2015/02/02

フイチン再見!

 「フイチン再見!」村上もとか

 最新巻の4巻が出ました(^▽^)。

 村上もとかは好きなマンガ家じゃないんだけど、上田としこ伝とあっては見逃すわけには参りませんのん。まあ絵が嫌いなわけじゃないからな(むしろ上手いよね)。

 上田としこの「フイチンさん」は、小学生の頃に近所の貸本屋で借りて大好きだった漫画。ええ、うちの近所には70年代になっても1軒だけ、貸本屋が残ってたんですよ。多分80年くらいまでやってたんじゃないかな。漫画が1泊2日で30〜50円。発売1ヶ月以内だと100円。図書館には「はだしのゲン」と「火の鳥」しか漫画がない時代のこと、ずいぶん借りて読みました。水野英子も志賀公江もわたなべまさこも忠津陽子もみんなこの貸本屋で読んだなあ。

 満州を舞台にしたこの「フイチンさん」は、もうストーリーはさっぱり覚えてなくて、とにかく「愉快」「痛快」という言葉がぴったりするようなドタバタで、今となっては「大好きだったなあ」という記憶しかないんだけれども。復刊されたときに迷ったんだよなあ、買っておけばよかったかな(←例によって高かった)。

 村上もとかのこの漫画は、その作者の上田としこの一代記。ハルピン在住日本人として上流家庭に育ち、女学校に通うために一時帰国。マンガ家になるという夢を抱いてデッサン会に通ったりしつつも、お嬢さま育ちの甘さが抜けきれず。再度ハルピンに戻り満鉄に就職、女性社員の待遇改善に奮闘しつつも退職して新聞社に再就職、そして敗戦。4巻では、満鉄社員として開拓青年義勇軍へ慰問に行き、学生サロンを開いていた母が何人もの出征兵士を見送るという場面もあります。そして敗戦後に父のアパートメントを避難民のために解放、3000人が住むいわば「自治区」的に、しかし事実上の「籠城」となったところまで。そしてこの後、引き揚げについては「ぼくらが出合った戦争―漫画家の中国引揚げ行」でも描かれるのですが……。

 上田としこ自身もたいそう魅力的ですし、お母さんがまたすごい人( ̄▽ ̄)。当時のハルピンの様子も面白い(この辺は村上もとかならでは)。バイタリティーにあふれ、何があってもめげずに進む(いや、めげるんだけど)としこ本人がフイチンさんだったんだな。

 「ぼくらが出合った戦争―漫画家の中国引揚げ行」石子 順 (著), 森田 拳次 (著), ちば てつや (著) これもオススメ。とくに石子氏の引き揚げ状況の解説は教わるところが多かった。

 

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2015/01/30

踊る!アントワネットさま

 

 「踊る!アントワネットさま」全2巻。

 「何も考えないで読めるそこそこのもの」が読みたいな−、というのが疲れたときのいつものことなんですが、そんな感じで1巻を読んだら案外面白かったので、2巻も買ってしまいました( ̄▽ ̄)。

 いわゆる「4コマストーリーまんが」。まだ王太子妃のアントワネットと、貧乏貴族で画家志望のマリーが出会って、親友になって……という1巻と、革命が始まりアントワネットが処刑されるまでの2巻。始まりがどんなにほのぼのとしていても、結末が変えられる話ではないので「まあそうなっちゃうよね……」というある種の切なさは最初からあるんですが、2巻に入ってからの歴史的展開が「あれよあれよという間に」なので、欲をいうともう1巻欲しかったかな、という。まあ「忠臣蔵」とか「新撰組」と同じで、流れ自体は決まっているので「ここにその話を入れ込んできたかー」ってなるんだけど、逆にそれがわからないとわかりづらい。ただ、マリーのような「普通の」貧乏貴族(つまり「シトワイヤン」ではない)にとって、「あれよあれよ」てのはある意味ではリアルなのかも。

 ……「フランス革命」(国王夫妻処刑までだけど)の流れを一定程度の「基礎知識」として浸透させちゃったベルばらってすごい。というか、オレらベルばらに寄りかかりすぎてないか、むしろ。

 ええと、とにかくアントワネットの天然っぷりがすごいです( ̄▽ ̄)。天真爛漫のさらに上を行くような(しかし自分なりに悩みはある)、「おひいさま」ってのはこんな育ちなのかっていう。ルイ16世とのラブラブっぷりもすさまじい。フェルセンのアプローチもまるで気づかずに、ひたすら夫婦でのろけまくりです(←これも新しいな)。フェルセンの方は、スウェーデンから送り込まれた工作員的な位置づけですが、今ひとつ目的はわかりづらかったな。ルイ16世の側近、ルソー公爵とマリーの「けんか友達から……」は定番だってわかっていても、マリーの一所懸命さがかわいかったりね。
 後半登場の、理想と現実の間で悩んだり、ルイ16世の「あまさ」を指摘しつつも自分もその「あまさ」を捨てきれないロベスピエールなんかもちょっとイイですね。「いい人」が「いい施政者」ではないんだよな。

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2015/01/25

藤子・F・不二雄のSF短編

 最近ちょっとはまって……というほどでもないけど、面白いっすよ。

 藤子・F・不二雄SF短篇集 (3) 超兵器ガ壱号 中公文庫
収録作品「超兵器ガ壱號」「福来たる」「神さまごっこ」「影男」「昨日のオレは今日の敵」「あいつのタイムマシン」「耳太郎」「宇宙人」

 昨年の夏に、戦争漫画のアンソロジー(これの下の方)に入っていた「超兵器……」を読んで以降、気になっていたんですよね。藤子不二雄(当時はまだ分かれてなかった)といえば、小学館の学年誌で読んでそれっきりになっていたという、まあありがちなパターンだったんですが、このアンソロジーで青年向けというか、子ども向けでない作品も結構面白いな、と。

 3巻目のこの本は、タイムトリップ物を中心とした作品群。「耳太郎」だけが別かな。「超兵器……」は大枠では歴史書き換えもの、といえなくはない。面白いのは、ほとんどのタイムパラドックスものはセオリー通りに、変わった歴史に合わせて人物も変わるんだけど、「昨日のオレ……」だけは本人がどんどん増えていくという( ̄▽ ̄)。さすがに「ドラえもん」の作者だけあって粒ぞろいですが、そういえば学年誌で読んで大好きだった「みきおとミキオ」もタイムトリップものだったな、と。「あいつのタイムマシン」なんて、最終的にできたタイムマシンって、ほとんどドラえもんのアレのパロディだもんな。

 この文庫の困ったところは、文庫になる前の単行本の履歴はあるんだけど、個々の作品の初出が出てないこと。掲載誌はともかく、年だけでも出してくれないと参考にならないんだよな……。

 「超兵器」はTWにも書いたけど、最後のオチだけが惜しい……。コメディもシリアスもあるけど、「昨日のオレ……」のタイムトリップ法は大笑い( ̄▽ ̄)。これは気づかなんだよ。シリアス(だけど「オチ」はある)では「宇宙人」が好きかな。

 ほかにも何冊か読んで、結構面白かったのでまたの機会に。

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2014/04/20

手塚治虫のオキナワ

 「手塚治虫のオキナワ」本浜秀彦著

 著者は那覇出身の元琉球新報記者で、メディア表象論の人。手塚治虫が海洋博のアクアポリスの「展示プロデューサ」だったことを手がかりに、手塚治虫(の作品)とオキナワを……とまではよかったんだけど、結局尺が足りなくていろいろ盛った、みたいな印象。

 取り上げられているのは、カバーにも使われた「海の姉弟」をメインに、「イエローダスト」、「MW」「ブラックジャック」から「宝島」と「オペの順番」が「オキナワ枠」。少し広げた「南島」のイメージとして、「新宝島」、「ゴブリン公爵」、「太平洋Xポイント」、「鉄腕アトム」から「赤道をゆく」、ほかに直接の関わりはないけど、手塚作品を読み解くための参照作品的に「リボンの騎士」や「どんぐり行進曲」、特に「動物漫画」としての「ジャングル大帝」が検討される。

 んー。面白くなくはないけど、くらいの。結局のところ、「こういう傾向」みたいなものはわかるけど、特に感心するほどでもないというか。「冒険ダン吉」と「桃太郎」(神兵)については、そっちを見てれば言われなくても思うわけで(とはいえ、言わないわけにもいかないんだが。そしてなぜか小さい頃「冒険ダン吉」が好きだったわたくし( ̄▽ ̄))。「ジャングル大帝」の話も長すぎるような気がするしなあ。むしろ、海洋博の中での手塚治虫の位置づけがわかれば、その方が(例えば「岡本太郎と万博」と対比できるくらいの材料があれば)いろいろと面白かったろうにと思うけど、つまるところそれを考察するための材料がないんだろうなあ、と、思わずおもんぱかってしまうという。

 アクアポリスの流れで描かれた海底都市の絵が何枚かあがっているけど、これはむしろ「マリンエクスプレス」へ流れていくような気もするんだけど、あれはアニメだけで漫画にはなってないのかな。
 いや、自分も海洋博当時小学生だからさ(笑)。アクアポリスってすごい憧れだったわけですよ。行きたくてたまらなかったけど、さすがに大阪と沖縄では距離が全然違うという( ̄▽ ̄)。大阪は、山口に帰る途中によれるけど、沖縄はそういうわけにいかんからなあ。

 ついでながら。「海の姉弟」は海洋博に伴うリゾート開発をめぐる話だけれど、柴田昌弘がやはり75年に「黒い珊瑚礁」という、沖縄のリゾート開発をめぐる短編を書いてまして。これは(おぼろげな記憶だけど)それこそ土曜ワイド劇場的なサスペンスですが、ぢぶんはこの漫画で初めて「いったーあんまーまーかいがー」の歌を知ったのでありますよ。多分、マーガレットコミックス版の「紅い牙」のどれかに収録されてたんじゃないかな。

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2014/04/13

「はだしのゲン」創作の真実

 夏まで東バの公演はないし、足がよくなるまでは舞台や映画からも遠ざかることになるので(グスングスン)、このかんに読んだ本からせっせと書いていきますよ。といっても、もう随分前に読んだ本なんかは、書くべき事も忘れちゃってるんですが。

 「はだしのゲン」創作の真実 大村克巳著

 実は「「はだしのゲン」を読む」の方を買いに行ったら、それは店頭に1冊しかなくて、こっちの方が目に入ったもんで先に買ってみたという。最初に見た時は「真実」とかついてるし、中央公論だし、むしろ「バッシング本?」とうっかり思ったんだけど、よく考えたら(考えなくても)中公は「ゲン」の版元さんですよ。あははは、ダメダメだな、ぢぶん( ̄▽ ̄)。

 著者の大村氏は、ぢぶんと同い年(65年生まれ)のカメラマン。東日本大震災の被災地に11年の5月にニュース番組の取材に同行した後、8月に中沢啓治氏の取材に同行する中で、ジャンプの連載で読んだ「ゲン」と向き合います。そして中沢氏の訃報のあと、追悼本を創りたいと思い、この本が生まれます。

 内容は、ジャンプ連載時の初代担当編集者・山路則隆氏、妻のミサヨ氏、広島平和記念資料館の前館長・前田耕一郎氏の3人へのインタビューと、「ゲン」の第2部(東京編)の草稿、中沢氏が初めて原爆を描いた「黒い雨にうたれて」の再録。
 先行本とダブる話もあるけれど、やっぱりミサヨ氏の話が面白いかな。アシスタントをやるようになったいきさつとか、マンガ家としての中沢氏の仕事中の話とか、日頃の生活とか。で、ぢぶんは知らなかったんですが、中沢氏にも「オキナワ」というずばりなタイトルの沖縄ものがありまして、その取材の顛末的なものとか(まあちょっとしか触れられてないですが)。前田氏は、中沢氏が全作品の原画を資料館に寄贈したときの館長さん。ライブラリアンとしての話も面白いし、「被爆体験を語る」という中での位置づけ的な話もなるほどなあ、と。インタビューの相手として、この3人を選んだというその取り合わせというか、目配りの仕方が、大村氏のセンスのよさかも。

 ゲンの第2部の草稿は、枠線と台詞にちょこっと絵が入っている程度のもの。ゲンが上京して、東京大空襲で孤児になったサブからその体験を聞き、同情してる間に全財産入りの財布をかっぱらわれてしまうところまで(←相変わらずだよ、ゲン……( ̄▽ ̄))。

 「黒い雨にうたれて」は読みたかった1編。ゴルゴみたいな殺し屋が、実は被爆者で、家族の仇を討つためにアメリカ人専門の殺し屋になったけど、返り討ちにあって、その直前に知り合った目の見えない被爆二世の女の子に自分の角膜を残すという、雑にいうとそういう話で。今読むとなんというか、相当ムチャな話なんだけども、1968年の作品だからねぃ。
 とはいえ、殺し屋が最後に女の子とする約束、「またこの日本が戦争を起こさないように/そして原爆を二度と落とされないようによーく見張ってて欲しいのだ/約束してくれるかい……/もしも……もしも原爆を落とそうとした奴がいたら噛みついてくれるかい/そして今苦しんでるお父ちゃんや原爆を受けた人たちがこのまま見捨てられないよう見張ってくれるかい/約束だよ」という、その「目」。閉ざされた目が開く、そのことが本当はテーマなんだろうなあ、と。

 まあ「創作の真実」というタイトルのセンスはあまりよろしくないと思うけれども、中沢氏の人となりや制作過程、あるいは「ゲン」の原点を読むには手頃な1冊であるかと。

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2014/03/15

聖ロザリンド

 ロザリンデについて書こうと思っているのですが、「ロザライン」という名前になれてしまっているので、「……ロザ……?」な感じになっているところで毎回「ロザリンド」になってしまうわけですよ。

 うわあうわあうわあ! 

 せんだって、うっかりブックオフで立ち読みし直しちゃったけど、やっぱり怖いーーー 。・゚・(ノд`)・゚・。。こんなにたくさん殺してたっけかってくらい殺しまくっておった。修道院とか車いすのばあちゃんとかのエピは覚えてたけど、途中の仲良くなった医者の娘とか、坊ちゃん嬢ちゃんとか、DV野郎とか、空港のチケット争奪の話なんかはすっかり忘れてました。前半は物欲(「おばちゃんが死んだらロザリンドにあげるわねー」的な)から後半はもっと「人助け」的な殺人(「死にたいって言ってたからー」とか)になっていくので、さらにオソロシイ。
 たしか、原型になった洋画があったはずなんですよね(見てはいないんですが)。純真無垢な美少女が、物欲のために無邪気に殺人を繰り返すという。で、もうちょっと規模を小さくしたようなのが大林カントクの「可愛い悪魔」と、モチーフとしては割にあるんですが、その徹底ぶりがスゲエ。
 

 わたなべまさこは、とっていた小学館の学年別雑誌に「ばらの中のリザ」が連載されていまして(年がばれるなあ)、そこから「ガラスの城」で、ころんだらおっきするのよ、ときて、そこから先は「うわ、うわ、うわあああ 。・゚・(ノд`)・゚・。」な世界へ……といいますか。
 「リーベス・ツァイベン」と「ふたご座生まれ」が好きなんだよなあ。自分にとっては「執事」とはクロッキー(と田村)なので、20代のイケメン執事とか認めませんよ?
 レディースコミック誌に根拠地を移してからは、さすがにほとんど読んでないけど、まだ書いてるんだよなあ、すごいなあ。いろんな意味でオソロシイ。
 

 ちなみに「ばらの中のリザ」が連載されていた頃の学年誌には、青池保子の「キュートなニッキー」も連載されておりまして。これが前半はよくある「実は財閥の娘だった!」という少女漫画コメディなんだけど、後半はほとんど「イブの息子たち」の原型みたいな話になってるという。それに「姫子」と「ウルトラマンシリーズ」と谷幸子の「なんとかの星」なるバレエ漫画ですよ。みなもと太郎の警察モノとかもあったし、70年代の学年誌って、ある意味アナーキーだったよなあ……。

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2014/02/18

ポリーナ


 「ポリーナ」バスティアン・ヴィヴェス (著), 原正人 (翻訳)

 フランスの新鋭漫画家(だそうです。海外漫画事情に全然詳しくないワタクシ)の描くバレエ漫画。表紙がなんだかなー、という気もせんでもないのですが、まあ、全体にこんな感じの絵柄。

 舞台はロシア。ポリーナという一人の少女がオーディションをうけてアカデミーで学び、大劇場付きのバレエ学校に飛び級で入るも、そこから飛び出してコンテのカンパニーへ。そしてそこも飛び出して、ベルリンで出会った演劇グループとともに、新しい形の舞台を……というお話。表紙は最初に入ったアカデミーで、先生から姿勢の矯正を受けているところですね。

 日本のバレエ漫画もまあいろいろあるんで、あまり一概には言えませんが、「バレエ漫画」というときにイメージするような華やかさや、ドラマチックな構図というのはほとんどなくて(そもそもチュチュもほとんど出ないし)、ラフに描いて筆で塗ったようなタッチの絵が淡々と続きます。ポリーナも表紙を見ればわかるように「美人」というイメージではないんですが、ぢぶんはこの絵は、慣れたら好きになった感じだな。

 なんというか、非常に淡々と淡々と話は進むんですが、それだけにそれは「日常」であるなあ、とも。若者らしいもろもろもあるけれど、内側にある悩みが地の文というか、主人公らのモノローグとしては表れないために、より深く、子どもから大人へと成長していく姿を感じることができるように思います。
 最初の師であるポジンスキーとポリーナの、全体をゆっくり流れる、うっすらとした「師弟愛」がいいんだよなあ。熱くもなく、激しくもなく、漠然としているけど確かなもの。ポジンスキーが一度だけ眼鏡をはずすコマとか、すごく上手いなーと思う。最後の方のワルツを踊るシーンがとても好き。

 ポジンスキーのひとことひとことはなかなか含蓄が深いけど、この絵柄とこの表紙で日本の「バレエファン」がどれくらい、この本を手に取るか(というか、買うか)はちょっと疑問ではあるな。どのように受容されるのか。ちょっとお値段も張るのでそう強くはプッシュしないけど、ぢぶんは意外と好きになった作品でした。

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2013/09/26

しゃしょーさん

Ca3k0367

 大泉学園駅にいるしゃしょーさん。

 そういえばメーテルのその後というか、その前というか、「さよなら999」で終了した自分には、さっぱりわかったようなわからないような、なのでありましたよ。実を言うと千年女王も見てないしなあ。


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2013/09/17

アルカディア号

Ca3k0737

 なにもかも間違っているような気がするアルカディア号。ハーロックも実写なのかと思っていたら、フルCG版だったらしい。

 今日通ったら撤去されてたよ。


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2013/07/03

風雲児たち最新刊

 ここのところで読んだ本。最新刊といっても、出たのは5月か。

 「風雲児たち 幕末編 22」みなもと 太郎 (著)

 前半は桜田門外の変の後始末、後半からは咸臨丸(というか遣米使節)の航海とアメリカ到着まで。

 歴史の授業は、といいますか、授業に限らず「桜田門外の変」って、井伊直弼が暗殺されたそこだけは覚えてるけど、前後の脈絡というか、特にこの事件がどれだけ重いかというのはあんまり意識したりされたりしてなかったなあ、と。そんで、ここへ来てなお、武家の動向(あるいは倫理規範)が、「忠臣蔵」(「赤穂事件」というべきか)に囚われているのか、というのは驚くばかり。

 そんで、ようやく勝海舟が全面に出てきたよ(^▽^)。咸臨丸は寄らなかったけど、正使の乗った艦の寄ったハワイについても、割にきっちりと触れられていて面白い。

 正直、「ギャグ漫画」としての面白さは江戸初〜中期のころには及ばないんだけど(個人的には前野良沢〜最上徳内くらいまでがいちばん面白い)、多分もう著者の方でそれは半ば捨ててるんだろうな、と。それよりも「歴史」としての面白さの方を優先するというか。時代が殺伐としちゃって、ギャグにしづらいのもあるのかもだけど。

 実際、今の「風雲児」の面白さは、個々の(と思われる)事件がどのように連なり合って「時代」を作っていくか、という面白さだよな。歴史物を「大河」と呼ぶわけだけど、いくつもの源流が集まって大きな流れとなり、またいくつもの支流に分かれていく、「歴史」ままさに「大河」なんだなあ、と、ちょっくら実感しながら、本巻を読んだりしたのでありましたよ。

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