2018/12/06

マリインスキーのすべて

 3日で5公演って、久しぶりに無理をしましたが、とりあえず2日のマリインカから。今回はこれ1公演だけでした。3階正面でA席……(NBSはまだBだよね?)。 
 指揮はアレクセイ・レプニコフ。さすがにマリインスキー管。のっけから「音が違うわあははは」って感じでしたが、時々妙な感じも。なんつうか、パートごとにタイミングがあってないというか。まあ席のせいかもしれないですけどね。

第1部「ショピニアーナ」
作曲:フレデリック・ショパン  振付:フォーキン  改訂振付:ワガノワ
アリーナ・ソーモワ、ザンダー・パリッシュ
 
 今回はこれがいちばん「マリインスキーらしい」満足感がありました。折角の3階席なので、ソリストよりも群舞をもっぱら堪能。ソリストの踊りだとワルツがよかったな。

第2部「マリインスキーの現在」
『眠れる森の美女』よりローズ・アダージョ
振付:プティパ/セルゲーエフ 音楽:チャイコフスキー
エカテリーナ・オスモールキナ、ロマン・ベリャコフ、コンスタンチン・ズヴェレフ 他

 クラシック演目には劇場の客席を舞台から見たような背景幕付き。オスモールキナは、目が覚めるような、というわけではないけれど、典雅なというか、アカデミックなオーロラ姫。王子たちは「各国の」というほど民族衣装的なものではないけど、おそろいでもない衣装。赤タイツの王子(にしてはちょっと薹立ちした感じの)が、サポート担当でもないのにばらを回収したりかいがいしく働いておった(演技も多分いちばん細かかった)。

『ソロ』
振付:ファン・マーネン 音楽:J. S. バッハ
フィリップ・スチョーピン、ヤロスラフ・バイボルディン、マキシム・ゼニン

 3人で「ソロ」? と思ったら、3人で入れ替わり立ち替わりにソロを踊り、最後にちょっとだけ全員で踊る。どんどん曲が速くなっていって、最後の方は本当に忙しそうで、体力だなーとは思うけど、そんなに面白くはない。

『海賊』第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:プティパ 音楽:アダン
永久メイ&アンドレイ・エルマコフ

 うわさの永久さんは、失礼を承知で第一印象を言えば「なるほど西洋人好みの日本人だなー」という感じで、ああ本当に失礼だな、自分。海賊はどこからこんな子どもをさらってきちゃったんだ、という。大変華奢なんだけど、腕を開いたときに空間がすごく大きくて、この辺りが素質として評価されたんだろうなー、と思いました。むしろクララかオーロラを見たかったかな? エルマコフはお目付役の頼りになる先輩でありました。

『バレエ101』
振付:ゴーティエ 音楽:ペーター・アーベレ
ウラジーミル・シクリャローフ

 前に見た時も書いたけど、やっぱりオチが好きじゃないなあ。初見がいちばんで、何度も見て面白い演目でもないしな。最後暗転したあとに、ナレーターに一発くらわせて「101ポジション!」ってダンサーがドヤ顔して終わる、てのがいいな。若い頃のマラーホフがやったらどんなになるかはちょっと見たかったですね。

『フラッシュ・バック』より パ・ド・ドゥ
振付:イリヤ・ジヴォイ 音楽:アルヴォ・ペルト
エカテリーナ・コンダウーロワ&ロマン・ベリャコフ

 前のシクリャローフの上半身が残ってるのかと思ったら、コンダウーロワが向こう向いて座ってたという( ̄▽ ̄)よい出だしでした。コンダウーロワがすごいチリチリヘアでびっくりしたけど、かつらだよね?
 プログラムを買ってないのでシチュエーションが全然わかりませんが、腐れ縁の男と女の暴力的な駆け引きみたいな感じ。全幕が見たくなるようなものでもなかったですが(きっとろくな話じゃないな、という感じ)、今回のコンテの中ではいちばん見応えがありました。

『タリスマン』
振付:プティパ 音楽:ドリゴ
予定キャスト:レナータ・シャキロワ&キミン・キム

 噂のキミンを初めて見ましたが、まあ飛ぶわ回るわ、あんまりすごいんで途中で笑い出しちゃったよ( ̄▽ ̄)! 3階からみてもあれだけ高く跳んでるんだもんなあ。役にはまったらすごいだろうねえ。シャキロワは今回見た中では、好みのタイプのダンサーでした。

第3部「パキータ」より グラン・パ
作曲:ミンクス  振付:プティパ 改訂振付・構成:スメカロフ/ブルラーカ
予定キャスト:ヴィクトリア・テリョーシキナ/ティムール・アスケロフ

 待ってましたのテリョーシキナ。パキータはカンパニーによって構成が違うので、日頃見ないヴァリエーションが入っているのも楽しい。マリインカだったらトロワ入りでもよいのになー。ヴァリはエトワールの2人を除いて4人だか5人だか。個人的には3ヴァリの人(パープルのチュチュ)が好みでした〜。とはいうものの、前日兵庫のドンキからトンボ返りというのもあったかと思うけど、全体に精彩を欠いた感じは否めないかな……。テリョーシキナだったらもっと行くんじゃない? みたいな感じが残っちゃうのは期待値が高いからしょうがないのかだけども。ま、コーダの回転はもの凄い早さで回っていたのだけど、自分が求めるのはソコジャナイ感じでな……。あんまりガシガシ日程詰めて「……まあこの日程じゃね」というのもどうかと思うんだよな……折角のマリインスキーなんだしな。

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2018/11/05

プティパガラ目黒&横浜 第1部

プティパ生誕200年記念〈夏祭りガラ〉(8/25 目黒パーシモン)
プティパガラ(9/1 神奈川県民ホール)
― 第1部 ―

「ジョコンダ」 柿崎佑奈、ブラウリオ・アルバレス ほか

 ジョコンダの時の踊りといえば、「ファンタジア」の中に名作があるのですが、これがかなりアップテンポな印象なので(アニメだからアップテンポというよりも動きが細かくてそう見えるのかも……むしろ1940年作品だと思うと「音に合う」方がすごいという気もしたり)、やっぱりちょっともっさりした印象にはなってしまうんだな(そもそもブラウだしな)。朝、昼、夜、夜中という4つの時のそれぞれに色分けされた衣装の女性群舞に、夜の女王(紫ベースのチュチュ)と風の精の男性ソリスト。女性群舞はそれぞれ順に出てきますが、どこからどこまでが朝、という明確な感じでもなかったような。正直、それほど面白い振付ではないんですが(オペラの一部だしね)、「原プティパ」といいますか、プティパの振付の原型を観るという意味では興味深かったです。横に並んで手をつないで踊る(4羽の白鳥的な)アレが好きなんだなー、とか、腿上げみたいなヤツ好きだねー、とか( ̄▽ ̄)。
 柿崎さんの夜の女王は(チュチュの色もあってか)リラの精っぽい。背も高く、プロポーションが素晴らしいのもあるけれど、バヤの影などを観ると手脚の始末がとてもきちんときれいにされていて、そう言う辺りも抜擢される一因ではないかな、と。ブラウはアレですね、まあブラウだし。


「アルレキナーダ」 足立真里亜、海田一成/足立真里亜、樋口祐輝

 足立さんがキュート。ちょこんとした帽子も似合う! 去年のガラではちょっと苦労していた32回転も、今年はおかずをつけてきっちり回っておりました。アレルキナーダだからちょい小悪魔系なのも可愛い。しかしそれに輪を掛けて海田くんがかわいいよ( ̄▽ ̄)! かわいすぎて半泣きだよ! ちょっと小柄だけど踊りは上手い人なので、まさに適役。語彙力を失うほどかわいい……。樋口くんはチャラ男のアルルカンだけど、それがまた似合っており、別のベクトルで適役でありました。
 夏祭りのもう1日は中川+樋口、掛川は金子+鳥海で、中川さんでも観たかったよう……ヽ(`Д´)ノウワァァァン。


「タリスマン」 沖香菜子、宮川新大

 タリスマンといえばロブーヒン、と古い話をつい持ち出したりしましてな( ̄▽ ̄)。
 ええと、目黒のプログラムでは「天女のエッラとお守りをひろった貴族のヌレディンとの恋物語」となっていて、だから「お願い返して」「やーだね!ぶいぶいっ」っていう振りなのだな、と得心したのですが、横浜の方では従来通りの「エッラと風の神が下界へ行くときのPDD」となっており、どっちなんだよヽ(`Д´)ノウワァァァン! 
 沖さんは軽くて天女のイメージによく合う。正直なところ、宮川くんは「上手いなー」と思うことはあっても、好みではないというか、そんなに「よい」と思うことはなかったのですが、今回は本当によかったです。ジークフリートはまだ模索中だなーという印象でしたが、その模索したものがここで出たような感じがしました。役と踊りと本人が合ってきた、という感じでしょうか。こうやってステップアップしていくのを観るのはよいものですね。


「エスメラルダ」 上野水香/伝田陽美 柄本弾 ほか

 エスメラルダがグランゴワールやジプシー仲間とともにフェビュスの婚約式に招かれて踊る場面。あんまり観る場面じゃないよな、と思いつつ、長いバックの蛇行パドブレを観て、ああダンチェンコで観たわー、と思い出したのでありました。
 グランゴワール(詩人)って立場がわかりにくいんですけど、ノートルダムの近所に悪党の治外法権のエリアがあって、そこで彼が何かやらかして首領から絞首刑にされかけるんですね。で、首領が「誰かこいつと結婚するなら助けてやるぞ!」って言うので、エスメラルダが(特に好きでもないけど殺されるのはかわいそう、ってんで)結婚するわと名乗り出て夫婦になった、といういきさつ。「100分de名著」のおかげでやっと状況がわかったよ……。
 というわけで、まあモロにバヤデルカの婚約式のシーンのアレと同じシークエンスです。ヘビ入りの花かごはないですけども。でも大僧正と違ってグランゴワールは大変に優しいです。嫉妬に燃えた困ったキャラはフロロの方に振られてますし、なんといっても弾くんですし。エスメラルダがどんなに「チクショウ踊るかよぉぉぉぉ!」になろうともそっと優しく微笑みかけながら「ね?踊ろ?」とタンバリンを差し出す。命の恩人とはいえ、グランゴワールの献身的な優しさに、はああ何の文句があるんだいいじゃねぇかこっちの乙女……じゃなくてこっちの男にしとけよ! とエスメラルダを小一時間説教したくなりますが、それにしても弾くん、最近乙女が過ぎないか……。
 技術的には双方申し分なく。水香ちゃんはガラのプログラムとして全幕の一部を、伝ちゃんは全幕の一部を切り取ってそのままに演じた、という印象。それぞれの良さはありますが、水香ちゃんのガラ経験値がこういうところで生きてくるんだなー、とも思ったり。伝ちゃんの悲哀っぷりはそれはそれはすごかったし、全幕で見たい気持ちはあるけど、全幕レパートリーに追加するかっつうとヒドイ話だしそれより別の物やろうぜ、と思うのでまあそれはそれで。しかし、今の伝ちゃんはスゴイっすよ。推し推しです。
 
 

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2018/10/14

横浜のプティパ・レクチャー

 つことでだいぶ時間が空きましたが、この夏の東バのプティパシリーズ。プティパ記念ガラを目黒で2回、横浜で1回、掛川で1回行いましたが、うち目黒と横浜を1回ずつ観ました。3箇所それぞれにキャストも演目もビミョーに違っていて、目黒はオケなし、ほか2回はオブジャニコフの指揮でオケつき(横浜は神奈フィル)。目黒のバレエ劇については前回書きましたが、横浜ではフョードロフによる1時間ほどのレクチャーがありました(通訳付きなので実質30分くらい)。横浜に関しては東バというよりも県民ホールの企画だったようですね。去年の忘年会の時に友佳理さんが、ホールからオファーがあったので企画を出したようなことをおっさってたような気もします(うろ覚え)。

ニコライ・フョードロフによるレクチャー「プティパ~クラシック・バレエ黄金時代の幕開け」

 ご存じの通り、フョードロフはボリショイのかつてのプリンシパルで、友佳理さんのおつれあいですが、現在はほとんどバレエ史家のようになってます。なんかワガノワ(スクールでなく)の著作権管理かなにかをやってたりとか、いろいろ謎の人(笑)。今回の一連のプティパシリーズについては振付指導もしてますし、企画段階から彼の手腕がいろいろ発揮されていたのでは、と思います。とにかく1時間じゃ足りない、いくらでも喋るよ! という前のめりの60分( ̄▽ ̄)。目黒でのバレエ劇ではバレエ裏方史的な話が多かったですが、今回はプティパの一生を辿るお話。

 まあ既にそんなに覚えてはいないんですが( ̄▽ ̄)、印象に残ったところで言うと、ロシアに行くまでとロシアに行ってから結構長いこと「うだつの上がらない人」だったということですね。お兄ちゃん(ダンサー)の人気が高すぎて目立たないというか。契約する先契約する先どんどん倒産しちゃうし、ダンサーとしてもこれ以上は出世しないのが自分でもわかっちゃうくらい。知人のつてを頼ってロシアに売り込みをかけたらロシアから招待状が来て、それに「プティパ様」とファーストネームが書いてなかったので、兄の方だろうけど書いてないし! ちょっとでも若い方が仕事があるだろうし! てわけで5歳サバよんでロシアに行って契約したはいいけど、ロシア側でも「あれ?」って思って、そのうちにまあこれ以上は成功しないよなって双方が思ったという。でもパントマイムに秀でていたので、そっち方面で人気が上がって首がつながったというのは目黒でも語られた通り。ちなみに、5歳サバよんでた件は、生誕100年だかなんだかでロシアで記念行事をやるためにマルセイユに出生証明書を請求して初めてわかったとか( ̄▽ ̄)。のんきだなあ。

 そんなプティパですが、監督就任後もダンサーには人気があったそうで。その後、劇場総帥に軍人が就任し、彼とトラブルになって結局劇場を追われるわけですが、この時の公演のエピソードも面白かったんですが、詳しくは忘れちゃった(笑)。でも「私を追い出そうとしてる!」って息巻いたときにすでに80過ぎてるからなあ。いやそもそも総帥の方針もムチャクチャなんだけど。

 で、「benefit公演」と言っていたかと思いますが、「記念公演」についての在り方のお話もありました。今回の横浜のプティパガラはまさにその形式に則っていて、最後にプティパの肖像が映し出され、一同その功績をたたえるというものでした。「ほほう、これがそうか」と思ったのですが、思い返せばベジャールの追悼公演の時も同じ形式でしたな。ロシアではこうした「記念公演」がいろいろあるというお話であったと思います。

 質疑応答で、32回転について質問した方がいらっさいました。それによると、プティパは技をひけらかすタイプを非常に嫌っていて、現在のように32回転がいろんな演目で行われるのは、後世につけ加えられていったのではないかとのことでした。「プティパってば、最後は32回転させときゃいいと思ってんだろー」と思っていたのはワタクシによる冤罪でした。ごめんね、プティパ( ̄▽ ̄)。そんで、ロシア人で初めて32回転をやったのはクシシェンスカヤだということで、目黒でのクシシェンスカヤdisが回収されたなー、と思ったけどもしかして再disだったのかしらん。

 あ、あとこれは目黒での方の話で思い出したんですが、「プティパ」という名前は「プティ・パ」つまり「小さいパ」だっていうのは、言われるまで全然気がつきませんでしたのん。

 

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2018/09/23

バレエ劇・プティパの時代

 いろいろ積み残してますが、余りレポを見ないので、目黒バレエ祭りの「子どもがよくわかる!バレエ劇 プティパの時代」からいきましょうか。
 今年はプティパの生誕200年だかなんだかで、東バもプティパのガラを、演目違いで3種類(目黒・横浜・掛川)と行いましたが、子ども向けのプティパのレクチャー的なものとして、この「バレエ劇」が企画されたようです。まあ「バレエ劇」がどういうものとして命名されたのかわからないけど、あまり「バレエ劇」ふうでもなかったかな。

 演者は二人。バレエの舞台裏というか、衣装工房のような場所で、作業台やら衣装を着たトルソやらが置いてある部屋で、靴職人のおっさんと衣装を仕立てるお姉さんがお互いにウンチクを語り合うというもの。まずは後ろの壁にスライドショー的なものを映しながら、バレエにとって衣装や靴、小道具などの裏方の仕事がどれほど大切かということが、これはナレーションだったかと思うけど、語られて、その後二人の登場。ギリシャやローマのダンスはサンダルで踊られた、という辺りから始まって、バレエ衣装史のような話が、手仕事の合間のおしゃべりとして紹介されていきます。おしゃべりなので、あまり体系だってはなく、あっちいったりこっちいったり、「それで思い出したけどさあ」みたいな調子で、タリオーニが爪先で立ったのはほんの一瞬だっただぜいとか、ニジンスキーが半ズボンはかないだけで解雇されたのは酷いよねー、みたいな感じで、ゴシップ的な話も含めて。

 そんな調子なんでプティパにたどりつくまでがだいぶ長かったんだけど(笑)、スライドショー的なもので該当する写真や絵、話に出てくる人物の肖像と名前(←コレ大事!)が映し出されるのでたいへんわかりやすかったです。脚のテクニックが発達してくるとともに、それを見せるためにスカートが短くなっていくという場面で、トルソの来ているチュールを「くるぶしまで!」「ふくらはぎまで!」……って剥いでいくのとかも面白かったし。個人的に面白かった話としては、ギリシャからフランスに至るまで、ダンスは特に衣装といったものがあったわけではなく、普段着(貴族の「普段着」だったりもするけど)で踊られていたって辺りだろうかな。あと、トゥシューズのリボンは、ギリシャ・ローマ時代のサンダルの編み上げ(スパルタクスのアレみたいなヤツ)を模して、脱げないように付けたという話にぢぶんの「へえ」が5つくらい付きました(古いw)。最初の頃の照明は天井の巨大なシャンデリアにともされたろうそく(だからオペラ座の怪人で降ってくるシャンデリアはあんなに巨大なんだな)なので、上演中の客席もずっと明るかったとか、衣装に火が燃え移ってやけどで亡くなったリヴリーの話とか。

 で、プティパがロシアに行って、マリインスキーに雇用されまして。プティパと言う人はマイムに優れていたという話は横浜の方であったのですが、いわゆる演技派だったそうです。当時禁じられていた舞台上での接吻シーンで評判になったりしてね。対して、当時大人気のサン=レオンという人はとにかく器用で、踊りが上手くて、バイオリンが上手くて、多分(←ここ重要)イケメンであった、と。なので、踊りながらバイオリンを弾いちゃったりしてたらしいんですね。しかし、次第に飽きられていったのは何故でしょう、とここで客席のお友達に質問! 二人のお友達(小学生)がお答えしてましたけど、とってもよかったですよ! 「バレエは手や指の動きで気持ちを伝えないといけないのに、バイオリンを弾いてると手が使えないから」 すごいでしょ!

 でまあ、ようやっとプティパの時代の話になりまして。当時のバレリーナとそのファンの話題で、出待ちのファンの男性たちがバレリーナの馬車の馬をはずして自分たちが馬車を引いてホテルに送り届けた話やら、バレリーナたちがファンからもらった宝石をすべて(えこひいきのないように)衣装につけて舞台に出てプティパが怒ったようなはなしとか(この辺りでクシシェンスカヤdisがw)。

 最後に郵便屋さん(宅配?)が過去の名演の入ったテープだかを届けに来て、120年前からいくつかの演技を上映。最初の古い物はまさに「無声映画」の芝居のよう。その後だいぶ今のバレエに近くなり(80年前だったかなー)、さらにアクロバティックなリフトやダイブがばんばん入るようになり、ワシリーエフとマクシーモワが出てきたところで、「そういえば大ホールでワシリーエフの振り付けたドンキをやるのよね?」「それじゃ私たちも行かなくっちゃ!」「じゃね!」ってな感じで終わりました( ̄▽ ̄)。

 概ね予定通りの時間に終わったのですが、なにしろ順当に終わっても開演15分前。移動にたいした時間はかからないのがわかっていても、軽い遅刻恐怖のある自分にはちょっとストレスな時間割でした。前日は昼の回だけで終わりだったんだから、その後にやってくれればなー。話はちょっととっちらかってたけど、面白かったですです。

 

 

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2018/08/17

Sasaki GALA とりあえず1部

 つうことで、久方ぶりにバレエフェスのガラに行きました。多分、9年ぶり2回目w。若い頃(当社比)は、ガラにしろABプロにしろ「長いなー、疲れたなー」みたいに思ったものですが、年を取ったら両日ともなんとなくつるつると終わってしまって、「あれもう半分?」なんて思いながら観てました。プログラムの組み方もあるかもしれませんが、もしかしてこれは「年を取ったら1年があっという間」の短いバージョンなのでわ……(´・ω・`)。……ま、実際は、転職して勤務時間やらなんやらが変わったために、Aプロは半休を取って、会社近くの銭湯で一風呂浴びてゴロゴロダラダラしてからだったし、ガラは夏休み(職業訓練中を除けば四半世紀ぶり!)の終わりの方で、体力的にラクだったのかもしれません。
 そんなわけで、今日も今日とて4階センターでございますよ。センターだと格段に身体がラクだというのもあるなあ。

【第15回 世界バレエフェスティバル】ガラ - Sasaki GALA - 8/15(水)


「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス 音楽:レオ・ドリーブ
レオノール・ボラック ジェルマン・ルーヴェ

 ボラックもルーヴェもAプロよりずっとよいなあ。ルーヴェはジュテというより、両脚を開いて跳ね上がるようなジャンプがすごく気持ちよいな。アラベスクなんかでも、脚の出し方が気持ちよいような気がする。前にジョゼが着ていた衣装と違ったけれど、今回の方が「バレエらしい」感じではある(その分、前の方が洒落てたような気はする)。よい幕開け。

「ライムライト」
振付:カタジェナ・コジルスカ 音楽:ニュー・タンゴ・オルケスタ
エリサ・バデネス

 「ライムライト」といえばチャップリンのアレを思い出してしまうけど、これは舞台照明の意味でいいのかな。そう思うと「ああなるほど」という感じの、丸いスポットの組み合わせというシンプルな照明ながら、そこをバデネスが踊っていくことによって互いにエッジが効いてくるような作品。こういうのは嫌いじゃないな〜。


「白鳥の湖」より グラン・アダージオ
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オレシア・ノヴィコワ デヴィッド・ホールバーグ

 久しぶりにマリインカの白鳥を見た! の感。ちょっと音楽が遅めだったのかな。ノヴィコワの白鳥は水の中をたゆたっているような。そしてホールバーグは空気のような。いやいや、空気のようにサポートが出来るってのは、そりゃやっぱりたいしたもんですよ。背景幕は新調した方じゃないんだなー(そこはどっちでもいい)。

「アリシアのために―アリシア・アロンソに捧ぐ」
振付:タニア・ヴェルガラ 音楽:フランク・フェルナンデス
ヴィエングセイ・ヴァルデス

 手前に置かれた椅子がアロンソ。時折アロンソの映像が重なり(4階からだと上の方がカットされちゃうんだけどさー)、何気にえらいテクニックの振りが挟み込まれたりしながら師のために踊る……ああ、キューバは本当に偉大な人を亡くしたんだなあ……、とほろっと涙を流したりしながら観ておりまして、家に帰ってから「まだ死んでねぇよ!」と思い出しましたとさ……orz。だって捧げてるし!
 それはそれとして、舞台映像としては主にアロンソのジゼルが取り上げられておりましたが、キューババレエのジゼルとか呼んでもらえませんかのう……。ダンサー個人ではなくカンパニーを観る機会ってないからねえ。

「タイス (マ・パヴロワより)」
振付:ローラン・プティ 音楽:ジュール・マスネ
マリア・アイシュヴァルト ロベルト・ボッレ

 タイスの瞑想曲はひところシェスタコワがよく夏のガラで踊っていて(相手はシャドルーヒンだったかな)、それによると確か「娼婦の回心」的な物語だったと思う。今回は「マ・パヴロワ」からだし、もちろん振付家も違うのだから違う話なのかもしれないけど、アイシュヴァルトにはその物語を彷彿とさせるような聖性が感じられたな−。アイシュヴァルトはアブストラクトでも物語性をもって踊れるんじゃないだろうか。
 そしてボッレはまあ一流の「ロールスロイス」だな! 出すぎることのないなめらかな(完璧な)サポート。これはこれでやっぱり一流だねえ。


「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトル・グゾフスキー 音楽:フランソワ・オーベール
ドロテ・ジルベール マチアス・エイマン

 スーシャものが2本続いてしまった( ̄▽ ̄)。ドロテの踊り癖というよりも、ロシアとフランスとの違いかなー、と思う箇所もいくつか。振りではなくてアクセントの付け方、特に手の動かし方かな。それにしても脚が強くないと踊れない演目とはいえ、脚が強いねえ。やっぱりガラにはこういう演目が1本ないと。

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2018/08/03

バレエフェスAプロ 前半

 8月2日つまり2日めのAプロに行ってきました。いちばんのお目当てはロスのルナ。いちばん良かったのもロスのルナだけど(笑)、そんなに無駄のないプログラムでした。これだけ盛りだくさんのガラだと自分の好みもよくわかるよね。自覚はあったけど、フランス系は自分には向いてないとあらためて。
 全幕プロで買ったプログラムを家に忘れていっちゃったんだけど、どうせコンタクトだと読めないwから、一緒だなーとか。ちなみに今日は4階正面からでした。

「ディアナとアクテオン」
エリサ・バデネス(シュツット) ダニエル・カマルゴ(オランダ国立)

 演目自体も久しぶりだけど、こんなに絵に描いたようなアクテオンも久しぶりだなー。一頃マールイが夏ガラによく持ってきてたので、なんとなくアクテオンの衣装はアニマル柄のような気がしてた( ̄▽ ̄)。虎とかヒョウとか。出だしからすぱっと爽やか

「ソナタ」ショルツ/ラフマニノフ
マリア・アイシュヴァルト アレクサンドル・リアブコ

 ラドメイカーの降板で、リアブコがパートナーに。美しかったです〜。今日のお気に入りの上位。こんなに早い時間に見るのがもったいないくらいだけど、リアブコが2本踊るからしょうがないかー。やっぱりアイシュヴァルト、好きだなあ。リアブコありがとう。

「ジゼル」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン

 編曲がちょこっと違ったりしただろうか。音色はいつもよりいいのに(4階のせいもあるかなー)、なにか「違う」感が。今回はジゼルも含めて、青系の照明がきれいだったな。
 コチェトコワのジゼルがすごく「幽霊」っぽくて、2曲目の終わりの方のホップで、最初は手を垂らしたままというのがさらに幽霊っぽい。倒れたシムキンを起こしてでも踊らせるミルタのようなジゼルでもあっったり。シムキンの振りはABT仕様かな? 

「アポロ」
オレシア・ノヴィコワ デヴィッド・ホールバーグ

 ノヴィコワもホールバーグも特に悪いところはない(というかむしろ良い)んだけど、昔からこの演目が苦手で途中で飽きちゃうんだよなー。今日も飽きちゃったんだけど、昔ゼレンスキーで見た時も飽きちゃってたからしょうがないな。

「コッペリア」
サラ・ラム フェデリコ・ボネッリ

 ラムちゃんは普通に踊ってくれればそれだけで幸せだから、あんまり長バランスとか入れなくていいから〜、とか、ボネッリも本当に誠実でジェントルマンだけど、恋人うっちゃらかして人形にうつつを抜かす男には見えんよな〜、とか、自分的にはちょっとノリが悪かったりして(笑)。うぬう。

「瀕死の白鳥」
ヤーナ・サレンコ

 今更サレンコで瀕死? と思った自分を小一時間ほど責めたいと思います。最初の閑かさもすごくよかったのですが、終盤、自分の身体が自分の身体でなくなっていく、そういう瀕死を見るのはあまりなかったように思います。今日の「よかったああ!」の上位。

「カラヴァッジオ」 ビゴンゼッティ・ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
メリッサ・ハミルトン ロベルト・ボッレ

 昔、TVでマラーホフのを見たけどよくわからなかったな(カラヴァッジオ自身をよく知らない)。なので、今日も中身がちゃんとわかったわけではないけれど、見ていて気持ちがよかったです。どういう感想なんだか。なんというかな、つるつると「きれいだなー」と見ていられるというか。ボッレの系統(って何)にあまり反応しない(というか興味がないというかツボがないというかアンテナがないというか)な自分としては、かなり楽しんだと思います。

「くるみ割り人形」
レオノール・ボラック ジェルマン・ルーヴェ

 ヌレエフ版は相性悪いんだよ〜。ボラックがよいダンサーで、ヌレエフ版は難しい、というのはよくわかった。ヌレエフの振付って貧乏性だなあ(音の全部を使わないと気が済まないという意味で)といつも思うんだけど、それで「ここぞ!」というポイントがぼやけちゃうみたいな。これならボヤルチコフのシャチホコの方がいいなあ、と思うけど、ヌレエフに慣れてる人には「ここぞ!」があって、あの時誰々がこうこう、みたいな想い出や思い入れもあって、というものなんだろうなあとも思ったり。

「・・・アンド・キャロライン」  オイエン/トーマス・ニューマン
オレリー・デュポン ダニエル・プロイエット

 すでにあまり覚えていない(笑)。最初のデカイ音のところで、もっと暴力的な感じになるのかと思ったらそうでもなく、やっぱりするすると見てしまった。オレリーは相変わらず可愛い。ボレロがあまりよい印象ではなかったので、オレリーらしいオレリーが見られたような気がする。
 
「ファラオの娘」
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ

 すごく久しぶりに見た。そういえばラコットだった、とラントラートフのヴァリを見て思いだしたよ( ̄▽ ̄)。ヌレエフ版を見た後なので、プレパレーションとか歩いてる「間」とかてのが、無駄なようでもメリハリになるんだなあとか。しかしマーシャはやっぱり「プリマ」だな。もう「ザ・プリマ」。立ち居振る舞いが違うわ−。しかし、バヤデルカもそうだけど、おでこに手をやって「てへ?」みたいになる決めポーズはなんなんですかね、あれ、オリエンタルなんですかね。

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2018/07/30

夏休み子ども音楽会

 いろいろ残ってますが、書きやすいところから。

 今日は東京文化会館主催の「Ueno Music Holiday 夏休み子ども音楽会2018《上野の森文化探検》」(長い)に行ってきました。毎年行われてる子ども向けのプログラムで、今年はバレエフェス開催期間に重なっているので、バレエをテーマに東バとのコラボ企画となったそうな。
 自分は今年初めて行ったけども、小中学生1000円均一、大人は1000から3000円というお手頃価格で、参加施設(動物園はじめ上野公園内の美術館・博物館・子ども図書館ほか)の入場や常設展が無料になったり、のれん街の協力店で優待があったりする1Dayパスがついているので(午前中からホールでチケットと引き替え可)、使いようによってはとってもお得。司会のお姉さんが「シャンシャン見てきた人〜?」って言ったら、結構手が上がっていたので、有効利用したご家族も多かったようです。ちなみにチケットは完売とのことでしたが、5階まで埋まってました。
 簡便なプログラムも無料で配られましたが、イラストの王冠かぶった白鳥らしきものがアヒルにしか見えん……(首が短いと思われ)。

 プログラム。

ドリーブ:バレエ音楽『コッペリア』より「前奏曲とマズルカ」
「白鳥の湖」より パ・ド・カトル 秋山瑛-金子仁美-樋口祐輝-鳥海創
 情景
 四羽の白鳥 岸本夏未-上田実歩-足立真里亜-中沢恵理子
 スペインの踊り  奈良春夏 芹澤創、昂師吏功、南江祐生、山下湧吾
ボロディン:歌劇『イーゴリ公』より「だったん人の踊り」
「くるみ割り人形」より 中国の踊り 中川美雪-岡崎隼也
 ロシアの踊り 二瓶加奈子-池本祥真
「眠れる森の美女」よりローズ・アダージオ 三雲友里加 森川茉央-和田康佑-中嶋智哉-岡﨑司
指揮:現田茂夫 演奏:東京都交響楽団

 舞台上にオケが乗り、オケピを上げた部分(+α?)で踊るので、かなり奥行きがキビシイことになってました。いちばん大変そうだったのはスペインの男性群舞で、マントを回すのに指揮者にバサー、バイオリンにバサー、ってなりそうなのを回避しながら捌いてました。ローズアダージョの4人の王子も、対角線には並べないからほとんど横一列みたいになったり、中国の男性の「つ」の字になって対角線に進むジャンプもほとんど「その場跳び」っぽくなったり、まあ4羽だっていつもとは違う進路になるだろうし、ちょこちょこ振付変えながら、という感じ。

 カトルは通常の1幕のトロワですが、アダージョだけ。水色が秋山さんでピンクが金子さん(昨日のドンキと逆だ〜)。くるみの前辺りかな? 司会のお姉さんから二人へのプチインタビューがありました。
 金子さん(1日のレッスン時間は)「多い時は6〜7時間くらい」(そんなに?)「ハードです」(今日はどうでしたか)「いつもは前のオーケストラピットから音楽が聞こえてくるのに、今日は後ろにオケの皆さんがいて、迫力が違いました」秋山さん(バレエは何歳から始めた?)「7歳から」(長く続ける秘訣は?)「楽しいこともつらいこともありますが、大勢のお客様の前で踊って、拍手をいただけることが励みになって、また頑張ろうと思います」(大意)……記憶だけど、だいたいこんな感じ(質問もこれだけ)。

 「情景」は、1幕から2幕への間奏というか、本来的には2幕の序曲なのか、の部分。「白鳥」といえばこの曲だよねえ、という。考えて見ると「白鳥から」なのに白鳥が4羽しかいないw。というか、オデットもオディールもいないw。「コッペリア」の後で、司会者から「白鳥の湖」のあらすじの説明がありましたが、それだけ聞くと奈良ちゃんがオディールかと思うよ……。大体、こういう前説とかって聞きながら「こういう言い方の方がわかりやすくてシンプル」とか、手を入れながら聞いちゃうんだよな……。

 で、「おお本公演ではなかった山下くん(←今年のイチオシ)のスペインじゃ〜」と思ったのに、もう奈良さましか目に入りませんでしたことよ! 本公演ではちょっと遠い席だったしさあ、オケピない分近いしさあ、もう大迫力の悪魔でございましたよ! ロットバルトいらねぇな……。オディールとの入れ替わりで上手に捌けるところは、舞台の端で男性たちに囲まれて軽くリズムをとるような感じだったと思います。かっちょええ〜(ため息)。

 「ダッタン人」の前には指揮者が呼ばれて「ダッタン人とは?」というトークが有りましたが、「タルタルソースのタルタルはダッタンのことで、タルタルがダッタンに変化」ということはわかったw。まあ、プログラムに演目の説明はありますでな。こちらはバレエなしのオケ用編曲(コーラスなし、冒頭ちょっと省略)でしたが、弦が(ヴィジュアルも含めて)迫力でした〜。打楽器はいつもより遠いせいか「もっと来〜い!」な感じ。つか、アニハーノフに慣れるとティンパニは常に「もっと来〜い!!」だよな……。

 中国は、サンチョ→ガマーシュと熱演したザッキーがちょっとバテ気味だったか、奥行きがなくていつもとジャンプも回転もコースが変わって間合いを掴み損ねたか、という感じもありましたが、中川さんと二人ともすごく可愛かったです。あの弁髪の衣装はそろそろ変えてもいいかな……。ロシアは池本さんの連続開脚ジャンプで盛り上がり。二瓶さんも強い踊りでスカッと爽やか。

 ローズアダージョの4人の王子は、子眠りの各国仕様ではなく、4人とも旧版のピンクの衣装(岡崎くんがカレー着るかと思って楽しみだったのに……。つか、岡崎くん、セーラー服じゃないとわからないかも……)。サポート担当は森川くん。これも奥行きがない分きつそうでしたが、ちゃんと二人で脚を持って挙げるリフトもあり。若手二人は初役かなー。和田くんが(なんと和田くんが)一人で、いつも通りの小芝居に励んでおりましたよ。バラを渡してピルエットの手前のところで、オーロラに言い寄ろうとしてビミョーに拒否られてやんの(笑)。三雲さんてば(笑)。

 フィナーレは花のワルツ。ダンサーが順繰りに出てご挨拶ですが、ここでザッキーが後ろとんぼの大技。中川さんに「あっち?」って指さして「こっち!」って叱られたりと、小芝居をはさみながらで会場から受けてました。ロシアの二人もちょっと踊ったりしたかな? 最後は三雲さんが慣れた感じに指揮者を迎えに行って(いつもと違って後ろにだけど)、大団円となりました。

 休憩なしの1時間公演、お子様たちにもちょうどよかったらしく、大きな声で騒ぐ子もおらずに(ま、小学生以上ですし、ちょこちょこ保護者とのおしゃべりはありますけども)楽しくすごせたようです。むしろ、もう少し司会のお姉さんにレスポンスしてあげようよ……。

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2018/07/23

ブルメイステル版それぞれ

 時間経っちゃいましたけど(って7月全然更新してないじゃん!)、東バのブルメイステル版3キャスト4日( ̄▽ ̄)。それぞれによい味があって楽しかったですが、やっぱり一脚一脚にドラマを生み出す川島さんのオデット/オディールは最高でした! 

 水香ちゃんのオデットは何度か見ているけど、どんどんよくなってると思う。もしかしたらブルメイステル版が合ってるのかもしれないし、弾くんがどんどん面白くなってきてるので相乗効果もあるのかも。はかないというよりも意志的なオデットで、それはそれで悪くないなー、という。小悪魔系のオディールは本当に楽しそうだし。

 沖・宮川ペアはやはりフレッシュ! の一言。沖さんは若い「姫」だねえ。群れに守られてる感がある(川島さんは守ってる感があって、水香ちゃんは割とフリーダムw)。3人の中ではいちばんオデットとオディールの距離が短いので、その分「こりゃ騙されるかも」というのはあるかも(でもワルっぽさもちゃんとある)。宮川くんとは「若者同士のちょっとあぶなっかしいけどまっすぐな恋」みたいなところもあって、まあなんかロミジュリっぽいテイストもあったけど、それはそれでお話には合ってる気も。

 1幕のカトル、鎌倉で「吉川さんが進化してるーヽ(´▽`)/!」ってなったんですが、どの組もそれぞれによかったなあ。お気に入りは二瓶+政本組かも。今回は初演の時よりも、位置づけがしっかりしたというか。前のエントリで「王子のソロ」と書いたけども、リュート(?)持った踊りはカトルの面々がちょっと絡む。前にカトルの女性1人、後ろに男性2人、男性の肩にサポートされる感じで後ろに女性1人の菱形で、楽しくなさそうな王子に「どうしたの〜」という感じに(女性が前後交替で計2回)呼びかけるんだけど、前の女性が床に伏せてる間に王子が移動しちゃうもんだから、顔をあげて「あら王子は?」ってなるのに、政本さんだけ「何?何何何?!」って真顔になるのがすごいツボる( ̄▽ ̄)。政本さん、あんなにしっかりしてそうなのに、どっか天然なんだよな……。
 アダージョは吉川さんがピカイチ。もう「すでに悪魔の手先が偵察に……!」って思っちゃったよ( ̄▽ ̄)。三雲さんはそつなく上手いんだけど、もう少し三雲さんぽさがあるといいな。ちょっと前の吉川さんがそんな感じだったのに今はどんどん自分が出てきてるので、三雲さんも何かのきっかけで化けるかもしれない(フリッツをやるとか?)。

 永田くんと杉山くんが、侍従長と貴族の交替キャストだったんだけど、道化が寝ちゃった後に道化の持ってた棒付きの風船(なんかの内臓で作るんだろうなー)を持ってくるのも、鎌倉以外は二人の役。永田くんが「ふんふんふーん♪」って軽い感じで振り回しながら来たのに対し、杉山くんが女性たちに「これどう?」って差しだして「えー、いらなーい(引き)」「……そうかなあ、いいと思うけどなあ……君たちは?どう?」「え……いらない……(ドン引き)」「……(´・ω・`)ショボン……」ってなってたのが、いかにも杉山くんぽくてそっと腹抱えてました( ̄▽ ̄)。今回は永田くんのおっさんくささが随所で光ってたなあ。

 王子は、弾くんがメランコリック系だけど、基本的にはおっきなわんこ。愛され王子だな〜。秋元さんは正統派だけど、陽性というか。「リュート、いまいちなんだよな……」からの「弓だよ弓! オレ、こっちなんだよ、狩りだよ狩り!」でちょっと笑っちゃった( ̄▽ ̄)。まあオデットが来てからが本番だよね。宮川くんは折り目正しい騎士寄りの王子だけど、いろいろと「身分違い」を意識した工夫があったり。まだまだ伸びしろがあるな〜とか。

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2018/06/28

ブルメイステル版白鳥1幕

 だらだらしてる間にブルメイステル版の東京公演が迫ってきたので、鎌倉で見たのを元におさらいなど。

 ブルメイステル版白鳥といえばまあ3幕なんですが、1幕も結構特徴的であると思うんですね。53年初演のソ連体制下の演出だなあ、ちうのが1幕で。マールイのボヤルチコフ復元版の1幕でも農民と貴族は区別して描かれてますが(というかゴルスキーが大雑把なのか)、「貴族のお戯れ」感(とそれに伴う王子のうんざり感と甘ちゃんぶり)があるのがブルメイステル。4幕の「許されると思ったら大間違い〜」っていうのも、慣れると癖になったりするんだけど( ̄▽ ̄)。

 1幕は王子一行のピクニック。幕開けは野郎ばっかりなのでちょっと淋しい感じですが、通りかかった村娘一行(何かの収穫の帰り)を囲い込んでナンパしちゃうのが最初のワルツですね。一度は「お許しを〜」っていう具合に逃げていった娘たちを道化を先頭に結構強引にピクニックに参加させるんですが、まあそこは若い娘さんたちで、踊っているうちにノってくるというか。なんとなく打ち解けた風になってきたところで王妃ご一行がいらっさるわけですよ。「先生キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」っていうお小姓さんたち(海田くんと誰だったかな……)が可愛いのよこれがまた( ̄▽ ̄)。それで貴族野郎たちが一列になって、後ろに娘さん方を隠すんだけど、まあ、ばれちゃいますよねそりゃ。王妃さまは露骨にイヤな顔をしてぷんぷんだし(矢島さんサイコー!)、ご一行のご婦人方もみんな不機嫌で、「何この卑しい女達と戯れてるの、ばかにしてるの? あんたたちばかなの死ぬの?」って勢いですよ。で、こそこそと娘さんたちを逃がして「いやいやそんなの本気なわけないじゃーん、ちょっと遊んでただけじゃーん」ってご婦人方とは仲直りするんですけどね。
 ちなみに途中で、道化が娘さんたちの収穫物をつまみ食いしようとして王子にたしなめられるという小芝居が入ってたりしましてね。井福くんの道化もキレキレでチャーミングでしたし、トロワの男性(王子の側近的な)の樋口くんと鳥海くんも若者らしい軽率な感じがたいへんよろしかったです。弾くんもおっとりさんの育ちの良い王子様で、最近、エージェントの関係であちこちのパーティなどに出席してるのが役に立ってるのかなーと思いました。侍従長の杉山くんが黒ヒゲで無駄にイケメンな感じでしたが、王妃についてきてついて帰るので、あまり出番がないw。

 ま、仲直りした貴族連中ですが、ここで通常のトロワがカトルに。吉川さんが1ヴァリ、金子さんが2ヴァリ。これは恋人2組の設定なんでしょうな。2人ともよかったですけど、吉川さんがもう本当に素晴らしい。3幕の悪のチャルダッシュとの踊り分けも素晴らしかったですよ。本当によかったなあ。
 このカトルの途中に王子のソロが入ります。道化からマンドリン的な(リュート?)楽器を受け取って弾きながら踊るんですが、もう全然気乗りしないで、途中で楽器返却しちゃう。さっき叱られたからっていうわけでもないんでしょうが、まあマリッジブルーというか、人生不可解なりというか。そこで、道化が「これならどうだ!」とばかりに出すのが謎のアダージョ姫( ̄▽ ̄)。ここで通常のブラックスワンのアダージョの曲が使われますが、本来的には1幕にある音楽らしいので、それはそれで。柿崎さんもよかったですよ〜。背の高い人だけどリフトされるのが上手い。ちょっとハツラツ感のある、結構好きなタイプです。
 しかしそれでも世をはかなんだ王子には、中空を飛ぶミルタが見えて(白鳥だって)、はしって湖に行ってしまうのですな。王子に去られてやさぐれる道化も可愛い♪

 主役がいなくなっちゃって、なんかもうぐだぐだというか、わりとどうでもいい気分になってきた貴族のみなさんが、酔っ払って寝ちゃった道化で遊び(ある意味では正しい道化の役割なのか)、カトルの女性vsアダージョ姫のビミョーな火花バチバチがあったり、でも最後はみんなやけくそで酒飲んで踊って帰るという、これだから貴族階級ってヤツはヨー、みたいな幕が閉まって、ああソ連だなあ、と思ったりもするので有りました。

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2018/06/05

BRB眠りつづき

 考えてみたら、コジョカルのオーロラは、少なくとも全幕では初めて見るのか。ガラでPDDだけとかは見たかどうか忘れてしまったのだけど。相変わらず脚の強い万全のお姫さまでありました。4人の弁護士ならぬ王子様はそんな衣装なのでサポートのみで踊りなし……コジョカルも大概自分で立っちゃうしなw。オーロラが倒れた後、3人で姫を抱え上げたので、1人ばっくれかよ! と思ったら、奥にある姫を寝かせるところ(寝台というより床)のクッションをぽんぽんしに行ったのでありました。

 まあ、そんなことはどうでもいい。

 フルバージョンなので、2幕冒頭の王子の狩りの場面も、おつきの人の目隠し鬼とかガボットだかメヌエットだかが入ってがっつりです。八百長ダーツがないけどな……(あれがあるのはボヤルチコフと松山くらいではないだろうかと疑い始めている……)。
 幻影の場面の音楽はとても好きなのですが、オーロラのソロの音楽は特に好き。森の精たちの群舞もとてもきれいで満足。パノラマは乗り物なしだったけど、スモークが多すぎたのか、オケピの最後列辺りの人たちは直撃くらったみたいでした。あの低く這う感じについつい「十戒」の「エジプト人の長子を殺す」の場面を思い出したりしてだな……(←集中力がない)。間奏曲はないけど、目覚めのPDDがありました。この構成は好きだな。なんとなくしっとりと終わるという。

 結婚式は、宝石(男女2組)、猫、青い鳥、赤頭巾。シンデレラとほか2組くらいが出席してるけど踊らない役。貴族のみなさんも1幕と同じく、みんなきちんとシルバーのかつら。赤頭巾まで正装用のかつらをかぶってましたよ( ̄▽ ̄)。頭巾もオレンジみたいな色だったかな。宝石と猫が今ひとつ面白くなかったな……。猫はなんやかんやで難しい役所だなあと改めて。というか、そもそも音楽が面白くないうえに長いので、きちんとキャラで立てないと難しいのかも。

 主役2人のGPDDについては言うことはないな……(というかもうあまり覚えてない)。フィッシュもさくさく決まるし、「おお!」といいながら見ていれば良いような安定した、美しいGPDD。しかし、全体を通じてライトが手を入れたところはあまり感心しなかったかも。あとあれだ、今に始まったことじゃないし、眠りに限ったことじゃないけど、自分、アラベスクのアテールで後ろに下がっていく振りが異様に好きだな( ̄▽ ̄)。
 指揮者は女性の方だったけども、割と個性的な解釈をするタイプの人なのかな。猫のところではちゃんと管が「ふにょぉ〜」っていう音程になるようにしてたり、いろいろと面白い工夫がありました。自分は嫌いではなかったな。毎回だとアレかもしれないけど、たまにはこんな感じの演奏もいいじゃん、くらいの。

 そしてとかく子ども向けのプログラムっぽく見られがちな「眠り」だけど、フルでやるとお子さんには大変長い( ̄▽ ̄)。今回、近くに小学生らしい坊ちゃんがいらっしゃって、それはそれはお行儀よく鑑賞してらっしゃいましたけど、2幕が限度だった模様。子どもが喜ぶであろう、着ぐるみの出番までもたなかったよ……。

 まあなにはともあれ「目の保養」と呼ぶにふさわしい(けど実際は結構目が疲れる)舞台でありました。オヘアさん、すてきだったな……(そこか)。
 

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