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2016/06/23

時雨西行

 シャンブルのトリプルビル、目当ては「時雨西行」でした。以前は清里のフィールドバレエでもやっていたんだけど、その時は日程が合わず、最近はかからなくなっちゃったし、ようやく……だったんですが、まあいろいろと。

 西行(中村梅玉)が時雨の中、一軒の家に宿を乞う。二人の新造(橋本尚美、深沢祥子)からは「遊女の家だから」と断られるが、江口の君(川口ゆり子)に招き入れられ、互いの身の上を語り合う。やがて目を閉じた西行は、自分の心(逸見智彦)と踊る江口の君が普賢菩薩となるのを見る。夜が明け、西行は普賢菩薩に送られてまた旅に出る。

 梅玉さんの踊る日舞の部分を藤間蘭黄氏、バレエの部分を今村・川口両氏が振り付けたもので、日舞とバレエのからみもかなりあるのですが、そこに違和感はなく、うまく組み合わさって、踊り自体はとても面白いです。西行を導く笹の精のコールドが「カブキ」の竹の精っぽかったり、西行の身の上話で武将として斬り結ぶ四人の「影」がかぶり物のない忍者みたいだったり、まあいろいろと( ̄ー ̄)ニヤリとしなくはないけど、それも含めて面白い。

 前述のように今回は2階席から見たのですが、照明がなあ……。どこのホールでも持っている「地模様」なのかもしれませんが、例のテトラポッドみたいな模様が床一面に映し出されるヤツ。あれが多用されているのですが(多分、家の外と中との場面を示しているのだと思う)、踊りに全然合っていないというか、もうただ「うるさい」だけで、踊りを殺してしまってました。1場面だけとか、スポットみたいに部分的に当たるくらいならいいんだろうけどなあ……。前の「あやとり」とは逆に、1階で床に映る照明を気にせずに見られたらよかったかも。フィールドバレエだったら後ろの闇が借景になって、面白かったろうなあと思うのですよ。

 音楽が宗次郎の「大黄河」というのもまた( ̄▽ ̄)。オカリナだけなら、あるいは場面によってはとても合っているのですが、例えば梅玉さんの踊りに8ビートが乗るとすごく軽くなって(しかも「軽み」ではない)、なんか「勿体ないな……」という気持ちになっちゃうんですね。そしてメインテーマが来るんじゃないかとひやひやしながら聞くという……(←これは世代的にしょうがないのか)。

 メンバーを見ればわかるように、踊りは素晴らしかったです。4人の影たち(東バにいた宮本くんが混ざってました)は、着地でも全然足音のしない忍者だったし、新造さんたちのユニゾンも見事だったし、逸見さんは美しかったし(出番は少なかったけど)、川口さんの品のある(老いた)遊女は確かに菩薩だったし、梅玉さんは踊りも立ち居振る舞いも風格たっぷり、いうところはなかったんですよねえ。

 初演は98年で、写真では梅玉さんの髪も黒々としてましたが、作られたその頃だったらまた違ったのかといいますか。逸見さんのパートは今村さんからの引き継ぎなので違和感がないですが、梅玉さんの風格が宗次郎の音楽や柄物の照明に合わなくなっちゃったし、川口さんは遊女の姿のままで菩薩を体現してるので、(ちょっと小林幸子的な)菩薩の拵えが逆に邪魔になるし、思うに年が経って、ダンサーが作品のつくりを超えちゃったんじゃないかな……。
 でも清里でやるなら、やっぱり見てみたいとは思いますね。

 
 

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