2013/01/14

写真展・飯舘村

 さて、去った13日のことですが、新宿の全労済ホール内のギャラリーで開催されていた、長谷川健一写真展「飯舘村」へ行ってきました。全労済ホール、何年ぶりだ……。

 長谷川さんはご存じの方もいらっさるでしょうが、飯舘村の酪農家で、原発事故から全村避難、そして現在までの記録を撮り続けている方です。今回はその1万枚を超す(!)写真の中から約50点を展示。3月16日に孫たちを避難させてから、家畜の「処分」、酪農家仲間の自死、全村避難、仮設住宅での暮らし、そして除染、ヨーロッパでのデモ、国際会議への出席、12年8月の復興牧場での酪農再開までの日々。

 「かなわないなあ」と思うことはあるわけですよ。当事者にはかなわないな、と。写真そのものは名のあるフォトジャーナリストとかの方が「上手い」んだろうなと思いつつも。
 というよりも、「ああやっぱりナントカさんは上手いな」と考えないことで伝わってくるもの、というべきなのかもしれません。

 今回の場合は「悔しさ」、だと思いました。いわば「写真の行間」とでも呼ぶべきところからのどうしようもない悔しさ。それは長谷川さんという撮り手自身のもので、レンズを構えた「こちら側」にあるような気がしました。もちろん、カメラマンだって自身の怒りや悔しさやいろんな感情を持ちつつ被写体に向かうわけですが、なんというんだろう。長谷川さんの写真を見ていると、ジャーナリストというのはやはり「媒介」なんだな、と思うわけです。(レンズの向こう側の)被写体の持つ感情を写し取るのがフォトジャーナリストだとすれば、(レンズのこちら側である)自分の感情を写し出すのが当事者なのかなあ、と。例えば、孫娘の写真でも、「可愛い子だな」と思うよりも、「ああお孫さん、とっても可愛く思ってるんだろうな」とでもいうような。

 それは昨年見たドキュメンタリー「立入禁止区域・双葉」にも言えるような気がしまして。双葉出身の監督さんが撮った、事故直後の双葉から全村避難へという映画でしたが、その前半の粗っぽさはなんとかならんのかと思いながらも見られてしまうのは、「素材」の力もさることながら、監督の当事者としての怒りがストレート(すぎるくらい)に表出されている、その迫力なんだよなあ。それは「311」の森達也監督らのどこか他人事めいた「とほほ」っぷりとはやはり対極で。

 写真1万枚、動画DVD150枚という、その記録の量をみたときに、自分は阿波根昌鴻さんを思い出しましたよ。阿波根さんは、当事者の写真による運動の記録(証拠としての写真)の先駆けのように自分は思いますが(阿波根さんは写真以外にもなんでもかんでも集めて資料館建てちゃいましたけど)、その系譜に位置づけられるのかもなあ。

 まあそれはともかく、写真について。
 避難の時のお孫さんが最初の写真ですが、来ているジャケットが牛柄なのが可愛いけど切ない。だってもう、酪農はあきらめて、牛も処分しなくちゃならないのが、見ている側にはわかるわけだから。
 収穫されなかった柿の果樹園(?)の雪景色。何か違和感が、と思ったら、柿が鈴なりになったまま残され、葉が落ちて実だけになった光景って、ほとんど見たことがないんですね。柿がなってる時はまだ葉が残っていて、雪景色になる前に収穫するなり、烏が食うなり、落ちるなりして、ひとつふたつ残っているならともかく、鈴なりってことはそんなにないような。
 少しずつ、野生の猿やイノシシに侵入されていく集落を見て、自分が「廃墟写真」が好きじゃないわけがなんとなくわかりましたよ。廃墟そのものよりも、それが「廃墟」になり始める時のことの方を思ってしまうからなんだな。そこでの生活を手放さなければならない理不尽さのようなもの。
 そして、最後にお子さんたちが復興牧場で再び酪農を始めたのには、ちょっとホッとしました。それはまだまだ不確定な要素が多いんだろうとも思うけども、牛を引く長男さんが気になったからさー、また牛の仕事ができてよかったなーと。牛舎の卒塔婆がね。そんなものは「気は心だ」と言ってしまえばそれだけかもしれないけど、処分された牛も、処分に出さなきゃならない酪農家も、実際に処分する人たちも、やっぱり切ないよね。「気は心」でも、そういうものがないとやり切れないかもなあ、と。

 七つ森書館から、今回の展示と同内容の写真集が出たんですが、まだAmazonにも版元サイトにも出てないので。
 「原発に「ふるさと」を奪われて」長谷川さんの著著。


 

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2012/11/24

与那国島ポストカード

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 ダンナこと山本英夫のポストカード第4集は与那国島です。詳しい解説はこちらのページにあります。幸い、現地でも好評をいただいているようです。

 ぢぶんは、与那国といえば真っ先にユンカーマン監督の映画「老人と海」(こちら)を思い出します。カジキを追う与那国の82歳の漁師・糸数さんのドキュメンタリー。小室等が音楽を担当しているというので見に行ったのでありますよ。映画館じゃなくて、当時あった池袋西武の小さなギャラリーみたいなところで、多分、先行上映で見たような気がする。というのは、糸数さんが漁の最中(と思われる)に亡くなった時に、「えっ、あの人が!」とすごくびっくりした記憶があって、それは映画を見た後だったように思われるからなんですが、どうだったかなあ。そういえば、「しがらきから吹いてくる風」もそこで見たような気がする。

 ま、それはとにかく。与那国といえばヨナグニサン、というのもひとつあって。でも馬好きの人には「与那国馬」だよね。そして与那国含む八重山諸島で生まれ育った牛が「石垣牛」(高級品!)になる。前回の与那国滞在で、「オレは牛とコミュニケーションができた!」とダンナが豪語しておりましたよ。

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2012/11/17

絵はがきの販売ページを作りました。

 ダンナこと山本英夫(漫画家じゃない方)のページに販売物のページを追加しました(こちら)。現在、絵はがき4種類(辺野古1〜3と与那国)を販売中ですが、とりあえず辺野古の分だけ。しかも、ちゃんと解説入れてるのは3だけという、ちょっとした惨事ですが(←PCがクラッシュしたときに1と2の解説は失われてしまったのだ)、おいおいに整備して行きます。年賀状とはいわず、寒中見舞いにでもお使いくださいまし。

 いやー、表紙の写真に昔CDに焼いておいた写真を使おうと思ったら、CDが見つかんなくてさー、といういつもの調子で。しかも表紙に使ったの、トカラのどこだったか思い出せないよぅ……。

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2012/09/26

辺野古絵はがき第3集できました

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 ダンナこと山本英夫の沖縄・辺野古の絵はがき、第3集「それでも、この海は生きています」ができました。

 今回は09〜12年の写真が中心ですが、04年11月9日の写真が1枚入っています。海、カニ、フェンス、装甲車。9枚セット(解説チラシ入り)、600円。

 現在、与那国で1セット制作中。がんばって売らないと、取材費が出ませんわー( ̄▽ ̄)わー……って笑い事でわ。

 1、2集はこちらに。ヤマヒデのプロフィールなどはこちらに。

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2012/08/28

練馬で重重、28日から

 富山のことも残ってはおりますが、今日(火曜)から、以前紹介した重重プロジェクトの写真展第2弾! が始まるので、ちょっとお知らせ。前回、ニコンでの展覧会での記事はこちら

・・・引用開始・・・

新宿ニコンサロンが中止を通告した写真展・東京第2弾!!

「重重 中国に残された朝鮮人元日本軍「慰安婦」の女性たち 安世鴻写真展」

□会期:8月28(火)~9月9日(日)
12:00~20:00(最終日16:00)会期中無休
ただし、イベント中は写真のみの鑑賞はできません。
イベント時間をご確認ください。
□入場料:300円、大学生以下無料
□連続トークイベント開催(各回先着40名/要予約/詳細以下)
□ニコンサロン展示作品に加え、新たな写真も展示します。
□会場:ギャラリー古藤
東京都練馬区栄町9-16  千川通り」沿い、武蔵大学前
◆西武池袋線江古田駅南口徒歩5分
◆大江戸線新江古田駅A2出口徒歩7分
◆西武有楽町線新桜台駅2番出口徒歩6分
http://furuto.art.coocan.jp/
道順案内は080-4056-8490
□主催:『重重』市民でつくる写真展in練馬実行委員会&重重プロジェクト
実行委員会問合せメール jjteninfo@gmail.com
実行委員会問合せTEL 080-4056-8494
重重プロジェクトホームページhttp://juju-project.net/

ーートークイベントーーーーーーーーー
8.29(水)19-20時 安世鴻スライドトーク&「新宿ニコンサロンで何が起きていたか」報告
8.31(金)19-20時 安世鴻×土井敏邦(ジャーナリスト)
9.1(土)18-19時 安世鴻×中村梧郎(フォトジャーナリスト)
9.2(日)18-19時 安世鴻×(ゲスト未定)
9.3(月)19-20時 辛淑玉(在日3世)
9.4(火)19-20時 樋口健二(写真家)
9.5(水)19-20時 西野瑠美子(バウラック共同代表)
9.7(金)19-20時 三井マリ子(館長雇止め・バックラッシュ裁判元原告)
9.8(土)18-19時 奥平康弘(憲法学者)
9.9(日)16-18時 安世鴻スライドトーク&ミニシンポ(永田浩三、綿井健陽、千田由紀ほか)
イベント参加費■1,000円(入場チケットお持ちの方は700円)

イベント予約専用メール jjtenevent@gmail.com
イベント予約専用TEL 080-4056-8490

・・・引用終了・・・

 呼びかけ文などは、重重のサイト(こちら)をご覧下さい。
 トークイベントのメンツを見れば、その力のは入りようがわかろうというもの。聞きたい人がひとりやふたりじゃないよ! わー、どうしよう。
 前回のエントリにもありますように、写真そのものもとても見応えがあります。どうかたくさんの人が足を運んでくださいますように。

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2012/08/14

スケジュール変更

 告知に出してありました、「ヤマヒデのスライド&トーク その2」ですが、沖縄の県民大会の延期に伴い、9月21日に変更になりました(こちら)。「その1」は予定通り、9月7日に行います。

 ついでながら、今回の与那国の写真、本人によれば「かなりいい!」そうですよ(ぢぶんはまだ見てませんが)。

【ヤマヒデのスライド&トーク 沖縄の夏 沖縄の闘いと私・たち】
★その1 「自衛隊進駐を問う町民投票 与那国島の今」
 9月7日(金)18:30開場 19:00〜21:00
★その2 「頭上に迫るオスプレイ 配備阻止の闘い―9月9日県民大会を超えて」
 9月21日(金)18時30分開場、19時開始
(「その2」の日程が変更になっています)

場所 ピープルズプラン研究所(有楽町線江戸川橋駅1b出口から7分)
    アクセスはこちら
各回800円

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2012/07/06

ニコンサロンの重重写真展

 さて、ツイッター(こちら)の方ではそこそこ集中して流してきた(つもり)のニコンサロンにおける重重プロジェクトの写真展ですが、去った土曜日に行って参りました。そしてそのままPCが復旧しなかったんだよ、うがーヽ(`Д´)ノウワァァァン。

 プロジェクトの公式サイトはこちら
 韓国の写真家、安世鴻(アン・セホン)氏による、中国残留朝鮮人日本軍「慰安婦」のハルモニたちをテーマにしたこの写真展。いきなりのニコン側から中止の通告、あとの経過はまあご存知かどうかはともかくとして、動きがあるごとにツイートした通りの具合、ってなわけで。

 経緯については綿井健陽氏のツイッターのまとめ(こちら)がわかりやすいかな……。そこいらについてはまた稿を改めるとして、今日は、先週みたその展覧会について。

 自分が行ったのは、1日の夕方(5時頃)です。ニコンサロンは新宿エルタワービル(西口)の28階の奥にあります。入るといきなり、警備員にカバンを開けさせられ(検問ってやつですね)、空港ゲートと同じように金属探知機を通らされます。狭い会場なので相当邪魔です。これは安さんの意向ではなくニコン側の措置だそうです。って、安さんもこれ通らされてるって、なんなんだか。ニコンは何を守るためにそれを置いているのか(写真パネルや会場設備を守るためなら、撮影者の安さんは顔パスのはずでしょ?)。

 写真は公式サイトの方でもいくつか見られます。はじめに、開催にあたっての文章がある意外は、キャプションなし。すべてモノクロの写真です。キャプションがないことによって、逆にハルモニたちへ、すっと心が吸い寄せられ、その人の人生に想いを馳せることになります。

 いくつかの印象的な写真があります。立てかけられた小さな鏡に映った韓服の女性。階段の上から見下ろす人は、この急な階段をおりることができるのだろうか。その人たちの仕草が説明されていないからこそ、その意味を受け取るために、自分の中が動いていきます。いちばん「好き」だったのは、大きく伸ばされたうちの1枚で、横になったハルモニの向こうに、おそらくは炊事の湯気がたちこめるもの。なぜこれが好きなのかはわからないけど、引き寄せられる。

 1枚ずつを丹念に見るのはもちろんですが、会場の角など、すこし引いたところから全体を眺めるのもいい。1枚の写真からではなく、展覧会全体の持つ「空気」そのものを感じること。そこから何かしらのイメージがわき上がってくるのを楽しむ。
 今回は人が多かったのでできませんでしたが、ベンチに腰掛けて全体を眺めたら、1時間でも眺められそうな、そんな写真でした。

 今回のパネルは印画紙ではなく、実際に近くで見たときは和紙にプリントしてあるのかと思ったのですが、ブログによると「韓紙」だそうです。韓紙がどういうものかはわかりませんが、その漉いた紙の具合がまた、落ち着いた、しっとりした質感を生み出しています。

 9日(月)まで開催しています。10:00~18:30(最終日 15:00時まで)。どうかその目で見てください。
 パンフレットなどの配布物、販売物はニコン側によって禁止されていましたが、綿井さんのツイートによると、この規制も解けたようです。明日、別件で新宿に行く用事があるから、寄って買ってこようかな。

 安氏のツイッターはこちら。サイトはこちら。ギャラリー(こちら)から、今回の写真のいくつかが見られます。

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