めぐり
ええと、ダンチェンコとか大野一雄の続きとかそもそも松山の続きとかいっぱいありますが、とりあえず山海塾の新作「海の賑わい 陸(オカ)の静寂―めぐり」を見て参りました。例の如く、世田谷パブリックシアターの2階最前列。いつもながら、「指定解除」宣言は緊張するなあ……。緊張する必要はないんだけどね。
ウミユリの化石をモチーフにした背景の壁と、今回は砂を敷き詰め、両脇と奥に「縁」を取り、上手前方に透明な水盤(吊ってあって上下する)が一つ、と比較的シンプルな舞台。それに照明を当てて水にしたり陸にしたり。今回は全体にシンプルな気がしたな。衣装もドレスやビスチェはなくて、色彩もシンプル。
バレエ、特に古典の読み替えについてはいろいろと解釈を楽しんでおりますが、山海塾に関しては、ほとんどそういうことをせずにシンプルにその世界を遊ぶ、みたいな楽しみ方になってます。そのいちばん大きな理由は、「覚えきれないから」に尽きたりするんですけどね……orz。一応、公演ごとにぺらりとしたお品書きみたいな紙がありまして、各景のタイトルなんかも書いてあるんですけど、で、始まる前に一所懸命見てたり(←「読む」ほどの分量ではない)してたんですけど、見てる間にだんだん今何景かわかんなくなって、見終わったあとにはまるで覚えてないという( ̄▽ ̄)。で、あきらめた、と。
今回は天児さんが最初に群舞も入った形でのソロ、最後の方に単独のソロ。群舞は4人(市原さんがこっち)と3人(蝉丸さんがこっち)の2組で、3人の方は2景とも、後退でソロをとる。
海から陸への進化の過程がテーマとあって、最初の4人は固まってイソギンチャクのようにわさわさしながら、徐々に回転しつつ外へ向かっていくようなイメージ。背中だけを床につけて手も足も頭もほとんど浮かせたままでの踊りなので、相当筋力がいると思うんですが、舞踏手ってあんまり「筋肉〜」なイメージがないんだよな。白塗りのせいもあるかもだけど。その、天に向かった指の、時々「カニ」の眼になって、つんつん、というのが妙に可愛かったり。指だけなので小さくなんだけど、いつもの「親指つんつん」とか「てのひら上下ぱたぱた」とかがさりげなく入っていてキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! ってなったり(笑)。
しかし、蝉丸さんのソロが圧倒的であった……。特に二回目のソロはもう本当に。ベテランの持つ「身体の力」が一気に放出されるような(個人的には、直後の天児さんのソロがかすんだくらい……)。なんかこんなに蝉丸さんをしみじみと見るのは初めてじゃないかってくらいにくぎづけになってしまったのよ(←長谷川さんがいるとそっちに気を取られるからなあ( ̄▽ ̄))。うっかり惚れ直してしまったよ……。
そして、市原さんは相変わらず何をするにも思い切りがよいので、やっぱり見ていて気持ちがいいというか、ある意味清々しいというか。「舞踏」で清々しいってのもアレですが、やっぱ清々しかったりするんですよ。
天児さんは、今日は最初のソロの方がよかったような気がする。とっくに還暦越えなんだけど、やっぱり美しいよなあ。蝉丸さんは「75年に19歳」という記述を見つけたので(こちら)、まだ還暦前……って、それにしてもΣ( ̄ロ ̄lll) ではあるんだけど、ベテランの貯金って、ほんとに侮ったらイカンよ……。
最近のコメント