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2015/08/30

ベイサイドボレロ

 というわけで(って、毎回コレだな)、ベイサイド2日間、なんとか予定通りに終わりました。金曜は始まるまでぽつぽつ降っていて、舞台転換の時にもぱらついたと思うけど、上演中はなんとかもちましたが、土曜はそれまでもっていたのが2演目目のドンキが終わった辺りから降り始め、ボレロは小雨の降る中の上演になっちゃいました。それでも弾くんもリズムも踊り通しましたです。ケガなくすんでよかった。

 だば、ボレロからいきますか(あ、子ドンキは後でやります。やるやる詐欺じゃないようにガンバル)。

 水香ちゃんのボレロは、今回は髪は全部下ろし。第一ソリストは上手前方から時計回りに岸本、杉山、永田、森川(各くん)。
 水香ちゃんは今まで見た中で、いちばん力強かったかもしれない。何がどうっていうコンセプトを感じるわけでもないけれど、音楽と振付に自然に動きをまかせて、あるべき高揚みたいなものを作っていくような。結局ボレロっていうのはそういう作品だという気はするんですよね。特に水香ちゃんの場合は、そういうときにいい踊りをするような(というか、いい踊りになるのはそういうときだというか)気がします。何度も踊ってるだけあって、どんどんよくなっている気はします。以前の方がばらつきがあったな……。

 弾くんは、コンディションの悪い中でのデビューになりましたが、まあそれもきっとよい思い出に……(←無責任な観客)。なんとなく「高岸さんの後継」的なイメージで見ちゃうんですけど、実際の持ち味って多分全然違うんですよね。自分には「力強さ」よりもむしろ「柔らかな」イメージでした。まあ、リズムが出始めるとそっちに目が行くのもあって、どうしても前半のイメージに偏っちゃうし、足元ももしかしたら気を使いながら(特に最初のうちは)だったのかなー、とも思うんですが。むしろ、後藤さんのフェミニンな雰囲気といいますか、似てるわけでもないけど彷彿とさせるような。円卓の上から鼓舞するとか、あおるとかいうのではなく、むしろ「求める」ような。手を差しだしたときに、そういう感じがするんですよね。力がリズムからメロディへ向かって与えられていくような、そういうイメージ。……後で考えたら、弾くんの「困り眉毛」もそれに一役買ってる気もしなくもないという……。リズムの最初の二人の気合いも、続く二人の気合いも相当に入っていたので、余計にそういう感じがしたのかもしれません。けど、それはそれですごくいいようにも思ったんですよね。だって、ソリストってのはコールドに支えられてあるものでもあるじゃないですか。

 ええと、そういうわけで、リズムの方も気合いたっぷりで。永田くんの踊るのも久しぶりに見たせいか、すごい気合いが( ̄▽ ̄)。森川くんが、ところどころいらんアクセント(というかミエというか)をつけるのが気になる。考えてみたら、最近脱いだ演目を見てなかったような気がするんだけど(笑)、杉山くんの上半身を見たら、最近頑張ってると思ったら頑張ったんだな−と思いましたです。すごいよかった。前に立つって大事だな。で、水香ちゃんのときも、台から岸本くんとふたりで降ろした後、水香ちゃんの方を見ながら嬉しそうにニコニコしてたのもいいなあと思って見ていたのですが、弾くんを降ろした後にも(←弾くんが力を使い果たしてたので、ちょっと重そうであった)ずっと弾くんを見て「よかったなあよかったなあ」みたいにニコニコしていて、永田くんに引っ張られて捌けていったのがちょっとツボりました。

 しかし、8分でメイク落として着替えて(というか脱いで、か)だから、ヒムロック(サンチョ)やザッキー(ガマーシュ)、永田くん(ロレンツォ)なんかは大変だったろうなあ。ゲネ写真ではサンチョがそのまんま場当たりしてたから、いっそそのまんまやっちまえ(前二人が闘牛士で後ろがロレンツォとエスパーダ( ̄▽ ̄))なんて思ったけど、それじゃギャグやね。でもちょっと見たい(笑)。

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2015/08/26

つことで「子ねむり」2回目

 つことで「子眠り」2回目。こちらは1階の後ろの方から。パーシモンはこじんまりしたホールなので、真ん中通路の後ろ辺りでも充分近いしよく見えるのでオススメ。自分の前に座ってたのが、ちっちゃい(ほんとにちっちゃい)お子さんとお父さんの二人連れだったのですが、開演前に二人でキャスト表の裏にある「観劇マナー」のところを読みながら、「何々しないようにしようね」「うん」ってやってて、心の奥深くまでほのぼのとしましたよ……。大人同士でもやって欲しいわ( ̄▽ ̄)。

 さて、三雲さんのオーロラは、前回見たとき(いつだ)に比べると、柔らかさが増したような気がします。1幕よりも2幕のGPDDの方がキラキラ増しでぐっとよかったと思うんだけど、もしかしたら1幕のどピンクの衣装が案外難しいのではないかしらん……。岸本くんは、原田くんの後だと「一般にビジュアル的にはこっちが「王子さま」だろうなー」と思いつつ、踊りが若いというか若造っぽい(王子なんだから「若造」でいいんですけどね)。

 伝田さんのカラボスがすっごい大きくなってました!(サイズじゃなくて) 初役の時はまだ小者感が否めなかったんだけど、迫力も色気もマシマシです。いいなあ……( ̄▽ ̄)。それを思えば、1回目の加茂さんもちょっと影が薄めだったけど、これから大きくなっていくな、うん。
 カタラビュットはザッキー。ヒムロックの時と、前説も踊りの振付も違う形で固定されてるんだけど、これはそれぞれがやりやすいように、ってことなのかな。

 4人の王子は安楽くんが白熊にイン。去年入った人でしたか。新人さんが入るということで異動があるかと思ったけど、そこは据え置き(杉山=紺、入戸野=カレー、宮崎=赤)。背は杉山くんよりちょっと低いくらい? 新人とはいえ、ほかの3人ともバランスよく、サポートもしっかりしてました。これからあちこち入ってくるんじゃないかな。入戸野くんは相変わらず、あの暑苦しい衣装を涼しく着てましてん( ̄▽ ̄)。芝居面では杉山くんがちょっとリードするような感じ。いやあ、存在感が出てきましたよ。
 そして花ワルの上瀧くんが楽しそうであった……(←何気に気になる)。

 2幕の方では、入戸野くんの青い鳥がぐっといい感じに。今回はちゃんとパートナーに優しい鳥になってました。その方が全然いいなあ。フォーチュンは、1回目の安田くんも「幸せ増量(本人比)」でしたが、2回目の杉山くんも幸せ。見せ方がよくなったというか、見せようという気が出てきたというか、肩あたりの使い方がよくなったのかな? フィニッシュのポーズは前の立ちポーズの方がいいと思うんですが(特に安田くん)。和田くんが、1回目の4人とフォーチュンに入っていたのが降板になっていたので、ちょっと心配。フォーチュンも見たかったな。

 狼の宮崎くんが新鮮な気がしたんですが、デビューだったのか、自分が忘れてるのか。森川くんとか永田くんとか、割に濃いめの狼に慣れてるせいか、ビミョーな情けなさ感がたまらん( ̄▽ ̄)。これはこれでアリだなあ。

 というわけで、「子ねむり」は再演が多いだけあって、あちこち練れてるなあと(何回見たんだ、自分……)。初演の頃は、背景の引き幕だってスムーズじゃなかったり、シンデレラの引き抜きなんて何度か方法変えてるわけで、「子ドンキ」も、どんどん再演して練っていってほしいです。あちこちでやってくれるといいなあ。

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2015/08/24

「子ねむり」とりあえず1回目。

 日曜日の目黒の「子ねむり」マチネ&マチネ、キャスト表は東バ公式にあがっておりますが、今回の目玉はなんといっても河谷さん(と原田くん)の主演デビューヽ(´▽`)/! 特に河谷さんは、去年のジュリエット役をケガ降板しただけに、まさに待たれてのデビューでありました。いやー、二人ともよかったですよ! 

 河谷さんのオーロラは、まさに「生まれてきたことが楽しくってしょうがない」といった感じの、生命感あふれるはつらつ姫。対する原田くんは大人だ! 大人の王子だ! 立ち居振る舞いも踊りもサポートも大人だよ!(←わけもなく感動した) いやー、原田くんは中途入社組といいますか、フリーからの入団なのかな。なので入団したときからいろいろといい意味で「大人だな−」と思うことはあったのですが、これは確かに頼りがいがありそうだわー。元々、女性の腰を持ってポーズ(アチチュードとかアラベスクとか)のサポートをするときに、きれいに見えるポジションを作るのが上手いなあ、とは思っていたのですが、そういう細やかな心配りがまさしく大人の王子でありました。もうちょっと絞ると踊りが軽くなって、さらによくなるかもなあ。ペアとしても思いの外、合っていたみたい。

 この回はほかに政本さんのリラ(デビュー?)がすごくすごくよかったです。長身なのもありますが、ほかの妖精をまとめるリーダーとしての振るまいが堂に入っていて、マイムも大きくてわかりやすく、しかもきれい。

 ……なのに自分てば、小川さんの王妃さまが「娘を助けて〜」とお願いするたんびにもらい泣きしてたという……。なぜか、今回ふみ王妃にえらい感情移入してしまったのさね。どういうはずみだったんだろう……。蓮くんの猫が、ほかのヴァリエーションの時にふみ王妃にゴロゴロ懐いてたのが地味に可愛い♪
 時々耳かいてたのも可愛い♪

 ザッキーの青い鳥もとてもよかった。いつも猫かカタラビュットだからデビューになるのかな? ジェントルマンで優しげな青い鳥。ジャンプも柔らかかったし、今回は花ワルも含めて、のびのびいい顔で踊ってたなあ。
 白雪姫の場面で、カタラビュットのヒムロックが、いきなり脚立ごと転倒するアクシデントが。はっと見たら、ちゃんと「ひっくり返って犬神家」になっていたので(←どういう……)、身体をはったギャグなのかと半ば思っていたら、次の回はちゃんと最初から開いた状態の脚立を持って出てきたので、本当に事故だったみたいです。動じないヒムロックえらいな……。
 
 パーシモンホール、2階のアクリル板は相変わらずでした。今回、センター最前列を取りましたが、手すりの高さが自分の座高でもギリギリ舞台にかかるくらい(隣のご婦人は「勉強したと思って我慢するわ……」とがっかりされてました)。子眠りは、あまり舞台の前方での芝居がないので(小さいオーロラくらい)それほど支障はないですが、小柄な人は注意した方がいいかも。

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2015/08/22

ドンキホーテの夢

 つことで、バレエまつり公式で「子ドンキ」と略されておりました、子どものためのバレエ第2弾「ドンキホーテの夢」マチネ2回分(+朝のレッスン見学会)に行って参りました。本公演用のドンキの流れを踏襲しつつ、あちこち違う話に。キャストは東バ公式に上がってますが、メインの男性は本公演とほぼ同じ、女性は若手登用で、全体に(おそらく地方公演用に)群舞の数を減らしてる感じ。あとメルセデスとドリアードの女王あたりが役ごとばっさりなくなってたという( ̄▽ ̄)。これは大胆な。あ、松野くんが闘牛士&ジプシーで復帰しておりましたよ。初演だけあって、もう少しそこは……なところもあったけど、「子ねむり」の方もちょこちょこと直しながらの再演なので(宝石の踊り→お小姓さんとカタラビュットのお掃除の踊りとか)、そこいらはまた手を加えていってほしいなー、と。午前と午後とで多少改善された部分もあったし。

 まあ、ヒムロックがよくしゃべるわー(笑)。「子眠り」以来、意外な方向に才能が開花したような。今回はマイムの説明とかはなくて、プロローグの人物紹介と、場の間の状況説明的なしゃべり。それを馬(!)との会話+モノローグですすめる感じ。プロローグはよく出来てたと思うけど、木村さんがいきなりヅラなしでびっくりしたΣ( ̄ロ ̄lll)! キホーテのアレ、ヅラだったんだ……いやヅラなんだけど、作中でもヅラ扱いだったよ……。キホーテ回りで地味にツボったのが、人形芝居のベンチの「槍を刺しとく穴」(←傘立てみたいの)。そ、そこに刺すんだーー( ̄▽ ̄)。あと、サンチョが水ぶっかける場面はやっぱり「ざばーん」の効果音が欲しかったな……(音楽が入らない場所だし)。

 ……いや、でもまだキホーテを極めなくてもいいんじゃ……という気はするんだ、今日のエスパーダとか観てると(←森川くんのアレはちょっと酷いよ……)。ご本人がすっごい楽しそうなんで、まあいいんですけど(というか観られるだけで嬉しい)。最後にモンキーダンスまでしてくれたことだし。

 ガマーシュのザッキーは、岩国のときよりもずっとずっとよかったです! キトリの友人2組は2組ともよかったなあ。ガマーシュの腰に黒い布を巻いて二人で引き留めるところ、午前の組は小柄なのもあって、完全にガマーシュに振り回される感じになってたのもすごくイイし、午後の長身組が逆に振り回す感じになってたのもイイ。レッスンから抜群の安定感だった政本さんが芝居もすごくいい味出してて、これから「来る」なあ、という感じ。
 主役は2組ともそれぞれによかった! 水香ちゃんはのびのびして楽しそうだし、弾くんは1舞台ごとに工夫してよくなってくるし、梅カナのペアはフレッシュなままで伸びてる感じ。ジプシー(←人形劇団になっていた)はみんなキレキレで勢いがあった。闘牛士達の出番がもう少しあればなあ。

 でも確かに特筆すべきは「馬」だ( ̄▽ ̄)。噂の馬。キホーテの美しい夢を一瞬で悪夢に変えやがった馬( ̄▽ ̄)。ただでさえ「酒はないし、ねーちゃんは少なめ」なところへ持ってきて、馬。えらい破壊力だわー、腹抱えたわー。

 舞台のつくりはまた〜。

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2015/08/20

わだつみの声(旧作)

 ごぶさたになっておりますm(__)m。新文芸座の恒例、戦争映画特集。第一部が広島行きと重なって見られなかった恨みもありまして、第二部を1週間で7本観たら、何がどの映画だったのかわからなくなりつつあるという( ̄▽ ̄)。1日2本立てなので、まあ半分見てる計算ですな(ラインナップはこちら)。
 昔ながらの名画座のスタイルを踏襲して、2本1300円。入れ替えなしなので、映画館から出なければ、繰り返しいくらでも見られます。ラスト1本(最終回)は850円。自分は友の会に入ってますが(年2000円)、とっくに元を取ってる上に、次はポイントでただで見られるのだ( ̄▽ ̄)。そしてワタクシと一緒に入る人は友の会料金(2本1050円)で見られるのだ。わはは。

 つことで、「わだつみ」から行きますか。いわゆる「旧作」、1950年版の方です。「日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声」が正式名称。実は、多分「学徒出陣50年」の記念イベントだったと思うんですが、朝日新聞でやった上映会(岩垂氏の解説つき)で一度観てるんですよね。なんですが、なにせ会社帰り、30分近く遅刻しまして、観られたのが「大木助教授による最後のフランス文学の講義の回想」の直後辺りから、というのが今回判明しました。おかげで前回は人間関係が全然わからなかったんよ……。20年ぶりにすっきりした。

 舞台はビルマ戦線。原隊にはぐれた大木二等兵(信欣三)と鶴田上等兵が、柴山少佐の部隊に偶然拾われるところから始まります。日頃からなにかと学徒出身兵をこころよく思ってない少佐と兵長。しかも、大木が実は東大のフランス文学の助教授で、牧見習士官がその教え子であったことが発覚。大木はいやがらせを受けながらも、やはり学徒出身の青地軍曹(伊豆肇)の分隊に繰り入れられる。分隊にいた河西一等兵は、東大で学生運動をやって検挙され、「アカの学生が涙ながらに転向」との報道つきで前線に送られた。河西と大木は互いに「なぜこんなになる前にもっと戦争に反対しなかったか」と後悔しあうが後の祭り。

 命令が下って部隊が移動することになる。動けない兵隊は置き去りにすることとされており、慶応出の軍医が判定することになる。「病兵」として残された中には、美大の箕田ら学徒兵も入っていた。
 移動の前夜、河西らが翌日の強行軍に備えて少佐の馬をつぶして喰う算段をしていた。気づいた青地は「小隊全部でやろう」と馬をつぶし、置き去りにされる病舎の兵たちにも分配する。ところが病兵が吐いた中から馬肉が発見され、青地が制裁を受ける。見かねた河西が名乗り出るが、副官に連れ出され、射殺される。部隊は移動し、病兵らには手榴弾が配られる。

 移動した先の陣地は猛攻に逢い、部隊はすでに全滅に近い。目をやられた軍医は、毒薬の注射で自決する。横穴深く隠れていた少佐と副官は数名の兵を連れて、逃亡を図る。それをみた青地は「戦争なんてナンセンスだ、誰がこんなものを始めたんだ」と吐き捨て、木の枝に白旗をくくりつけて歩き出すが、直撃弾を受ける。被弾して息も絶え絶えとなった牧を大木が抱きながら、最後の授業で語り尽くせなかったモンテーニュについて語るが、その大木も被弾し、かくて部隊は全滅する。その亡骸から霊が立ち上がり、海へ向かい歩き出す……。

 てな具合で。「死んだ人々は、還ってこない以上、生き残った人々は、何が判ればいい?」という冒頭の字幕は、ジャン・タルジューの詩(渡辺一夫訳)であると、わだつみ会のHPに出ておりました……という一事をもってわかるように、やっぱりインテリ・エリートなんだよな、「学徒」っていうのは……。今の「東大生」とは比べものにならない特権階級なんだよな……。つことで、いろいろと難しい。片方に「拝啓天皇陛下様」みたいな、字もろくすっぽ読めなくて、軍隊は雨が降ったら屋根があっていいなあ、みたいな兵士がいて、もう片方にモンテーニュだ、チャイコフスキーだ、セザンヌだ、っていう兵士がいるわけですよ。なんかっちゃ、詩なんか暗唱された日にゃ、とりあえず殴るくらいのことはしたくなるのも無理はない……と、20年前に見た時は思わなかったけど、今回は思った( ̄▽ ̄)。そうした上官(ないし憲兵など)の無教養を人品の卑しさとして嗤うような場面ていうのはどの映画でもあるけど、ねえ。学徒兵の方は、そういう階級差には無頓着だから、なぜ反目されるかもわからないし、自分たちだけで学生生活の続きをやろうとするような。だって牧のところにくる婚約者の手紙って、「先日、新響を聞きに行ってきました、あなたと聞いたあの曲がかかりましたのよ」みたいな話で(←で、かかるのが「白鳥の湖」4幕の、王子湖に帰還! のアレ)、ビルマの現状からもかけ離れてるけど、そもそも世間からもかけ離れてるよな……。回想で延々と盛り込まれる、大木のモンテーニュの授業とかね。インテリっていうのは死ぬのにどれだけ理屈がいるのか、と思い、だからこそ理屈にからめとられるのかもしれないなあと思い。

 そうした中で、青地が部下の人心をまとめられるのはそのバンカラさと率直さによるのだろうし、画学生の箕田が(比較的)愛されるのは、彼の描く絵(故郷の風景や戦友)が「教養」とは無関係に「わかる」ものだからなんだろうな。学徒兵、現役兵、補充兵と、若いほど階級が上になるという「不条理」もあってこの3つの「階級」の間の溝は多くの作品に現れるけど、なんかもうこれで上手くいくわけないじゃん……という気もわいてくるわけで。

 「戦後初の反戦映画」と言われるとおり、戦後5年目に作られただけあって、特に冒頭の敗走する大木や、なんとか部隊について行こうとする片足の病兵の泥まみれの感じとかは、ちょっとほかにないだろうという気がする。あと、連合軍のスピーカーで流される降伏勧告の放送。これが日常的に流されるのはこたえるだろうなあ……。今みると「類型的」な部分もありますが、むしろ本作から派生していって「類型」となったのだろうと思います。観る順番で印象って変わるからな。

 あれがない、これがないというのは簡単なんだけど、それを全部ぶち込んでみたらどうにもならないものが出来たというのが95年の「新版」なんだよな……orz。以来、作品というのは「あるもの」を解釈すべきだというのが持論ではあるんですよ。

 ともあれ、これが日本の戦後の「反戦」映画の「出発点」であったわけです。

 

 

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2015/08/13

Tomorrow/明日 ちょっとだけ

 広島へ3泊4日で旅をして、何かちょっと飽和状態になったような気がして、このかんのTVドキュメントの類いも録画しっぱなしだったのですが、岩波の「黒木和雄戦争レクイエム」特集上映の「Tomorrow/明日」へ行ってきました。88年の封切りの時に見たきりで、だいぶ忘れてることも多かったけど、やっぱりこの映画好きだな。前売り買っちゃってたんで、割に無理無理な感じで行ったんだけど、見て良かった。原作、井上光晴だったんだな(←初めて知ったような)。

 1945年8月8日午後。長崎市内に住む、三浦家の次女で看護婦のヤエ(南果歩)と、病気持ちで兵役免除になった工員の中川(佐野史郎)の祝言が、三浦家で行われる。その祝言に集まった人たちの、9日11時02分までの24時間を描いたもの。でも「主役」はやっぱりヤエの姉のツル子(桃井かおり)だろうなあ。クレジットも最初だし。

 とにかく、キャストが全部いいんですよ(こちら)。田中邦衛にはずれなし! はもちろんのこと、臨月で、9日の夜明けに出産する桃井かおりも、三姉妹の母の馬渕晴子も、伊佐山ひろ子も入江若葉ももちろん佐野史郎もいいんだなあ( ̄▽ ̄)。仙道敦子や南果歩もまだ初々しいというか。ちょこっとだけの殿山泰司とかね。

 まだもうちょっとやってるので、ぜひぜひ、というわけで、予告編を貼っておく。

 岩波ホールの記事はこちら。18:30の回には、短編「ぼくのいる街」が付きます。「10分映画!運動」が作った23分の映画( ̄▽ ̄)。写真集「戦争と銀座」を元に、1月の銀座の空襲で死んだ男の子が現在の(89年。つまり昭和天皇の死んだばかりの)銀座を行く。これはこれで。

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2015/08/12

人事とかタッチキンとか

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 やや納まってきたとはいえ、まだ暑いので涼しげな……涼しいかな。6月の不忍です。

 おそらく3日の夏季特別オーディションを受けてでしょうが、東バの人事が出ています(こちら)。男性3人の入団(プラス立川さんの退団)ですが、いや、ちょっとびっくりしました。今の若手〜中堅を入団時から応援してきた身としては、なんかこう、ないわけでもないんですが(あとやっぱりまだ木村さん見たいし−)、即戦力が欲しいってのもまあなんというか。今月のダンマガに友佳理さんのインタビューがあって、まだちゃんと全部は読んでないんですが、新しい振付家への素材を揃えたい(そのためのオーディション)というような話もありましたので、まあそういうことなんだろうなあとかブツブツ……。
 立川さんは去年の入団者かな?(監督じゃないよ!) 女子の出入りはなかったようです。

 立川さんといえば、監督の方がフェスのプログラムの座談会に出てらしたのを今頃発見したので、あとでちゃんと読もうっと(←地味にファンだったりする)。

 Bプロの話も書かんとなのですが、帰ってきてぐったり寝ておりますです。やっぱり楽しかったですけどもね( ̄▽ ̄)! 矢島さんを久しぶりに舞台で観たのも嬉しかったな……。来週は目黒ですし、その後は横浜ですし、夏の楽しみはまだ残っとるのだ!

 それが終わるとタッチキン。ですが。前回「白鳥」を見たので、今回は「眠り」に行こうと思ってたんですが、6日は師匠の「偲ぶ会」と重なってしまったし、5日はアップリンクで『日本の悲劇』『戦ふ兵隊』上映会+トークがあるんですよ。オーチャードとアップリンクは目と鼻の先だから、「眠り」のマチネを見てからでも「戦ふ兵隊」には間に合うんだけど、ちょっとハードだよねえ。
 個人的にはルダコさんが何時出るかなんだけど(でも眠りなら何かしらで出る確率は高いよね?)、どういうわけか、ムンタギロフが出るとついルダコさんを思い出してしまうので、二人を並べて見たい気はちょっとするのだ( ̄▽ ̄)。いや、似てませんよ? 似てないんですけどね。フェスで「海賊」見ながら、そういえば「ルダコにうなぎを喰わせる会」があったようななかったような……なんて雑念がw。

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2015/08/03

Aプロ最後まで

 格納庫に上げたフェスAプロを、最後までアップしました。ヴィシ&マラーホフの「オールドマン」はネタバレになってるので、これから見られる方は、その辺ご注意ください。

 あとですね、ハンブルグの「いにしえの祭」の黒衣(というか道具片付け係)に杉山くんともう一人が出ておりました。ぢぶんではちょっと同定しきらなかったんで、続報を待つ( ̄▽ ̄)。
 そんでうっかり、「杉山くん、案外「執事」が似合うのでわっ」とどうでもいいことを思いついたりしたんですが、特にそれ以上何かネタがひろがるというわけでもなかったという……。ほんとにどうでもいいな。いや、ぢぶんは楽しかったですけどね。


 明日からヒロシマに入ります。原爆ドームの前で泣きわめいてから……年。ヒロシマは自分が「人として」生きてきた原点でもあります。今年は、なにかちょっと試されているような、そんな気持ちもしています。

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2015/08/02

華麗なる親子バレエ祭り

 つことで、調布グリーンホールの光藍社「親子バレエ祭り」(こちら)行って参りました。今回はこれ1回こっきりです。おっかけて回った年もあったのになあと思うと感慨深いですが、まあしょうがねぇわな。いろいろあらあな。

 ロマチェンコワもすごく久しぶりに見るような気がしましたが、なんといってもコシェレワの白鳥をこれもすごく久しぶりに見ることができたのが嬉しかったです。シヴァがパートナーならさらによかったけど、今回はシヴァはペレンとくるみ&ドンキ。

 コシェレワの白鳥、すごく好きなんですよねえ……。1回くらい冬の公演でもやってくれればいいのに。新春ガラでもいいから。
 ロマチェンコワは「人形の精」。これは下手にやるとすごくイヤミになっちゃう、ある意味難しい演目だと思うんですけど、ロマチェンコワは素直なというかナチュラルなというか、とてもよかったです。二人のピエロは「笑顔」と「泣き顔」。

 幕開けは「くるみ」。花ワル+GPDDでしたが、花ワルは女性8人に加えて、スペイン、アラビア、ロシアのペアが入り、曲の中でちょっとずつそれらしい踊りを披露するというもので、これはなかなか楽しい工夫だと思いました。少人数でもできるし、くるみの世界全体を味わえるし、お子さんも目先が変わって飽きないだろうし。
 ちなみに白鳥の方は、左右に4人ずつコールドのついたグランアダージョ+4羽の白鳥+4羽を入れた計12人によるコーダから2幕の最後まででした。長身のダンサーが多いし、グリーンホールの舞台だとこの人数でもちょうどいいかも、くらいなところ。

 「グランパ・クラシック」と「エスメラルダ」を踊ったチェクラシュビリと髙野陽年のグルジアバレエのペアがとてもよかったです! これは収穫。特にチェクラシュビリはくりっとした目が印象的で、テクニックも表現力もばっちり。いつかまたグルジアバレエが来ることがあったら、この人の時に見たい、と思わせるに充分でした。タンバリンが鳴らない(ミニシンバルみたいなのを抜いてあるし、叩いても鳴らさない)のが残念だったな。
 相手役の髙野さんはすらっとして、古典的な優等生(いい意味で)っぽい印象。プログラムを見たら木村公香さんのアトリエの出身で(友佳理さんのご実家ですね)、納得感がありました。控えめで押し出しは少ないけど、個人的には好きなタイプです。「エスメラルダ」はガラ用の抜きではなく「エスメラルダと詩人のPDD」の範疇で、「詩人」らしい繊細さをもった表現でした。

 ええと。「海賊」は、アリの人がなんというかこう、芸監を縮小したような感じのマッチョなというか……ええ。ヴァリはなしで、アダージョとコーダだけ。

 で、その芸術監督(眉毛がバットマンだよ!)のアンドレイ・バターロフとカザツカの「シェヘラザード」ですが。バターロフが、あまり「ゆるんで」はいないものの恰幅よくというかまあマッチョなでもいいんですけど、そのおっさんと、カザツカのメイクも含めたコギャルっぷりで、なんかこうすごいハアハアな感じに仕上がっていてですね……。面白いことは面白いんだけど、一応「親子祭り」だしなあどうすれば、というレベルの( ̄▽ ̄)。いやいや、これはアレだ、プログラムも終盤にきて飽きて眠くなっちゃったお父さんのためのサービス演目だよ、うんそうにちがいない。
 「バレエにもこんな演目もあるんだよー」っていうならもう少し違う選択肢もあるような気がするけどなあ。民族舞踊の系統とか。

 マールイの花の「98年組」(とその前後)も、みんな30も半ばになってパパになったりママになったり、時の経つのは早いなあと思ったり、買収劇がなかったら、芸監が違う人だったら、とか詮無いことを思ったり、いろいろと複雑な気分も持ち合わせながらの再会でした。ステパノワも見たかったな……。
 

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2015/08/01

フェスAプロ、半分だけ。

 つことで、バレエフェス初日。レポ(というかひとことコメント)を半分だけ、格納庫の方に上げました(こちら)。向こうはコメント欄を閉じてありますが、なにかありましたらこちらのエントリに適当にどうぞ。

 ドンキもすごく楽しかったんだけど、楽しい気持ちのままに一気呵成に書かないとずるずるしちゃうんだよな……。

 暑いので涼しげな感じの写真。

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 数年前の大野一雄フェスティバルで撮ったオブジェのペンギン。


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