プティパガラ目黒&横浜 第1部
プティパ生誕200年記念〈夏祭りガラ〉(8/25 目黒パーシモン)
プティパガラ(9/1 神奈川県民ホール)
― 第1部 ―
「ジョコンダ」 柿崎佑奈、ブラウリオ・アルバレス ほか
ジョコンダの時の踊りといえば、「ファンタジア」の中に名作があるのですが、これがかなりアップテンポな印象なので(アニメだからアップテンポというよりも動きが細かくてそう見えるのかも……むしろ1940年作品だと思うと「音に合う」方がすごいという気もしたり)、やっぱりちょっともっさりした印象にはなってしまうんだな(そもそもブラウだしな)。朝、昼、夜、夜中という4つの時のそれぞれに色分けされた衣装の女性群舞に、夜の女王(紫ベースのチュチュ)と風の精の男性ソリスト。女性群舞はそれぞれ順に出てきますが、どこからどこまでが朝、という明確な感じでもなかったような。正直、それほど面白い振付ではないんですが(オペラの一部だしね)、「原プティパ」といいますか、プティパの振付の原型を観るという意味では興味深かったです。横に並んで手をつないで踊る(4羽の白鳥的な)アレが好きなんだなー、とか、腿上げみたいなヤツ好きだねー、とか( ̄▽ ̄)。
柿崎さんの夜の女王は(チュチュの色もあってか)リラの精っぽい。背も高く、プロポーションが素晴らしいのもあるけれど、バヤの影などを観ると手脚の始末がとてもきちんときれいにされていて、そう言う辺りも抜擢される一因ではないかな、と。ブラウはアレですね、まあブラウだし。
「アルレキナーダ」 足立真里亜、海田一成/足立真里亜、樋口祐輝
足立さんがキュート。ちょこんとした帽子も似合う! 去年のガラではちょっと苦労していた32回転も、今年はおかずをつけてきっちり回っておりました。アレルキナーダだからちょい小悪魔系なのも可愛い。しかしそれに輪を掛けて海田くんがかわいいよ( ̄▽ ̄)! かわいすぎて半泣きだよ! ちょっと小柄だけど踊りは上手い人なので、まさに適役。語彙力を失うほどかわいい……。樋口くんはチャラ男のアルルカンだけど、それがまた似合っており、別のベクトルで適役でありました。
夏祭りのもう1日は中川+樋口、掛川は金子+鳥海で、中川さんでも観たかったよう……ヽ(`Д´)ノウワァァァン。
「タリスマン」 沖香菜子、宮川新大
タリスマンといえばロブーヒン、と古い話をつい持ち出したりしましてな( ̄▽ ̄)。
ええと、目黒のプログラムでは「天女のエッラとお守りをひろった貴族のヌレディンとの恋物語」となっていて、だから「お願い返して」「やーだね!ぶいぶいっ」っていう振りなのだな、と得心したのですが、横浜の方では従来通りの「エッラと風の神が下界へ行くときのPDD」となっており、どっちなんだよヽ(`Д´)ノウワァァァン!
沖さんは軽くて天女のイメージによく合う。正直なところ、宮川くんは「上手いなー」と思うことはあっても、好みではないというか、そんなに「よい」と思うことはなかったのですが、今回は本当によかったです。ジークフリートはまだ模索中だなーという印象でしたが、その模索したものがここで出たような感じがしました。役と踊りと本人が合ってきた、という感じでしょうか。こうやってステップアップしていくのを観るのはよいものですね。
「エスメラルダ」 上野水香/伝田陽美 柄本弾 ほか
エスメラルダがグランゴワールやジプシー仲間とともにフェビュスの婚約式に招かれて踊る場面。あんまり観る場面じゃないよな、と思いつつ、長いバックの蛇行パドブレを観て、ああダンチェンコで観たわー、と思い出したのでありました。
グランゴワール(詩人)って立場がわかりにくいんですけど、ノートルダムの近所に悪党の治外法権のエリアがあって、そこで彼が何かやらかして首領から絞首刑にされかけるんですね。で、首領が「誰かこいつと結婚するなら助けてやるぞ!」って言うので、エスメラルダが(特に好きでもないけど殺されるのはかわいそう、ってんで)結婚するわと名乗り出て夫婦になった、といういきさつ。「100分de名著」のおかげでやっと状況がわかったよ……。
というわけで、まあモロにバヤデルカの婚約式のシーンのアレと同じシークエンスです。ヘビ入りの花かごはないですけども。でも大僧正と違ってグランゴワールは大変に優しいです。嫉妬に燃えた困ったキャラはフロロの方に振られてますし、なんといっても弾くんですし。エスメラルダがどんなに「チクショウ踊るかよぉぉぉぉ!」になろうともそっと優しく微笑みかけながら「ね?踊ろ?」とタンバリンを差し出す。命の恩人とはいえ、グランゴワールの献身的な優しさに、はああ何の文句があるんだいいじゃねぇかこっちの乙女……じゃなくてこっちの男にしとけよ! とエスメラルダを小一時間説教したくなりますが、それにしても弾くん、最近乙女が過ぎないか……。
技術的には双方申し分なく。水香ちゃんはガラのプログラムとして全幕の一部を、伝ちゃんは全幕の一部を切り取ってそのままに演じた、という印象。それぞれの良さはありますが、水香ちゃんのガラ経験値がこういうところで生きてくるんだなー、とも思ったり。伝ちゃんの悲哀っぷりはそれはそれはすごかったし、全幕で見たい気持ちはあるけど、全幕レパートリーに追加するかっつうとヒドイ話だしそれより別の物やろうぜ、と思うのでまあそれはそれで。しかし、今の伝ちゃんはスゴイっすよ。推し推しです。
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