという(キャスト表ではノンクレジット。wikiでは「松坂屋前で自殺しようとする母親」。冷静に考えると「戦争未亡人」としては子どもが小さすぎるような気がする)。あそこなあ、毎回不覚にも涙腺がゆるむんだよなあ。あの親子が助かったかどうかはわからないんだけど(病院で死んだ母親が担ぎ出されるのは、違う親子だよねえ……? もしかしてあれがそうなのかな)。
あと1回で終わりたいと思います。思うだけかも知らんが。
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