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2015/04/24

単騎、千里を走る 3

 さて。ネットをぐるぐると回ったところ、中国側の役者さん達は本職ではなく、いわゆる「素人」さんたちだそうで。若い女性のガイド役だけは、映画学校かなにかの学生さんだったらしいですが、それでも学生さんだよなあ。それだけに「素」のよさみたいなものも出てるのかもしれません。

 印象深い人といえば、出てくる人みんなが印象深いですが(笑)、やっぱりガイドの邱林でしょうな。李の劇団(?)の活動していた地域で健さんたちを仲介するのですが、これがほとんど日本語ができないのにガイドをかってでちゃう調子のいい男で、でも悪気はなくて健さんにも親身につきあい、息子が余命幾ばくもないとわかってからは、ガイド料も黙って返しにきちゃうような情に厚いヤツだったりしてね。役人たちも、「いやあ、無理無理」とかいいながらも、息子のことを知ったとたんに一気にみんな尽力してくれたりして(笑)、なんかわかるなあそういうの( ̄▽ ̄)。「家族第一」だもんなあ。一族の結束が違うというか。逆に日本の方が「だからなに」的な対応をしそうな気がする。いちばん杓子定規な対応だったのが、若い女性ガイドってのは、そういう気がするよね。それでも彼女も、何度でも電話で通訳をしてくれる律儀な人なんだけども。

 案外いいキャラ具合なのが刑務官で。最初の邱との撮影交渉が好きなんですけどね。
 「で、演目は何を?」「「単騎、千里を走る」です」「いいじゃないか。我が国の文化を紹介するにもいい。国家機密でもないし」「はい、関羽は国家機密ではありません」( ̄▽ ̄) いやもう話がさくさく進む。

 李の息子、ヤンヤンは5歳くらいなのかな。可愛いけど小憎ったらしい、まさに「ガキ」。村の人たちはよくしてくれるけど、本当は「親」が欲しい(でも父親は嫌い)。たった一晩だったけど、健さんにとってヤンヤンが「小さい頃の息子」だったように、ヤンヤンには健さんが「見たことのない父親」だったんだろうなあ。
 そしてわかりやすい封建主義の村長さん。邱林がちゃんと通訳できないので話がこじれちゃったんだけど、実はここがキモだったんじゃないかと思うんですよね。彼の主張は明確。「ヤンヤンが「私生児」だろうがなんだろうが、彼は李の息子であることを事実として認める」これがひとつ。もうひとつ「事実」があって、これが肝要だったはずなのに忘れちゃったよぢぶん……orz。村長は、さかんに邱林に通訳するように言うんだけど、邱林はできないもんだから「後で言う」みたいにごまかしちゃうのね。そんで、村長(ほか何名)は二人を村の中をぐるぐる連れ回して、さすがに健さんも不審に思うわけだ。で、例の女性ガイドに電話で通訳を頼む、と。
 通訳が終わって健さんが了承したのを見た村長が言うわけですよ。

 「我々の話を聞いて、この男は我々の気持ちを理解した。だからヤンヤンを連れて行ってもよろしい」

 その後、歓迎の大宴会になるんですが、自分は村長のこの台詞が実はいちばん大切だったんじゃないかと思うんですよ。それくらい、ガツンと来た。

 「日中友好合作映画」でこれ以上重要な一言ってあります?

 それにしても、言葉がまったく通じないところに行ったら、多少はボディランゲージでなんとかしようと思うものだと思うけど、健さんには「ボディランゲージ」という概念が存在しなかったよ! さすが健さん( ̄▽ ̄)!
 そして雲南省の風景というのは本当に見事で、映画館で見たらさぞ圧倒されるだろうなあと。こういう風景の中で暮らしてたら、そりゃ価値観は違って当然だろうな。

 「単騎、千里を走る」は関羽の故事にかこつけながら、一人中国を行く健さんをも表しているんだけども、しかしながら、映画を見ながら自分はもう一人の「千里」を走った人、日本軍として中国に渡った父の足跡を追って旅を続ける加藤さんのことを思っていたのでありました。


  その話はまた。


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